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2021年版、初歩コーヒー豆焙煎の教科書【ダイジェスト版】

収穫して精製処理して乾燥させたコーヒー生豆は、水分が除去されて堅くなっているので、長い保存期間と輸送期間に耐えることができます。しかし、いざ利用するとなると、強い熱作用に依存する必要が出てきます。

熱作用に依存するといっても、煮る・蒸す・炊く・煎ると色々な方法が考えられます。この中でコーヒー豆の利用に向いているのが、「煎る」という方法だったようです。

 

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コーヒー豆を「煎る」ことを『焙煎』と表現しています。焙煎中のコーヒー豆は、秒単位で変化しています。その変化の度合いを、焙煎度と表現しています。

焙煎度合いの一番簡単な設定方法は、「浅煎り、中煎り、深煎り」の三段階に分類する方法です。

 

コーヒー生豆には、10~12%くらいの水分が含まれています。これが焙煎による加熱で2~3%くらいにまで減少します。また、焙煎による加熱でコーヒー豆が1.5~2倍くらいにまで膨張します。

下の左側の写真は、焙煎中のコーヒー豆表面の写真で、右側の写真は、焙煎中のコーヒー豆断面(内部)の写真です。(コーヒー焙煎の化学と技術の写真を接写しました)

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コーヒー焙煎の化学と技術(中林敏郎ほか、弘学出版)

 

焙煎中のコーヒー豆の色は、焙煎の進行とともにうっすらとした黄色から茶褐色へ、さらに黒褐色へと変化して行きます。

焙煎によるコーヒー豆の色の変化は、カラメル化反応やメイラード反応で生成するメラノイジンによると考えられます。

 

コーヒー生豆に含まれている300の成分が、約1000の成分に変身するのがコーヒー豆の焙煎です。ですから、「コーヒーの味もまた焙煎から生まれる」と言われています。その味の中で、酸味と苦味がコーヒーの味を決定する重要な要素だとも言われています。

 

コーヒー豆の煎り具合(or煎り方)によって、酸度を変化させることができます。例えば、強く煎ると酸の分解が進んで酸味が減り苦味が増すというように・・・。

コーヒーの酸味については、焙煎による影響が極めて大きいと言われています。

 

コーヒーの苦味は、コーヒー生豆に含まれているカフェインや、コーヒー豆焙煎中に生成する苦味物質によって構成されています。

コーヒー豆に比較的多く含まれていて、コーヒーの味覚に様々な影響を与えているのがクロロゲン酸類です。21世紀の現在では、そのクロロゲン酸類に関係する化合物が、コーヒーの苦味の主な部分を作り出していると考えるようになっています。

 

コーヒーの香りは、コーヒー生豆の成分が分解したり、分解した成分がお互いに反応しあったりして作られます。

コーヒー豆を焙煎すると、最初は酸性の香りを放ち、その後甘い香りがして、焙煎が進むと焦げ臭へと変わって行きます。

焙煎中に発生するコーヒー香り成分の生成や変化には、カラメル化反応、メイラード反応、ストレッカー分解などと呼ばれている複雑な過程をたどる反応が関係しています。

また、焙煎の度合い(煎り具合)によって、香気成分の発生反応に違いが生まれて、その結果として、コーヒーの風味も変化します。

 

「はじめチョロチョロ、中パッパ、パチパチなったら徐々にチョロチョロ」が、年老いた珈琲豆焙煎屋が考える焙煎の基本です。

はじめチョロチョロの段階は、「蒸らし」と呼ばれているコーヒー豆から水分を蒸発させる水抜きのプロセスです。

パチパチという破裂音が聞こえてきたら「浅煎り」の段階で、その後、「中煎り」・「中深煎り」・「深煎り」と焙煎が進行して行きます。

 

「蒸らし」の終了段階となると、微かに煙が立ち、コーヒー豆はまだ黄褐色で青臭い匂いを感じますが、その段階が過ぎるとコーヒー豆の色は茶色に変わってきます。

コーヒー豆内部で発生する水蒸気の圧力で、焙煎中のコーヒー豆は膨張して薄皮がはがれて来ます。

そして、「パチパチ」という1回目の破裂音が聞こえて来ます。ここからが、「浅煎り」段階となります。

コーヒー生豆の時と比べれば、体積は増えていますが重量は約12パーセント減少しています。

 

1回目の破裂音(1ハゼ)が終了すれば、「中煎り」の段階になります。

焙煎が急テンポで進行するので、年老いた珈琲豆焙煎屋の場合、「徐々にチョロチョロ」という焙煎操作で対応しています。

 

中煎りから焙煎が進んでいくと、焙煎中のコーヒー豆の変化スピードが速くなるので、すぐに濃厚な茶色に変わって来ます。そして、「ピチピチ」というゴマを煎るような音が聞こえて来ます。この2回目の破裂音を2ハゼと呼んでいます。

年老いた珈琲豆焙煎屋は、「ピチピチ」という2ハゼの音が聞こえ始めた頃に焙煎を終了すると『中深煎り』、2ハゼの音をしばらく聞いてから焙煎を終了すると『深煎り』と区別しています。この時点の焙煎コーヒー豆重量減少率は、約20パーセントだと言われています。

 

普通は、「ピチピチ」という2回目の破裂音(2ハゼ)が小さくなって来る頃までに焙煎を終了します。フレンチローストやイタリアンローストは、その普通の領域を越えて焙煎した時の煎り具合(焙煎度)だと考えています。

年老いた珈琲豆焙煎屋とは、縁もゆかりも無い煎り具合です。

 

この記事は、note に投稿している「2021年版、初歩コーヒー豆焙煎の教科書」のダイジェスト版です。

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