コーヒー豆を含めて食品は、品質変換によって、多かれ少なかれ変色します。リンゴ果実の色のように保持させたい場合と、コーヒー豆の焙煎のように褐色に着色させたい場合があると思います。
そして、食品(コーヒー豆を含めて)が、加工または貯蔵中に褐色に変色する現象を褐変と呼んでいます。
この褐変現象には、酵素作用によるものと、酵素作用によらない化学作用によるものが知られています。
【参考】焙煎したコーヒー豆の褐変反応は、非酵素的褐変反応です。
【目次】
酵素的褐変反応
酵素作用による食品(コーヒー豆を含めて)の褐変現象を、酵素的褐変反応と呼びます。
果実や野菜の組織内に存在するカテキンやクロロゲン酸などのポリフェノール成分と、それを酸化する酵素であるポリフェノールオキシダーゼが接触して、褐色の物質を生成する現象が酵素的褐変反応です。
クロロゲン酸などのポリフェノール成分が酸化酵素によって酸化されて、その結果、キノン酸が生じます。そのキノン酸が重合したり、アミノ酸やタンパク質と結合したりして褐色色素が生じる現象が、酵素的褐変反応だと理解しています。
品質に悪い影響を与える酵素的褐変反応と良い影響を与える酵素的褐変反応
果実や野菜を切断して放置して置くと、黄~褐色に着色する酵素的褐変反応は、果実や野菜の品質を劣化させます。
しかし、紅茶やウーロン茶、ココアなどのように、食品の品質に良い影響を与える酵素的褐変反応もあります。
紅茶やウーロン茶は、お茶の葉を熟成発酵させる工程でポリフェノールを酸化重合させて、赤や褐色の物質をつくります。
ココアも、ココア豆の熟成中に、酵素の働きによって、ポリフェノール類から褐変物質を作っています。
非酵素的褐変反応
非酵素的褐変反応は、その字のとおり、酵素が関与しない褐色化現象です。食品の加工や貯蔵の過程で発生します。
非酵素的褐変反応は、アミノ-カルボニル反応・アスコルビン酸の関係する反応、油脂の変化に起因する反応などが知られています。
そのうち、最も知られているのがアミノ-カルボニル反応です。
アミノ-カルボニル反応
アミノ-カルボニル反応は、アミノ酸・たんぱく質などのアミノ化合物と、糖類などのカルボニル化合物との反応です。
味噌・醤油などの大豆発酵食品の着色は、主に、その発酵過程でのアミノ-カルボニル反応によります。
味噌・醤油などの大豆発酵食品は、その熟成中や貯蔵中に、アミノ酸やペプチドのアミノ基と糖類のカルボニル基が結合して、褐色のメラノイジンが発生します。
アミノ-カルボニル反応は、焼き菓子などに食欲をそそる褐色とフレーバーを与えます。
コーヒー・ココアの色は、コーヒー豆やココア豆のポリフェノール類が、自動酸化して生成された重合物によるものです。そして、褐変現象は、加熱によって促進されます。
アミノ-カルボニル反応の特徴
アミノ基とカルボニル基が共存する場合に発生します。
加熱によって促進されて、温度が10度高くなれば、着色は6倍くらいになります。また、アルカリ性では色が濃くなって、酸性では薄く(淡く)なります。
アミノ-カルボル反応は、次の3段階で構成されている反応で、酵素とは無関係に進行する反応だとされています。
(1)初期段階
糖とアミンの縮合、アマドリ転移
(2)中期段階
糖の脱水と開裂、アミノ酸の分解
(3)終期段階
アルドール縮合、アルデヒドとアミンの重合、ヘテロ環窒素化合物の生成
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