ハニープロセス(Honey Process)、コスタリカ発の新しいコーヒー豆生産方法

何故、コーヒー豆の精製処理が必要なのか

コーヒーノキになるコーヒー果実がどのような栽培条件で育って、いつ収穫されて、どのように精製処理されて商品としてのコーヒー豆(生豆)になるかは、コーヒーの価値を大きく作用します。

特に、コーヒー豆精製処理工程の適否は、最終的に消費者が口にする一杯のコーヒーの風味・香りに大きな影響を与えると言われています。

収穫されたコーヒー果実(コーヒーチェリー)は「生もの」ですから、そのまま放置すればすぐに腐敗してしまいます。ですから、早めに乾燥処理して水分を少なくして、長期の輸送と保存に耐えられる状態にする必要があります。

そのための方法が、コーヒー豆の精製処理です。コーヒー豆の精製処理方法として、アンウォッシュド(水洗式)、ウォッシュド(自然乾燥式、非水洗式、ナチュラルプロセス)、セミウォッシュド(半水洗式)の3つの精製処理方法が知られています。

 

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(アイキャッチ用イメージ写真です。ハニープロセスと全く関係ありません)

コーヒーの果実(コーヒーチェリー)

コーヒーの果実は、大まかに5つの層で構成されています。

外皮に包まれた甘い弾力のある果肉(パルプ)が、一番外側の層です。ナチュラルプロセス(自然乾燥式、非水洗式)で精製処理する場合を除いて、この果肉の部分は数時間以内に除去されます。

果肉(パルプ)と種子(コーヒー豆)の間には、ミューシレージと呼ばれるヌルヌルした部分(層)とパーチメントと呼ばれる繊維質の厚い皮の部分(層)があります。

さらにその内側には、シルバースキンと呼ばれる薄皮が種子(コーヒー豆)を包んでいます。焙煎中に発生するチャフは、このシルバースキンがコーヒー豆から分離したものです。そして、5つ目の層がコーヒー果実の種子です。

コーヒー果実の種子に含まれている水分を乾燥処理して、長期間保存できるように処理したのが、商品としてのコーヒー豆(生豆)です。

 

自然乾燥式(ナチュラルプロセス)

収穫したコーヒー果実をそのままコンクリートの乾燥場に広げて日光乾燥させると、外皮や果肉が黒い殻状になって種子を包むドライチェリーとなります。これを脱穀機にかけて、種子の外側の殻状部分を除去するとコーヒー豆が出来上がります。

水の便が良くないエチオビアやブラジルで採用されているコーヒー豆精製処理方法で、昔ながらのコーヒー豆精製処理方法です。

この精製処理方法で処理されたコーヒー豆は、フルーティーな風味・香りを持っていると言われています。

 

水洗式(ウォシュド)

一般的に、コーヒー果実の外皮・果肉は、果肉除去機を使って除去します。そして、コーヒー生豆を発酵タンク(発酵槽)に入れて果肉と種子の周りの粘着物を取り除きます。この時の種子(コーヒー生豆)の発酵状態によって、酸味や風味が違ってきます。

発酵させたコーヒー生豆は、水洗場で水洗いしてから乾燥場で乾燥させます。

 

半水洗式(パルプドナチュラル、セミウォッシュド)

パルプドナチュラル(セミウォッシュド)はブラジルの機械メーカーによって開発されて、広くブラジルで採用されているコーヒー豆精製処理方法です。

水洗式(ウォシュド)とよく似たコーヒー豆精製処理方法ですが、圧力洗浄装置を使ってコーヒー果実の粘液を除去するので、発酵槽を使わず処理することができます。

果実の成熟度を均一にして、不完全豆の混入と発酵槽→水洗工程で起こりやすい発酵臭や品質劣化を回避できると言われています。しかし、発酵が無いので風味は安定していますが、やや淡白な味わいになるとも言われています。

 

ハニープロセス

収穫したコーヒー果実から実の部分を取り除いて乾燥させます。乾燥させるだけだと、コーヒー豆の表面に果肉のヌルヌルした部分(ミューシレージ)が残ります。水洗いすると、その残っている果肉のネバネバした部分が全て取り除かれてしまいます。

ハニープロセスとい名のコーヒー生豆精製方法は、その果肉の部分を残す新しい精製方法で、コスタリカで開発されて大流行して、他の中米諸国に広がりつつあると言われています。

ミューシレージと呼ばれる果肉とコーヒー豆の境目にある粘液部分(コーヒー豆表面についているぬるぬるした粘液)を、ハニー(蜂蜜)と呼ぶこともあります。これが、ハニープロセスの由来だと考えられます。

 

ハニープロセスの種類

ミューシレージと呼ばれる果肉とコーヒー豆の境目にある粘液部分(コーヒー豆表面についているぬるぬるした粘液)をハニー(蜂蜜)と呼ぶこともあります。そのハニー(orミューシレージ)の部分を残す割合の違いが、淹れたコーヒーの香味に影響を与えると言われいます。

ハニー精製(ハニープロセス)は、このハニー(orミューシレージ)を残す割合を、ケースバイケースで変更する精製方法だと言われています。

100%ミューシレージを残して精製しているコーヒー生豆をブラックハニー、ミューシレージを半分くらい残して精製しているコーヒー生豆をイエローハニー、ほとんど取り除いて精製しているコーヒー生豆をホワイトハニーと呼んでいます。

ブラックハニー、イエローハニー、ホワイトハニーの中で一番手間がかかるのがブラックハニーで、次いでエローハニー、ホワイトハニーの順番になっています。それが、ハニープロセスで精製処理されたコーヒー豆の中で、ブラックハニーが一番高価な理由だと言われています。

 

ハニープロセスの歴史 

ハニープロセスはコスタリカで開発された精製方法で、パルプドナチュラルに分類される精製方法だと言われています。2000年代、地震などの影響で水不足に陥ったコスタリカで発展して来た精製方法で、最近では、グァテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、メキシコ、それにブラジルでも、ハニープロセスによるコーヒー豆精製処理プロセスを採用する農場・農園が増えて来ていると言われています。

 

ハニープロセスの問題点と利点 

乾燥中に大雨に晒されたら・・・、果実のヌルヌルした部分(ミューシレージと呼ばれるペクチン層)が乾燥中に過剰発酵して酢酸を作り過ぎたら・・・、乾燥中にミューシレージにカビが発生する可能性は・・・、と言った問題もあるようです。

しかし、ハニープロセスは、水(淡水)の使用量が少なくできて処分を必要とする廃棄物の流出量も少なくなるので、環境に優しくて自然資源を保護するコーヒー生豆精製方法だと言われています。

ハニープロセス(ハニー精製)の登場で、コスタリカ産のコーヒー豆(生豆)の付加価値が上昇したことは確かのようです。

 

ハニープロセスとコーヒーの風味

ミューシレージ(ヌルヌルした粘着部分)を乾燥させる時間は、それほど長くは無いそうですが、その短い時間の間にも発酵は発生します。ですから、圧力洗浄によって発酵をスキップできるパルプドナチュラル(セミウォッシュド、半水洗式)で精製処理したコーヒー豆と比べると少し酸性度が高くなると言われています。