アメリカで発行されているコーヒー豆焙煎事業者向けの隔月刊雑誌「ローストマガジン」が主催する、『今年のロースター大賞」的なコンテストがあります。
この賞の対象となるコーヒー豆焙煎事業者を、年間コーヒー豆焙煎量45トンくらいを境目として、それ以下ならマイクロロースター、以上ならラージロースターと2つのカテゴリーに分けて、賞が授与されているようです。
目次
- マイクロロースターのコーヒー豆焙煎量
- 北米ではマイクロロースター、日本では業務卸専門の中小ロースター
- 北米ではナノロースター、日本ではコーヒー豆自家焙煎店
- マイクロロースターとナノロースター
- ナノロースターが当たり前に存在する時代に
- サードウェーブコーヒーは進化する
- 関連ストーリー
マイクロロースターのコーヒー豆焙煎量
アメリカでも、日本同様、大中小様々な焙煎事業者が存在しているのだと思います。
北米大陸で営業しているマイクロロースターの大半は、月間2トン~4トンくらいのコーヒー豆を焙煎しているのだと思います。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、連れ合いと二人だけで小さなコーヒー豆自家焙煎店「エカワ珈琲店」を営んでいます。
そのエカワ珈琲店ですが、全盛期でも月間コーヒー豆焙煎量は約500kg~600kgくらいで、現在は、その20~30%くらいのコーヒー豆焙煎量となっています。
アメリカのコーヒー業界ですが、数多くのマイクロロースターが存在していて、そのマイクロロースターが、年間数十トン以上のコーヒー豆を焙煎加工するラージロースターへ成長するという形で発展しているのだと思います。
北米ではマイクロロースター、日本では業務卸専門の中小ロースター
北米のマイクロロースター=日本のコーヒー豆自家焙煎店と考えていた時期もあったのですが、現在(2019年)は、エカワ珈琲店クラスのコーヒー豆自家焙煎店をマイクロロースターと考えるのには無理があると考えています。
日本のコーヒー業界で、北米大陸のマイクロロースターにあたる存在は、業務卸主体の商売を営んでいる中小ロースターだと思います。
北米ではナノロースター、日本ではコーヒー豆自家焙煎店
2000年代の北米大陸では存在しなかった用語なのですが、2010年代の中頃(2015年頃)から、ナノロースター(nano-roaster)という用語を見かけるようになっています。
1週間のコーヒー豆焙煎量が100kg以下(月間コーヒー豆焙煎量400kg以下)のロースターを、ナノロースター(nano-roaster)という用語で表現しているようです。
ということで、エカワ珈琲店クラスのコーヒー豆自家焙煎店を英語で表現する場合、ナノロースター(nano-roaster)と表現するのが似合っているのだと考えている今日この頃です。
ちなみに、エカワ珈琲店ですが、2019年8月の月間コーヒー豆焙煎量は100kg未満でした。1週間単位なら20kg~30kgです。
マイクロロースターとナノロースター
マイクロロースターは、焙煎容量5kgのコーヒー豆焙煎機なら2台以上、1台だけなら焙煎容量10kg以上のコーヒー豆焙煎機を所有しています。
ナノロースター(nano-roaster)は、焙煎容量5kgのコーヒー豆焙煎機を所有していれば大きい方で、焙煎容量200g~300gの焙煎機を使ってコーヒー豆を焙煎している場合も多々あるようです。
北米大陸では、ナノロースター(nano-roaster)が増加を続けていて、サードウェーブコーヒーの焦点が、マイクロロースターからナノロースターに移りつつあるようです。
日本のナノロースターであるコーヒー豆自家焙煎店も、その数を増やし続けています。
北米大陸のナノロースターも日本のコーヒー豆自家焙煎店も、喫茶店経営の複業としてコーヒー豆を焙煎加工している事業者が大半です。
喫茶店でも、焙煎コーヒー豆の販売でも、どちらでも食べて行ける状態を確保しているのだと思います。
ナノロースターが当たり前に存在する時代に
年老いた夫婦が営んでいるエカワ珈琲店の場合は、ホームロースト向けのコーヒー生豆小売販売と、これまでの経験(スキル)・知識・技術の販売という2つの複業を営んでいます。
2021年の秋からは、テイクアウトコーヒー専門の喫茶店も始めています。
将来的には、お客様持ち込みのタンブラーでコーヒーを買ってもらうテイクアウトコーヒービジネスも始めようかと考えています。
今後、北米大陸でも日本でも、喫茶店の複業として、ナノロースター(nano-roaster)が当たり前の時代がやって来るだろうと想像しています。
サードウェーブコーヒーは進化する
アメリカで発生した「コーヒー第3の波/サードウェーブコーヒー」ですが、日々、進化しているのだと思います。
地域の中小ロースター(焙煎会社)が、独立系の喫茶店チェーンや喫茶店、高級食料品店、独立系レストランに焙煎コーヒー豆を供給することで、供給する側も供給される側も共に成長して行ったのが、アメリカで発生したサードウェーブコーヒー(コーヒー第3の波)の初期形態だと考えています。
アメリカでサードウェーブコーヒー現象が発生した2000年代、成長を続ける地域ロースターの中で、急成長して注目されたロースターが、カウンターカルチャーやスタンプタウン、インテリジェンシアなどの有名ロースターだったと考えています。
2010年代になると、独立系の喫茶店が、幾つかの有名・無名のロースター(焙煎会社)から焙煎コーヒー豆を仕入れるマルチロースターが流行します。
そして、2010年代の半ばになって、独立系の喫茶店がコーヒー豆を自分たちで焙煎するナノロースター(コーヒー豆自家焙煎店)の時代に突入しようとしているのだと思います。
関連ストーリー