【目次】
- コーヒーの香り・風味は、コーヒー豆焙煎中に発生する化学反応が作り出している
- コーヒー豆の焙煎
- コーヒー豆焙煎中の化学変化
- 水蒸気による多糖類の加水分解
- メイラード反応(アミノーカルボニル反応)
- 最初の亀裂音(ファーストクラック、1ハゼ)
- 2回目の亀裂音(セカンドクラック、2ハゼ)
- コーヒー豆とクロロゲン酸
- クロロゲン酸類
- コーヒー豆焙煎とクロロゲン酸
- コーヒーの苦味成分、焙煎コーヒー豆の褐色色素
コーヒーの香り・風味は、コーヒー豆焙煎中に発生する化学反応が作り出している
コーヒー豆焙煎プロセスでは、多くの熱化学反応が発生しています。
脱炭酸(二酸化炭素を放出する)、キナ酸部分の脱水、分解蒸留、異性化、重合、ショ糖が関係する複雑な化学反応などが発生すると考えられています。
熱で反応する主な成分は、単糖類とショ糖、遊離アミノ酸とトリゴネリンで、多糖類のアラビノースとガラクトースの両方は分解して、硫黄化合物とヒドロキシアミノ酸(コーヒーのタンパク質成分)に分解されると考えられています。
そして、炭水化物は重合と分解を繰り返して、焙煎度合(煎り具合)に応じて、多糖類の20~30%が、熱的に不安定な単糖類に分解されると言われています。
コーヒー豆の焙煎
コーヒー豆の焙煎は、熱を加えてコーヒー豆に物理的・化学的変化を引き起こして、焙煎コーヒー豆にコーヒー独特の風味を付与する作業です。
コーヒーの風味や香りは、コーヒー生豆に含まれている天然成分に、その大半を依存しているのだと思います。しかし、ある一定部分については、特定の条件、特に熱によって形成されると考えています。
そして、その一定部分を制御するのがコーヒー豆焙煎の技術だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
コーヒー豆焙煎中の化学変化
コーヒー生豆に含まれている約300の天然化合物が、焙煎という加熱プロセスを経て1000近くの化合物に変化します。
その焙煎プロセスで化学変化の重要な目安となるのが、1ハゼと2ハゼと呼ばれる物理現象だと年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。
ちなみに、焙煎プロセスで生成する1000近くの化合物のうち、その3分の1は重要な芳香族化合物だと言われています。
水蒸気による多糖類の加水分解
コーヒー豆焙煎の極意は、「はじめチョチョロ、中パッパ、パチパチなったら徐々にチョロチョロ」だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
『はじめチョロチョロ』の焙煎段階は、俗に「蒸らし」と呼ばれている焙煎段階です。必要無いという意見もありますが、どうしても同意できません。
メイラード反応(アミノーカルボニル反応)
メイラード反応は、焙煎コーヒー豆の風味と色を作り出す、焙煎中に発生する重要な化学反応で、メラノイジンという褐色の物質や芳しい香りのする幾多の物質を生成すると考えられます。
最初の亀裂音(ファーストクラック、1ハゼ)
中パッパの焙煎段階になると、コーヒー豆の成分と深く結合している水分(結合水)も水蒸気となります。
そして、その水蒸気の圧力でコーヒー豆の組織に亀裂が入る音が、「パチパチ」という第1回目の亀裂音(ファーストクラック、1ハゼ)だと年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。(コーヒー豆の物性的には、ガラス転移が関係していると思います)
この時点で、焙煎中のコーヒー豆の体積はコーヒー豆(生豆)の時の約2倍くらいになっていて、焙煎中のコーヒー豆から発せられる独特の香ばしい香りも出て来ます。
2回目の亀裂音(セカンドクラック、2ハゼ)
1回目の亀裂音(1ハゼ)は、水蒸気によって生じるコーヒー豆内部の圧力が引き起こす現象だと考えられていますが、2回目の亀裂音(2ハゼ)は、二酸化炭素やその他の揮発性ガスの生成によって引き起こされる現象だと考えられています。(これも、物性的にはガラス転移が関係していると考えています)
コーヒー豆とクロロゲン酸
年老いた珈琲豆焙煎屋は、コーヒー豆(生豆)に含まれるクロロゲン酸類のコーヒー豆焙煎中の化学変化が、一杯のコーヒーの風味に大きな影響を与えていると考えています。
コーヒー豆(生豆)に含まれているクロロゲン酸類の割合ですが、アラビカ種のコーヒー豆(生豆)で6~7%、ロブスタ種のコーヒー豆(生豆)は10%くらいだとされています。
クロロゲン酸類
コーヒー焙煎の化学と技術(著者、中林敏郎ほか、1995年発行)によると、
『コーヒー豆(生豆)に含まれるポリフェノール成分のほとんどは、桂皮酸誘導体とキナ酸のエステルで、桂皮酸誘導体の種類・数とキナ酸への結合位置によって多くの同族体があり、これらをクロロゲン酸類と総称している』と書いてあります。
コーヒー豆焙煎とクロロゲン酸
コーヒー豆(生豆)に含まれているクロロゲン酸類は、コーヒー豆焙煎中にゆっくりと分解して行き、キナ酸とカフェ酸(コーヒー酸)に分かれて行くと理解しています。
コーヒーの苦味成分、焙煎コーヒー豆の褐色色素
コーヒーの主な苦味成分であるクロロゲン酸ラクトンやフェニルインダン類の生成には、クロロゲン酸類が関与しているのは確かなようです。そして、焙煎コーヒー豆の褐色にもクロロゲン酸が関与していると考えられています。
この記事は、エカワ珈琲店の独断と偏見、『コーヒー豆焙煎中に発生する基本的な化学反応/その2』のダイジェスト版です。
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⇒ エカワ珈琲店の独断と偏見、『コーヒー豆焙煎中に発生する基本的な化学反応/その2』