年老いた珈琲豆焙煎屋が連れ合いと2人だけで営んでいるコーヒー豆自家焙煎店「エカワ珈琲店」の『深煎り』は、2回目のハゼ音が断続的に聞こえて来て、その断続的な音の間隔がある程度短くなったくらいで焙煎を終了しています。
コーヒー豆焙煎機の制御盤(コントロールパネル)に表示されるコーヒー豆温度(焙煎温度)が、202度くらいの段階で焙煎を終了した自家焙煎コーヒー豆を『深煎り』としています。
それ以上の焙煎領域、ウィーンロースト、フレンチロースト、イタリアンローストと呼ばれている焙煎中のコーヒー豆が黒くなってオイルが浮いて来る煎り具合は、エカワ珈琲店とは無縁の領域です。(以前は、ウィーンローストくらいまで煎っていたこともありますが)
ですから、他の誰かにこれらの領域のコーヒー豆焙煎方法を説明することはできません。
しかし、ウィーンローストまでの焙煎度(煎り具合、ローストグレード)でコーヒー豆を焙煎する方法なら、ある程度詳しく、ある程度理論的に説明することができると自負しています。
ということで、エカワ珈琲店のコーヒー豆焙煎方法を有料記事にして、note で販売しています。
もちろん、年老いた珈琲豆焙煎屋の独断と偏見に基づく説明ですから、あまり参考にならないかもしれませんが。よろしければ、購入して頂ければ幸いです。
『年老いた珈琲豆焙煎屋の焙煎教室(その2)』は、noteマガジン『コーヒー豆焙煎プロファイル』にも収録しています。
ウィーンロースト、フレンチロースト、イタリアンローストは、年老いた珈琲豆焙煎屋には無縁の焙煎度(煎り具合、ローストグレード)ですが、世間一般的な知識くらいは持ち合わせています。
どの程度の知識なのかと言うと、以下のようなレベルの知識です。
ウィーンロースト(Vienna Roast)
控えめなダークブラウンの焙煎コーヒー豆で、膨らんだコーヒー豆の表面は脂肪によるつや(光沢)で軽く覆われています。
キャラメル風味とほろ苦さがより強くなって、酸味が抑えられています。
2ハゼの中間地点の煎り具合で、この段階まで焙煎が進行すると、そのコーヒー豆がもともと持っている特徴の大部分が焙煎によって覆い隠されてしまいます。
ウィーンローストの段階よりも焙煎が深くなればなるほど(焙煎が進行すればするほど)、焙煎による「いぶり臭」が強くなるので、そのコーヒー豆がもともと持っている特長が、その「いぶり臭」によって覆い隠されてしまいます。
しかし、ウィーンローストの段階の焙煎コーヒー豆は、何とか、もともとの優れた品質を保持していると考えています。
フレンチロースト(French Roast)
ダーク・ブラウンのコーヒー豆で、黒くなったコーヒー豆の表面をオイル(脂肪)がおおっていて酸味が少なくなっています。
2ハゼが終わろうとしている段階の煎り具合です。
焙煎によって作られたキャラクター(焦がし)が、コーヒー豆の個性を完全に消し去ってしまいます。もし、コーヒー豆固有の風味が残っているとしても、ほんの僅かです。
2回目のハゼが終了しようとしている段階で、ピチピチ音の発生スピードが速くなっています。
コーヒー豆に含まれる糖は、カラメル化反応によって香ばしい香りを発生させますが、あまりにも深く焙煎しすぎると焼け焦げてしまって、香りや味覚に悪い影響を与える可能性があると考えています。
フレンチロースト(フル・フレンチロースト)の段階に至ると、コーヒー豆の繊維質の部分が炭化するので、茶色の部分がほとんど無くなってしまって、黒に近い色の焙煎コーヒー豆となります。
コーヒー豆の質量は減少するのですが、焙煎コーヒー豆は一回り大きくなります。
コーヒー豆の揮発性成分(芳香族化合物)や油脂分、それに焙煎コーヒー豆内の可溶性固形物などが燃えて、かなりの量の煙が発生します。
イタリアンロースト(Italian Roast)
非常に強いダークブラウンの焙煎コーヒー豆で、表面を脂肪(オイル)が覆っていて、ツヤを通り越して油ぎったギラギラした状態になっています。
酸味はほとんど無くなっていて、焙煎コーヒー豆は相当に脆くなっています。
茶色がほとんどなくなって、黒に近い色をしています。
コーヒーの25%以上が燃え殻となっている、炭化した焙煎コーヒー豆です。
この段階を越えて焙煎を続けると、発火する可能性もあると思います。
木炭やタールのような色調になっていて、間違いなく炭化しているので、焙煎したコーヒー豆を使ってコンクリート床に自分の名前を書くことができます。