年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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マルチロースターショップ(Multi-Roaster-Shops)の利点と問題点

コーヒーにある程度の興味を持っている人なら、もしかしたら、マルチロースターショップ(Multi-Roaster-Shops)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

一般的に、コーヒーにこだわる喫茶店は1つの自家焙煎コーヒー豆ブランドを選択しています。

これは、日本でもアメリカでも変わらないようです。

その例外として、2010年代の中頃、アメリカ西海岸に登場したのがマルチロースターショップ(Multi-Roaster-Shops)だと、年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。

 

【目次】

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Sprudgeより引用、ベイエリアのマルチロースターショップ「Modern Coffee」の店内

マルチロースターショップ(Multi-Roaster-Shops)

2010年代中頃のアメリカで、コーヒー豆自家焙煎を選択せずに、複数のロースター(特に、地域のコーヒー豆自家焙煎店)から焙煎コーヒー豆を調達して、その焙煎コーヒー豆をメニューに載せている喫茶店が登場しました。

まず、アメリカでブームになって、その後ヨーロッパ(特に、イギリス)にもブームが伝搬して、現在(2019年秋)、マルチロースターショップを選択する喫茶店やレストランが世界的に増加傾向をしめしているというニュースに接することもあります。

ブームになっているということは、お客さんに受け入れられているということだと思うのですが、焙煎コーヒー豆を調達する喫茶店の立場から見れば、良い点だけでなくて問題点も存在しているようです。

そこで、喫茶店がマルチロースターショップ(Multi-Roaster-Shops)を採用するについての利点と問題点を、コーヒー豆自家焙煎歴31年で零細生業パパママ経営の自家焙煎珈琲豆焙煎屋の視点から考察してみました。

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マルチロースターショップ型喫茶店の利点

マルチロースターショップ型の喫茶店は、コーヒー豆を自家焙煎する替りに幾つかのコーヒー豆自家焙煎店や地域の小・中規模ロースターから焙煎コーヒー豆を仕入れてお客さんに提供する喫茶店です。(最近は、レストランでも採用されているようですが)

まず、マルチロースターショップを採用している喫茶店の良い点です。

名前の知られているロースター、あまり名前の知られていないロースター、新しく商売を開始したロースターと、色々なロースターの素晴らしい焙煎コーヒー豆と出会うことができます。

あまり名前の知られていないロースターの焙煎コーヒー豆を取り扱うことで、お客さんの好奇心を刺激することができるかもしれません。

マルチロースターショップの喫茶店にやって来るお客さんは、異なったロースターの焙煎コーヒー豆と触れ合うことで、新しいコーヒーの旅を楽しむことができます。

店のスタッフは、それぞれのロースター(焙煎屋)のコーヒー物語をお客さんに説明することで、お客さんのコーヒー旅行を応援できます。

もし、あるロースターの供給する焙煎コーヒー豆に不満が発生しても、不愉快な思いをしてクレームをつける必要がありません。

お客さんは、自分たちの印象に残る焙煎コーヒー豆だけを選択するわけですから、そのロースターの焙煎コーヒー豆がお客さんの選択からはずされるだけです。

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マルチロースターショップ型喫茶店の問題点

マルチロースターショップを採用することで、特定のロースターとだけ、確固とした信頼関係を構築するというビジネスモデルが成り立たなくなるかもしれません。

ホールセール(業務卸)とは、ロースター(焙煎屋)が、多量の焙煎コーヒー豆を購入してもらうことを前提にして、ホールセール価格で喫茶店に焙煎コーヒー豆を納入するシステムです。

複数のロースターと取引するマルチロースターショップの場合、個々のロースターからの購入量が少なくなりますから、個々のロースターからの焙煎コーヒー豆の購入価格が高くなる可能性があります。

ある程度の規模を持つ業務卸専門珈琲ロースターは、喫茶店業務のトレーニングや販促品の供給、その他の喫茶店ビジネスに対するサポートを、無料か格安料金で提供してくれます。焙煎コーヒー豆以外にも、シロップや食品材料の供給もサポートしています。

ですから、マルチロースターショップは、珈琲ロースターによるサポートを受けるチャンスを逃がす可能性があります。

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マルチロースターショップの先進性

考え方によれば、マルチロースターショップ(Multi-Roaster-Shops)とは、喫茶店のお客さんによるロースター(コーヒー豆焙煎屋)の人気コンテストだと思います。

ロースター(コーヒー豆焙煎屋)のお客さんは喫茶店の経営者という時代が終了して、ロースター(コーヒー豆の焙煎屋)のお客さんは喫茶店のお客さんという時代が、もうすぐやって来るかもしれません。(マルチロースターモデルを採用する喫茶店限定ですが)

喫茶店Aに、ロースターのBとCとDが焙煎コーヒー豆を運んでいる、それがカッコイイという時代が、もうすぐやって来るのかもしれません。

アメリカやヨーロッパの独立系喫茶店やレストラン、それに食品店などは、その方向に向かっているように見えます。

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マルチロースターショップの経済効果

マルチロースターショップ(Multi-Roaster-Shops)の喫茶店が増加すれば、小規模なローカルロースターの市場が開けるわけですから、小規模なローカルロースタービジネスに新規参入する若い人が、増加するかもしれません。

マルチロースターショップ(Multi-Roaster-Shops)の喫茶店ビジネスは、基本的に、喫茶店にやって来るお客さんによるロースター(コーヒー豆の焙煎屋)の人気コンテストです。

 営業力の弱い小規模なロースター(コーヒー豆自家焙煎店)であっても、品質の高い自家焙煎コーヒー豆を供給することができれば、人気コンテストで上位の位置をキープすることができて、それが、ビジネス発展のきっかけになるかもしれません。

ロースター(焙煎屋)の新陳代謝が活発化イコール、コーヒー焙煎業界やコーヒービジネスの活性化を意味しています。

マルチロースターショップの喫茶店やレストランが、コーヒービジネスの活発化を応援する存在となるかもしれません。

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