年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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コーヒー産業30年間の軌跡 | 街の珈琲屋が経験したコーヒー産業の30年 | 平成コーヒー産業体験史

和歌山市のエカワ珈琲店は、年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦が2人だけで営んでいる自家焙煎コーヒー豆小売専門店(零細生業店)です。

先代が、「純喫茶コロナ」という屋号の喫茶店を営んでいたのですが、閑古鳥が鳴くようになっていて、昭和から平成へと年号がかわったのを契機に自家焙煎コーヒー豆小売専門店に商売替えしました。  

 

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地方都市のコーヒー豆自家焙煎店の30年

1989年8月(平成元年の夏)、学習参考書の学研が製造販売していたマイコン内蔵のショップ向けコーヒー豆焙煎機「ユーカース」を購入、自家焙煎コーヒー豆小売販売に参入しました。

「ユーカース」は、自動で約500gのコーヒー生豆を焙煎できる性能を持つ熱源が電気の小型コーヒー豆焙煎機で、価格は50万円くらいだったと記憶しています。コーヒー生豆の購入先はUCCコーヒーで、ユーカース焙煎機の購入先もUCCコーヒーでした。

1990年前後、自家焙煎コーヒー豆小売ビジネスが密かに流行っていました。和歌山市のエカワ珈琲店も、その密かな流行に乗っかったわけです。

平成の30年間、コーヒー豆自家焙煎店は増え続けました。そして、21世紀の現在(2019年)、コーヒー豆自家焙煎店が、若い人たちが好む仕事の1つになっているようです。

コーヒー豆自家焙煎店のビジネスモデルですが、平成のはじめ頃は、エカワ珈琲店タイプの自家焙煎コーヒー豆小売ビジネスが主流でしたが、焙煎コーヒー豆小売ビジネスは、カルディーコーヒーファームのような大手チェーン店の独断場となっていて、小規模零細な自家焙煎コーヒー豆小売店に一時の勢いがなくなっています。

現在(2020年)のコーヒー豆自家焙煎店のビジネスモデルは、喫茶店を営みながら自家焙煎店コーヒー豆を小売していて、自家焙煎コーヒー豆のホールセール(業務卸)も営むというビジネスモデルが主流になっています。

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個人経営の喫茶店が減少を続けている

1990年頃の喫茶店数は約15万店くらいでしたが、現在(2019年)の喫茶店数は半分以下の6万数千店くらいにまで減少しています。 

1970年代、脱サラ希望者のあこがれの仕事はパパママ規模の喫茶店経営でした。ですから、1980年代の中頃まで(飽和店数に達するまで)喫茶店数が増え続けたわけです。

現在(2020年)、個人経営の喫茶店は儲けられないビジネスになっています。しかし、1980年代の中頃までは儲けられビジネスでした。開業に1500万円~2000万円くらい投資しても、数年を待たずに回収できたわけですから。

平成になって、個人経営の喫茶店からの客離れは、年を追うごとにスピードを増して行きます。そして、年を追うごとに儲からないビジネスになって行きました。

個人経営の喫茶店数減少ですが、2020年の現在でも「只今進行中」です。個人経営の喫茶店が儲けられないビシネスから脱出できない限り、この傾向は続くと考えています。

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焙煎コーヒー豆の業務卸はロースターから自家焙煎店へ

1970年代、1980年代、業務卸主体の珈琲ロースターは「我が世の春」を謳歌していました。喫茶店の新規開業を請け負えば、1000万円近くの一時的売上を手にすることができて、開業すれば焙煎コーヒー豆や食材を納入して儲けられるわけですから。

喫茶店数が増え続けていて、喫茶店市場も拡大を続けているわけですから、毎年・毎年、売上増が続くのは当然の結果だったわけです。

個人経営の喫茶店数の減少が始まって、同時に新規開業が少なくなって来ると、業務卸主体の珈琲ロースターの勢いにかげりが出てきます。

弱小資本の小規模珈琲ロースターの経営は苦境に陥って、資本力に乏しい中規模珈琲ロースターの経営も苦しくなってきます。

大手・中堅珈琲ロースターの場合、個人経営の喫茶店への依存度が小さかったので、それほど大きなダメージを受けなかったようですが、それでも、ある程度のダメージを受けたのは間違い無いと思います。

2020年の現在、個人経営の喫茶店・カフェ・レストラン・ホテルなどの業務用焙煎コーヒー豆需要は、新手のコーヒー豆自家焙煎店に少しずつ流れつつあるようです。

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スターバックスコーヒーがやって来た

1980年代から、街の喫茶店数の減少が始まります。店舗数が飽和状態になっていた街の喫茶店から、お客さんが離れ始めます。1990年代に入ると、その勢いが増していきました。

その時期、アメリカでは、スターバックスコーヒーという喫茶店チェーンが拓大を続けていて、店舗にはお客さんが溢れていました。当時、日本のコーヒー関係者は、スターバックスコーヒーの大成功に大変な興味を示していました。

そのスターバックスコーヒーが、本格的に日本に進出して来ました。

1996年8月、スターバックスコーヒーの日本進出1号店が東京・銀座に開店して、日本におけるスターバックスコーヒーフィーバーが始まります。

日本進出当時、すでに知名度バツグンだったスターバックスコーヒーは、マスコミで大々的に紹介されて、そして、出店すれば、どの店も超繁盛店となって、店内からお客さんが溢れ出て行列を作っている状態が何年間も続いて、急速に店舗数を増やしていきました。

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団塊消費?、喫茶店チェーンの隆盛

スターバックスコーヒーが日本にやって来てから10年くらいが経過して、2000年代の中頃になると、多種多様な喫茶店チェーンが成長のスピードを加速し始めます。

60歳で定年を迎えた団塊の世代が、再び街の喫茶店に戻ってくるのではと期待されていました。しかし、団塊の世代は、個人経営の街の喫茶店にでは無くて、フランチャイズの喫茶店チェーン〇〇珈琲店やそれに類する喫茶店チェーンを利用しています。

それが、〇〇珈琲店やそれに類する喫茶店チェーンが繁盛している最大の理由のような気がします。

喫茶店チェーンには、大雑把に、日本的でレトロな喫茶店チェーンとグローバル感覚の喫茶店チェーンの2種類があるように思います。

〇〇珈琲店やそれに類する喫茶店チェーンの店舗は、日本的でレトロな作りの喫茶店になっています。そして、フードメニューも充実しています。このタイプの喫茶店チェーンは、街の個人経営の喫茶店とファミリーレストランを足して2で割ったような営業形態ですから、街の喫茶店との競合が発生していて、街の喫茶店はのお客さんがそちらに移動しているような気がします。

 

2010年代、コンビニコーヒーが大繁盛

コンビニコーヒーは、2010年代に入ってから大躍進した喫茶店業態です。

便利で、淹れたてですから「まあまあ美味しい」のが、コンビニコーヒーの特徴だと考えています。(年老いた珈琲豆焙煎屋の独断と偏見かもしれませんが)

コンビニコーヒーのお客さんは、どこからやって来たのだろうかと考えたことがあります。

缶コーヒーから、街の喫茶店から、オフィスコーヒーサービスからと、色々なところからやって来ていると思うのですが、コンビニコーヒーが大躍進することで、街で飲むコーヒーと縁のなかった人が街でコーヒーを飲むようになったという事実もあるようです。

2010年代のコンビニコーヒー大躍進は、これまでのコーヒー消費者を取り込んだだけでなくて、新しいコーヒー消費者を開拓した結果なのかもしれないと考えています。

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