焙煎コーヒー豆の原料であるコーヒー生豆は、南北回帰線の内側の熱帯地域に位置する国々で生産されて、世界中の国々(コーヒー消費地)に輸出されていて、石油に次ぐ貿易商品だと言われています。
乾燥処理されて輸出されるコーヒー生豆は、長期間の保存・保管が可能ですが、焙煎したコーヒー豆は1か月半~2か月くらいで商品価値が無くなってしまいます。
【参考】下のリンク先ページの記事は、この記事の兄弟姉妹記事です。
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グローバルパラドックスとコーヒー
『コーヒー』という商品ですが、グローバルパラドックスを説明するのに一番向いている商品だとも言われています。
コーヒー生豆は長期間の保存・保管が可能なので、世界中のコーヒ消費地に輸出することのできるグローバル商品です。
コーヒー生豆を焙煎すれば、相当な付加価値を付けることができます。
しかし、焙煎したコーヒー豆は、鮮度の劣化スピードが速いので消費地でのみ「焙煎」という付加価値を付けて販売できる商品ですから、生産地でコーヒー生豆を「焙煎」して輸出することができません。
コーヒー生豆は商圏が広い商品ですが、焙煎コーヒー豆は商圏の狭い商品だと思います。特に、「煎りたて新鮮」がキャッチフレーズの自家焙煎コーヒー豆の場合は。
グローバル商品とローカル商品
年老いた珈琲豆焙煎屋は、コーヒー生豆はグローバル商品で、自家焙煎コーヒー豆はローカル商品だと考えています。
焙煎コーヒー豆の付加価値の源泉として、焙煎コーヒー豆の鮮度(煎りたて新鮮)とコーヒー豆焙煎技術があると思っています。
自家焙煎コーヒー豆の付加価値は、この二つに依存する度合いが高くなっています。
田舎町のコーヒー豆自家焙煎店であっても、煎りたて新鮮な自家焙煎コーヒー豆(クラフトコーヒー)を販売することも、コーヒー豆焙煎技術を磨くことも可能です。
自家焙煎コーヒー豆の付加価値
焙煎コーヒー豆を大きく分類すると、自動化された焙煎工場で大量生産されるレギュラーコーヒーと、業務用小型コーヒー豆焙煎機を使って手作業で時間を費やして丁寧に焙煎しているクラフトコーヒー(自家焙煎コーヒー豆)に分類できると思っています。
大量生産されているレギュラーコーヒーは、珈琲会社独自の流通ルートを通じて食品スーパーなどの流通店舗に供給されていて、その流通店舗を通じて販売されています。
手作り少量生産のクラフトコーヒー(自家焙煎コーヒー豆)は、街中のコーヒー豆自家焙煎店の店舗か通信販売で、コーヒー消費者に直接販売しています。
レギュラーコーヒーは流通経路が長くて、クラフトコーヒー(自家焙煎コーヒー豆)は流通経路が短くなっています。
当然の事として、レギュラーコーヒーの付加価値は小さくて、クラフトコーヒー(自家焙煎コーヒー豆)の付加価値が大きくなるはずです。
オンラインでグローバル化とローカル化
インターネットの普及によって、コーヒー商取引のレベルでグローバル化とローカル化が急速に進行しているように感じられます。
例えば、人口30数万人の地方都市で零細生業じじばば商売をしているコーヒー豆自家焙煎店(屋号はエカワ珈琲店です)でも、貿易商社(例えば総合商社の兼松)を通じて高品質のスペシャリティーコーヒー生豆をオンラインで購入できます。
また、アマゾンマーケットプレイスや自前のショッピングサイトを通じて、自家焙煎コーヒー豆をオンラインでコーヒー消費者に直接販売できます。
30年前はもちろんの事、20年前でも考えられなかった出来事です。
一流の珈琲屋さん、二流・三流の珈琲屋さん
エカワ珈琲店は零細生業じじばば商売のコーヒー豆自家焙煎店で、コーヒー生豆生産国に出向いてコーヒー生豆を調達することも、マスコミに取り上げられることも無い田舎の無名なコーヒー豆自家焙煎店です。
そのような二流三流のコーヒー豆自家焙煎店であっても、一流とされている(度々マスコミに登場する)コーヒー豆自家焙煎店と対等に勝負できる環境が整って来ています。
珈琲に関する情報はオンラインを通じて世界中から収集できて、自家焙煎コーヒー豆(クラフトコーヒー)の原料となるスペシャリティーコーヒーもオンラインを通じて調達することが出来ます。
マスコミに取り上げてもらえなくても、ホームページ・ブログ・ショッピングサイト・SNSを通じて自分で簡単に情報発信することができて、情報発信のコツをつかめば相当程度の効果を手に入れることが出来ます。
オンラインと日常生活
2023年3月現在、和歌山市の小さなコーヒー豆自家焙煎店「エカワ珈琲店」の商売は、完全にインターネット(オンライン)に依存しています。
10年前なら考えられなかった商売が、スマートフォンの普及によって可能になっています。
食べ物・飲み物についても、オンライン検索は日常茶飯の出来事になっていて、消費者の知識レベルが10年前・20年前とは比較にならないくらい増えています。
そして、オンラインを利用すれば、地方で生活していても、世界中・日本中の美味しい食べ物が簡単に手に入るようになっています。
標準化されたグローバル商品も、「地産地消」・「生産者の顔が見える商品」など少量生産のローカル商品もオンラインを通じて手に入れることができます。
もちろん、前者の商品よりも後者の商品の方が、価格は相当に高いわけですが。
【参考】エカワ珈琲店のコーヒー生豆調達先探しの物語です。参考にして頂けるかもしれません。