コーヒー豆の焙煎操作は、コーヒー豆(生豆)に高熱を与えて、コーヒー豆(生豆)に含まれている成分同志の間で、積極的な成分間反応を発生させて、その成分間反応の発生をコントロールする操作です。
そして、この成分間反応によって生成した嗜好成分を楽しむ飲み物が、コーヒーだと思っています。
コーヒー豆焙煎プロセスが進行して行くと、焙煎中のコーヒー豆の色が白色から褐色に変わって行って、その褐色が濃くなって行きます。
年老いた珈琲豆焙煎屋が、本格的にコーヒー豆焙煎の勉強を始めた頃(2000年前後の頃)、この褐色のもとになる物質をコーヒーメラノイジンと呼んでいました。
焙煎中のコーヒー豆に与えられる高熱で、コーヒーの色、香りや味の嗜好性成分を形作る成分間反応が発生して、高分子のコーヒーメラノイジンが作られて行くと理解しています。
年老いた珈琲豆焙煎屋などがコーヒーメラノイジンと呼んでいる褐色色素(褐色物質)は、焙煎コーヒー豆の約80%を占めているとされています。
一杯のコーヒーに含まれるコーヒー成分の60%以上は、糖質だと思っています。
その糖質の大半は、褐色物質のコーヒーメラノイジンだと理解しています。
一杯のコーヒーは、コーヒー生豆の品種や産地・精製方法の違い、焙煎方法の違い、焙煎人(ばいせんびと)のコーヒー豆焙煎に対する考え方の違い、使用している焙煎機・焙煎器具の違いによって、それぞれに特徴的な香味が醸し出される多様性を持つ飲み物だと思っています。
この多様性が、コーヒーという嗜好飲料の特徴だと、年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。
また、コーヒーの品質形成に預かっている色・味・香りの成分のうち、香りの成分にはあまり関係が無いと思っていますが、色と味に関係する成分の大部分は、褐色物質のコーヒーメラノイジンに含まれていると理解しています。
(1)コーヒーメラノイジン
褐色色素(コーヒーメラノイジン)の生成には、糖類だけが加熱反応するカラメル化反応と、糖類とアミノ酸が反応するメイラード反応、それと、メイラード反応に関係して発生するストレッカー分解の反応が関係していると理解しています。
コーヒー豆の焙煎では、メイラード反応の活発化に続いて糖類がカラメル化するカラメル化反応が発生すると理解しています。
そして、これらの化学反応によって作られる褐色色素が、コーヒーメラノイジンだと理解しています。
(2)コーヒーメラノイジンの形成
一般的に、メラノイジンは、還元糖とアミノ酸の反応で生成すると言われています。
コーヒーメラノイジンの生成には、還元糖とアミノ酸に加えて、コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸類)の非酵素的褐変反応も関係していると考えられます。
1994年の末に刊行された「コーヒー焙煎の化学と技術/著者、中林敏郎ほか」の168ページには、次のような記述があります。
コーヒーメラノイジンの形成は、糖―アミノ酸系の反応のみならず、クロロゲン酸などのフェノール類が焙煎の加熱による酸化が関与する。さらにショ糖、アミノ酸やタンパク質を巻き込んだ重合反応が起こり、色素物質が形成されて行くのが特徴である。あるいは、糖のカラメル化も起こっているかもしれない。
腐食酸とかメラノイジンとも呼ばれる褐色色素コーヒーメラノイジンは、焙焦食品の一般的な褐変と同じで、カラメル化反応、メイラード反応、ポリフェノール類(コーヒーの場合はクロロゲン酸)の酸化重合の3つの経路で作られて行くのだと年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。
(3)コーヒーメラノイジンの構造
焙煎のプロセスにおいて、コーヒー豆の成分は、高分子の窒素を含む褐色化合物であるコーヒーメラノイジンを形成する構造変化が起こります。
コーヒーメラノイジンの健康効果が注目されていて、欧米では、コーヒーメラノイジンと健康に関する研究が盛んに行われていると言う話も聞こえてきます。
コーヒーの褐色物質(コーヒーメラノイジン)の化学構造は、これまでの研究から、多糖類、タンパク質、およびクロロゲン酸(ポリフェノール化合物)が、その形成に関与していることが解明されているようです。
メイラード反応に関係するアミノ酸の種類によって、コーヒーの風味も変化するとも言われています。
再び、「コーヒー焙煎の化学と技術/著者、中林敏郎ほか」の168ページからの引用です。
コーヒーメラノイジンはが従来の糖-アミノ酸系のメラノイジンとは異なる。大部分の色には化学構造の詳細は別としても、フェノールの部分が組み込まれているのは事実である。
この記事、「コーヒーメラノイジンとは?コーヒーの褐色物質の秘密」のネタ元は、コーヒー豆自家焙煎談義【第3集】の第4章に収録している記事『コーヒーメラノイジ | 焙煎コーヒー豆の褐色色素(褐色物質)』がネタ元です。