コーヒーは世界で一番人気のある飲料で、コーヒー豆(生豆)の取引量・取引金額も、毎年・毎年増えています。
熱帯地域で生育するコーヒーノキに成る果実からタネだけを取り出して、水洗い・乾燥などの精製工程を経て商品になるのが、コーヒー豆(生豆)です。
コーヒーノキには200種類くらいの品種があるとされていますが、その中で商業的に流通しているのは、アラビカ種とロブスタ種の2種類のコーヒーノキから採取されるコーヒー豆(生豆)だけです。
このブログの管理人・年老いた珈琲豆焙煎屋(エカワ珈琲店の店主)がコーヒー豆自家焙煎店商売を始めた頃は、アラビカ種とロブスタ種に「リベリカ種」を加えて、コーヒーノキの三大原種と呼んでいました。
小さなコーヒー豆自家焙煎店の焙煎人は、コーヒー豆焙煎容量(バッチサイズ)1kg~5kgの小型業務用コーヒー豆焙煎機を使ってコーヒー豆を自家焙煎しています。
小さなドラム式コーヒー豆焙煎機で、1回の焙煎に大体30分くらいを費やして、少量のコーヒー豆を自家焙煎しています。
いつも飲んでいるコーヒーの味や風味は、コーヒー豆を焙煎する(加熱処理する)過程で作られます。
コーヒー豆の焙煎中には、数多くの化学物質が作り出されています。
そのほとんどは、コーヒーの味や風味に好もしい影響を与えている化学物質だと思いますが、好ましくない影響を与える化学物質も少量作り出されます。
コーヒーの味や風味に好もしい影響を与ている化学物質の生成量をできるだけ多くして、好ましくない影響を与える化学物質の生成量をできるだけ少なくコントロールするのが、コーヒー豆焙煎技術の一つだと思っています。
小型の業務用ドラム式コーヒー豆焙煎機は、コーヒーの味や風味に好もしい影響を与えている化学物質の生成割合をコントロールし易いコーヒー豆焙煎機だと思っています。
一般的に、コーヒー豆自家焙煎店の焙煎人は、コーヒー豆焙煎時間とコーヒー豆焙煎温度、それにコーヒー豆焙煎機のドラム周辺の雰囲気温度という3つのパラメーターを活用して、コーヒーの味や風味をコントロールしています。
コーヒー豆(生豆)を焙煎すると、人の健康に悪い影響を与えるかもしれない化学物質が、二つ発生すると言われています。
一つはアクリルアミドという物質で、もう一つはメチルフランという物質です。
アクリルアミドは、120度C以上の加熱調理で、メイラード反応(アミノカルボニル反応)が起きる過程で生成すると言われています。
アクリルアミドは、「揚げる」・「焼く」・「煎る」・「炒める」などの調理方法で多く生成して、「煮る」・「蒸す」・「茹でる」などの調理方法では生成量が少なくなると言われています。
コーヒー豆の焙煎では、180度から200度くらいの温度にコーヒー豆を晒して焙煎するので、当然、アクリルアミドは生成します。
コーヒー豆の焙煎で生成するアクリルアミドは、メイラード反応が活発になって焙煎中のコーヒー豆が茶色く色付く頃に急速に生成すると言われています。
この焙煎中に生成するアクリルアミドですが、コーヒー豆の焙煎時間が長くなって、焙煎中のコーヒー豆の茶色が濃くなって来ると、生成していたアクリルアミドが減少して行くと、最近の研究で判明しています。
最近の研究とは、ドイツのブラウンシュヴァイク工科大学食品化学研究所で行われた研究です。
コーヒーの香り成分のメチルフランも、人の健康に悪い影響を与えるかもしれない化学物質だと言われています。
焙煎したコーヒー豆に含まれているメチルフランの濃度は、浅煎りの焙煎コーヒー豆では少なくて、深煎りの焙煎コーヒー豆では増加していると、ドイツのブラウンシュヴァイク工科大学食品化学研究所で行われた研究で判明しています。
そのことを、ローストマガジンの記事で知りました。
アクリルアミドもメチルフランも、どちらの化学物質も、美味しいと人気のある食品に含まれている化学物質だと思っています。
アクリルアミドもメチルフランも、大量に摂取し続ければ、人の健康に悪い影響を与えるのかもしれません。
大量摂取を続ければ人の健康に悪い影響を与えるかもしれないという不確かな理由で、美味しい食品を食べるという楽しみを放棄するのは馬鹿げていると思っています。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、1日に150㏄のコーヒーを3杯飲むくらいなら、人の健康に悪い影響を与えるとは思っていません。
コーヒーには、人の健康に良い影響を与える化学物質がたくさん含まれていると言われているわけですから、後者の方を優先するべきだと思っています。
例えば、アクリルアミドが人の健康に悪い影響を与える可能性があるという事で、低い温度で調理した結果、人の健康に悪い影響を与える食中毒が発生することも有り得るわけですから。
ドイツのブラウンシュヴァイク工科大学食品化学研究所の研究では、焙煎コーヒー豆の中に含まれているアクリルアミドとメチルフランの両方の化学物質を、同時に減少させる焙煎方法は存在しないと報告されています。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、その研究報告をコーヒー豆の焙煎に取り入れています。
浅煎りの段階では、メチルフランの濃度は低いのですが、アクリルアミドの濃度が高くなります。
深煎りの段階になると、アクリルアミドの濃度は低くなりますが、メチルフランの濃度が高くなります。
それが、アクリルアミドとメチルフランを同時に減少させる焙煎方法が存在しない理由となっています。
それならという事で、年老いた珈琲豆焙煎屋が自家焙煎しているコーヒー豆は、全て『中深煎り』の焙煎度で煎り止めしています。
理由は、アクリルアミドもメチルフランも、美味しい食品に含まれている化学物質ですから、それらが適度に含まれている『中深煎り』の焙煎度で煎り止めした自家焙煎コーヒー豆は美味しいはずだと思っているからです。
『中深煎り』の焙煎度で煎り止めしている理由ですが、それ以外にも色々あります。
「浅煎り」・「中煎り」の主な苦味成分となっているクロロゲン酸ラクトンの切れのある苦味だけでは、物足りなさを感じてしまいます。
やはり、後味として残る苦味も必要だと思っているので、フェニルインダンの苦味が適度に現れる『中深煎り』の焙煎度で煎り止めしています。
コーヒーの新しい甘味も、『中深煎り』くらいの焙煎度で登場して来るような気がします。
年老いた珈琲豆焙煎屋は72歳の高齢で、アルツハイマーという病気を心配しなければならない年齢です。
フェニルインダンが、アルツハイマーに対する予防効果があるという研究もあるそうです。
というような訳で、フェニルインダンが適度に含まれている『中深煎り』の焙煎度で煎り止めする自家焙煎コーヒー豆を作っています。
(※)年老いた珈琲豆焙煎屋は、コーヒー豆焙煎中に発生する化学反応や物理的変化を予想しながら、コーヒー豆を自家焙煎しています。
長年のコーヒー豆焙煎経験で取得した「コーヒー豆焙煎のウンチク」を電子書籍にして、キンドルでセルフ出版しています。