昭和の時代の喫茶店飲食業界(自家焙煎コーヒー豆小売店を含む)は、大・中・小の棲み分けができている業界でした。
大手・中規模事業者が、小規模零細事業者の領域に入って来て事業を営むことなど、まず有り得ないことでした。(それぞれの市場が拡大を続けていたので)
何故かというと、喫茶店飲食業界(自家焙煎コーヒー豆小売店を含む)は労働集約型の業界で、経営者やその家族が朝から晩まで時間給という概念を忘れて、普通のサラリーマンの倍以上働いている小規模零細事業者と競争しても、大手・中規模事業者に勝ち目がなかったからだと思います。(毎年・毎年、労働者の賃金は上昇していたので)
それが、バブル経済が崩壊して失われた時代が始まって、事情が変わってしまいました。
それほど人件費に気を使う必要が無くなって、生産性の低い小規模零細事業者の領域に大手・中規模事業者が入って来れるようになって、棲み分けが無くなってしまいました。
その結果、競争力で劣る小規模零細事業者が衰退して廃業が相次いだわけです。小規模零細事業者が集まっている商店街の衰退を見れば理解できると思います。
失われた10年、失われた20年は、底辺への競争の時代だったと考えています。
21世紀に入ってからは、『人の倍働く』という、小規模零細事業者の生き残り方法が完全に無力化してしまいました。20世紀には存在していた、大中小の棲み分けが無くなってしまいました。(技術の進歩という面もあったかもしれませんが)
そこで、小規模零細事業者が、どのようにしたら生き残っていけるのか考えてみると、その方法は、特定の消費者にサービスを提供する少量生産・少量消費型ビジネスに特化することしか年老いた珈琲豆焙煎屋には思いつきません。
おそらく、少量生産で付加価値の高い商品・サービスを商って生き残って行くしか道は無いような気がします。(現在は、縮小経済の時代ですから)
年齢に関係なく、時代に背を向けること無く、経験(スキル)を積み重ねて、技術を磨いて、知識をどん欲に吸収して時代とともに変化していかなければ、生き残るのが難しい時代になっているのだと実感しています。
『20世紀の時代が懐かしい』と感じている、60代後半(あと1年で70歳)に到達している小規模零細事業者(自家焙煎コーヒー豆小売店)には、厳しい時代であることだけは確かです。でも、もしかしたら、面白い時代がやって来ているのかもしれません。