『コーヒー』という商品ですが、グローバルパラドックスを説明するのに一番向いている商品だとも言われています。
コーヒーの原料となる『コーヒー豆』は、熱帯地域に位置する国々で生産されて、世界中のコーヒー消費地に輸出されています。石油に次ぐ貿易商品です。
【参考】下のリンク先ページの記事は、この記事の続編です。
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コーヒー豆は商圏が広いが焙煎コーヒー豆は商圏が狭い
消費地にやって来た『コーヒー豆』は、消費地で焙煎加工されて、焙煎コーヒー豆という商品になります。『コーヒー豆』が焙煎コーヒー豆になることで、相当な付加価値が付きます。
『コーヒー豆』は長期間の保存が可能ですが、焙煎コーヒー豆は短期間で商品価値が下落してしまいます。それが、『コーヒー豆』を生産地で焙煎加工して、付加価値をつけた焙煎コーヒー豆として輸出できない理由とされています。
基本的に、『コーヒー豆』はグローバル展開が可能な商品ですが、『焙煎コーヒー豆』は商圏の小さな商品です。
The New Rules of Coffee
ザカリー・カールセン とジョーダン・ミッチェルマンの著作「The New Rules of Coffee」のRule40「Small-town coffee can be really great 」のページを読んでいて、以前に書いた記事「田舎の無名のコーヒー屋(or二流のコーヒー屋)を取り巻く環境の様変わり」を思い出しました。
田舎の無名な珈琲豆焙煎屋
2020年の現在、田舎の小さなコーヒー豆自家焙煎店でも良質のコーヒー豆を仕入れることができて、都会の有名な珈琲屋さんと同タイプの自家焙煎コーヒー豆を売ることが可能になっています。
理由は、小規模な田舎のコーヒー豆自家焙煎店にも、良質のコーヒー豆をリーズナブルな価格で納入してくれるコーヒー豆商社が出現して来ているからです。
コーヒー豆生産地を訪問する財力を持たない田舎の小さなコーヒー豆自家焙煎店でも、新しく出現したコーヒー豆商社を通じて良質のコーヒー豆が手に入るわけですから、大都市の有名な珈琲屋さんに勝るとも劣らないレベルの焙煎コーヒー豆を加工販売することができます。
都会の有名な珈琲屋さんとほぼ同じ条件で良質のコーヒー豆を仕入れられるなら、田舎の小さなコーヒー豆自家焙煎店の方が、都会の有名な珈琲屋さんよりもコスト的に有利かもしれません。また、田舎の小さなコーヒー豆自家焙煎店は、地の利を使って地域コミュニティーと親密な関係を構築することも可能です。
The New Rules of CoffeeのRule40 から
以下は、The New Rules of CoffeeのRule40、Small-town coffee can be really great からの引用です。(年老いた珈琲豆焙煎屋流で日本語に訳しています)
例えば、アメリカ合衆国では、人口3000人のミズリー州コトリビルで VB Chocolate が頑張っていて、人口1万3750人のマサチューセッツ州イプスウィッチにはLittle Wolf Coffee が営業していて、人口191人のワシントン州ネルソンビルにもRuby Coffee Roasters が営業しています。
コーヒー器具のベロシテイーは、人口9000人のワシントン州ポートタウンセンドを本拠としています。
この現象はアメリカ合衆国だけとは限らないようで、Coffee Apothecaryは、スコットランドの小さな田舎町で、ノルウェーとアイスランドの間の北大西洋に浮かぶフェロー諸島では、 Brell Cafe が営業しています。
ノルウェーの北極圏に近いスチェールダルの町には、革新的で美味しい焙煎コーヒー豆がキャッチフレーズの珈琲豆焙煎会社 Langora が立地しています。
先駆け的な(最先端の)コーヒーの世界では、都会も田舎町も、それほど大きな違いが無くて、誰もが、気に入ったコーヒーを探し求めているのだと思います。 そして、この先駆け的なコーヒーの世界ですが、拡大傾向にあるようです。