コーヒー豆は、コーヒーノキに成る果実の種(タネ)です。
コーヒー果実には、フラットビーンと呼ばれる平な豆(種)が2個、向かい合って収まっていますが、ビーベリーと呼ばれる丸い豆(種)が1個だけ収まっていることもあります。
コーヒー果実に収まっている豆(種)がビーベリーである確率は、約10%前後だと言われています。
ビーベリーには、フラットビーンと異なる独特の香味・コクがあるということで、欧米には、一定数のビーベリーファンが存在していて、その需要を中小のロースターが充たしていました。
20世紀は、マスマーケティング全盛の時代です。
「マスマーケティング=寡占化」の等式が成り立つわけですから、コーヒー業界でも、大手・中堅ロースターによる寡占化が進行していました。
日本でもそうですが、欧米でも、コーヒー消費市場の寡占化が進行して、その影響で、中小零細ロースターの数が減少して行きました。
寡占化が進むことで、ヨーロッパに存在していたビーベリーコーヒーに対する需要も減少して行ったという話を聞いたことがあります。
「寡占化=消費者の選択肢の減少」だと思います。
マスマーケティングは、大量生産・大量流通のマーケティングですから、当然、大手・中堅コーヒーロースターによるコーヒー消費市場の寡占化が進行します。
その結果として、コーヒー消費者の選択肢が少なくなって行くことになります。
その反動としてやって来ているのが、2000年代の中頃から始まった世界的なコーヒー豆自家焙煎店ブームだと筆者(年老いた珈琲豆焙煎屋)は考えています。
21世紀に入ると、北米大陸で小規模・零細ロースターが数多く誕生して、大量生産されるコーヒー以外の選択肢(少量生産のコーヒー)を提供することで、その小規模・零細ロースターの皆が仲良く成長を続けていて、そのコーヒー消費市場は拡大しています。
小規模・零細ロースターが数多く登場して来ることで、コーヒー消費者は、1つのロースターの焙煎コーヒー豆だけでは無くて、幾つものロースターの焙煎コーヒー豆を選択できるようになったわけです。
日本の場合、21世紀に入っても、大手・中堅コーヒーロースターによるコーヒー消費市場の寡占化が進行していたのですが、2010年前後の頃から、ちょっとコーヒー消費市場の雰囲気が変わり始めました。
2010年代中頃になると、地方都市の小さなコーヒー豆自家焙煎でも、コーヒー消費市場の雰囲気が変わって来ているのを体感できるようになって来ました。
北米大陸同様に、小規模・零細ロースターが提供する少量生産のコーヒー(自家焙煎コーヒー豆)に注目する人が増えて来ていたのだと思います。
2010年代になって始まった日本の新しいコーヒー豆自家焙煎店ブームですが、2020年代に入って、ますます活況を呈しているように感じられます。
筆者は、最近のコーヒー豆自家焙煎店商売体験から、コーヒー消費全体の10%から20%くらいを、コーヒー豆自家焙煎店がコーヒー消費市場に供給する「煎りたて・新鮮な自家焙煎コーヒー豆」が占める時代が、もう目の前に迫って来ていると感じています。
これからのコーヒー豆自家焙煎店商売ですが、パン職人が毎日パンを焼いて、その焼きたてのパンを売っている街のパン屋さんと同じように、「スモール」と「ローカル」という2つの単語がキーワードになる商売になって行くのだろうと思っています。
パン好きの人たちは、街のパン屋さん巡りをして、焼きたてのパンを買って楽しんでいます。
ケーキ好きの人たちは、街のケーキ屋さん巡りをして、作りたてのケーキを楽しんでいます。
同じように、コーヒー好きの人たちは、街のコーヒー豆自家焙煎店巡りをして、煎りたて新鮮、香りの良いコーヒーを楽しむようになって来ているように思います。
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これからのコーヒー豆自家焙煎店のキーワードは、スモールとローカルだと筆者は考えています。
北米大陸では、マイクロロースターも元気ですが、それよりも事業規模の小さいナノロースターも頑張っていて、次から次へと新しいナノロースターが誕生しているという話が聞こえて来ます。
日本のコーヒー豆自家焙煎店の大半の事業規模は、北米大陸のナノロースターの事業規模と同じくらいです。
ナノロースターの事業基盤は、地域密着商売(ローカルビジネス)だと思っています。
そして、日本のコーヒー豆自家焙煎店の事業基盤も、地域密着商売(ローカルビジネス)だと思っています。
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