年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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クジラのコーヒービジネスとアリのコーヒービジネス

その昔、街中の小規模零細事業者は、その業界の大企業や中規模企業があまり興味を持っていない場所で商売を成り立たせていました。 

例えば、1990年代、地方の町の零細なコーヒー豆自家焙煎店は、大手・中堅珈琲企業が興味を示していなかったオフィスコーヒーサービスで、売上の大半を賄っていました。

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(Wikipedia/クジラから引用しています。)

 

【目次】

 

オフィスコーヒーサービスはコモディテイー市場

2000年前後から、大規模・中規模のコーヒー企業がオフィスコーヒーサービスに進出してくると、あっという間に売上の大半を失ってしまいます。

焙煎したコーヒー豆の香り・風味は勿論、価格的にも決して劣っていなかったのですが、最新鋭の抽出マシーンを無償で貸与するという大規模・中規模コーヒー企業のビジネスに太刀打ちできなかったわけです。

2000年前後から、大規模・中規模のコーヒー企業がオフィスコーヒーサービスに進出してくると、あっという間に売上の大半を失ってしまいます。

 

オフィスコーヒーサービスは業務用市場に変身

焙煎したコーヒー豆の香味や価格では、決して劣っていなかったのですが、最新鋭のマシーンを無償で貸与するという大規模・中規模コーヒー企業のビジネス(営業力)に太刀打ちできなかったわけです。

大規模・中規模コーヒー企業としては、喫茶店・飲食店向け業務卸で効果を発揮していた手法を、オフィスコーヒー(職域販売)にも採用しただけですが、それが絶大な効果を発揮しました。

そして、2000年代の中頃ともなると、地方の町の零細なコーヒー豆自家焙煎店は、その町のオフィスコーヒー向け業務コーヒー豆市場から完全に締め出されていました。

 

ファーマーズ市場とローカルフードムーブメント

アメリカでは、2000年代の中頃から、ローカルフードが大きなムーブメントを作り出しています。

グローバル経済の影響で、これまでの流通ルートから弾き飛ばされた農産物生産者が、生き残りのために自分たち独自の農産物流通ルートを作りました。

それが、ファーマーズマーケットです。

新鮮で品質の良い農産物を供給する生産者と、少し価格が高くても美味しくて健康的な農産物を求める消費者の出会いの場がファーマーズマーケットで、食に関心の深い消費者を引き付けました。

このファーマーズマーケットを起点に、ローカルフードムーブメントが発生したのだとエカワ珈琲店は理解しています。

 

サードウェーブコーヒーの始まりは

ブルーボトルコーヒー、スタンプタウンコーヒーと言えば、サードウェーブコーヒーの担い手として有名ですが、その始まりがファーマーズマーケットからという話は良く知られています。

ブルーボトルコーヒーもスタンプタウンコーヒーも、その初期には、既存の流通ルートから締め出されていたのだと思います。

喫茶店・飲食店・オフィスコーヒーの業務コーヒー豆市場から締め出された地方の町の零細なコーヒー豆自家焙煎店は、どうしようも無いという絶望感を味わいます。

しかし、稼がなくては暮らして行けないので、何度も何度も試行錯誤を繰り返して、最終的に、小規模零細のコーヒー豆自家焙煎店独自のコーヒービジネスを手に入れることができたわけです。

 

クジラのビジネスとアリのビジネスは交わらない

その結果として、現在(2016年)でも、その地方の町の零細なコーヒー豆自家焙煎店は元気に商売を続けています。

零細なコーヒー豆自家焙煎店でなければ成り立たないコーヒービジネスが存在していて、そのコーヒービジネスは、大規模・中規模のコーヒービジネスとは全く異なった空間・領域の商売だったわけです。

地方の町の零細なコーヒー豆自家焙煎店のコーヒービジネスは、量子力学のようなコーヒービジネスなのだと思います。

大規模・中規模コーヒー企業はクジラのコーヒービジネスなら、地方の町の零細なコーヒー豆自家焙煎店はアリのコーヒービジネスを営んでいるのだと思います。

相対性理論と量子力学理論が、今のところ交わっていないのと同じように。

 

頂上への競争と底辺への競争

そして、アリのコーヒービジネスでは頂上への競争が行われていて、クジラのコーヒービジネスでは、高性能コーヒー抽出マシーンの貸し出し競争など、未だに底辺への競争が行われているようです。

クジラのコーヒービジネスの市場規模や市場の状況を考えると、クジラのコーヒービジネスの世界では、これから、大規模コーヒー企業と中規模コーヒー企業、それに続くコーヒー会社の間で、熾烈な底辺への競争が発生する可能性もあるのだと、傍観者であるエカワ珈琲店(店主は老いた珈琲豆焙煎屋)は考えています。

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