コーヒー果実からコーヒー種子を取り出してコーヒー豆という農産物商品を作ることを精製と呼んでいます

コーヒー豆(コーヒー生豆)は、エチオピアを原産地とするコーヒーノキに成る果実(コーヒーチェリー)の種子です。

コヒーノキは、常緑の熱帯性低木でコフィア・アラビカ | Coffea arabica という学名を持つアカネ科の植物です。

種を蒔いてからコーヒーノキが成長して果実がなるまで3年~5年が必要で、収穫可能な期間は約20年くらいだと言われています。

そして、コーヒー果実からコーヒー種子を取り出すことをコーヒー豆の精製と呼んでいます。

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coffee Network 、兼松株式会社より引用

 

コーヒー豆のライフサイクル 

コーヒーノキのほとんどは、ジャスミンのような香りを放つ五弁の白い花を咲かせ、葉はクリの葉に似ていて厚く、果実は枝にたわわに着生するそうです。

始め緑色だった果実が徐々に赤みを増して行き、花が咲いてから約9か月後に果実が成熟して真っ赤になると言われています。この真っ赤に成熟したコーヒー果実が、サクランボに似ているのでコーヒーチェリーとも呼ばれています。

そして、このコーヒー果実の薄い果肉の内部で成長するのが、コーヒー豆(コーヒー果実の種子)です。

コーヒーノキを栽培して、果実を収穫します。その収穫した果実から種子を取り出して精製処理します。精製処理したコーヒー豆は、保存・輸送などの過程を経て焙煎加工業者の手に渡ります。焙煎加工業者がコーヒー豆(コーヒー生豆)を焙煎加工して、焙煎コーヒー豆という商品が出来上がります。

その焙煎コーヒー豆を粉砕して、水(お湯)という溶媒を使って粉砕物の中からコーヒー有効成分を取りだすと一杯のコーヒーが出来上がります。

 

コーヒー豆の品質

コーヒーのライフサイクルのすべての段階で、コーヒーの風味を劇的に変化させる何かが 発生する可能性があります。

例えば、コーヒー豆(コーヒー生豆)の精製処理までの段階に限定しても、コーヒーノキの栽培条件(テロワールなど)、栽培方法、コーヒー果実の収穫方法、果実からコーヒー豆を取り出す精製処理方法などが、コーヒーの風味を劇的に変化させる可能性があるわけです。

なお、コーヒー果実からコーヒー豆(生豆)が取れる率は、アラビカ種で20%、ロブスタ種で25%と言われています。また、精製処理されて商品となったコーヒー豆(生豆)は、温度が低く湿度が60%以下であれば、少なくとも2年~3年の保存で変質することは無いと言われています。

 

コーヒー豆の精製処理 

収穫したコーヒー果実から、不必要な外皮、果肉、内果皮、銀皮などを除去して、コーヒー果実の種子を商品価値を持つコーヒー豆(コーヒー生豆)に仕上げる作業工程が、コーヒー豆の精製処理です。

その精製処理方法には、大別して水洗式とパルプドナチュラル(半水洗式)と自然乾燥式(非水洗式)の3通りがあります。そして、これらの精製処理方法は、コーヒー栽培地域の栽培環境や伝統、どのような風味プロファイルを意図しているかなどにって使い分けられているようです。

このコーヒー豆精製処理の段階ですが、油断するとコーヒーの風味に悪影響を与える可能性が高くなります。また、最高品質のコーヒー果実の種子であっても、カビ・過剰乾燥・悪天候・害虫の侵入やその他の不注意によってコーヒーの風味が破壊される可能性もあります。

 

水洗式 | 洗浄式 | 湿式プロセス | ウォッシュト

まず、果実をパルパーという器械にかけて、果皮と果肉を剥き取り洗い流します。しかし、普通のパルパーではパーチメントにくっついているムシラージ(ミューシレージ)までは完全に取り除くことができません。そこで、大きな水槽に漬けて一晩ほどおきます。するとその間に水中微生物による発酵でムシラージ(ミューシレージ)が分解されていくので、その後もう一度表面に残ったヌルヌルを洗い流して、パーチメントに覆われた生豆を取り出します。

コーヒーの科学 | 旦部幸博

www.ekawacoffee.work

パーチメントに覆われたコーヒー生豆は、セメントの大きなパティオ(庭、乾燥場)で数日間乾燥させたり熱風式の乾燥機などで乾燥させて保管します。そして、出荷する時に、パーチメントコーヒー豆の薄い殻(ハル)を脱穀してから出荷するという手順になっているようです。

クリーンな味わいの伝統的なラテンアメリカのコーヒー豆は、このタイプの精製処理方法で処理されていると考えられます。クリーンで微妙な果実風味を持つコーヒー豆が多いとも言われています。

 

ナチュラルプロセス | ドライプロセス | 自然乾燥式 | アンウォッシュト | 非水洗式

チェリーの採果後、すぐにコンクリート上、ネット上、テラス等に広げてチェリーを天日で自然乾燥させます。コンクリートやテラスでは豆を約5cm程の高さに広げて干しますが、地面と豆の天日側の上部では乾燥状況が違うので1日に5~6回、平均に混ぜ合わせる作業を行います。ネット上での乾燥ではネット下部からの風と上部の風の動きで比較的上下への攪拌作業が少なくて済みますが、それでも1日2~3回かき混ぜる必要があります。

コーヒー学検定上級<金沢大学編>より引用

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コーヒーチェリーの中に含まれる重量の約50%が水分なので、この水分除去が天日乾燥での大きな作業工程目的です。乾燥に関わる日数は7~10日前後が必要です。

水分が20%以下になれば乾燥した外果皮等を脱穀機で取り除き、種子を取り出してもう一度水分が12%前後になるまで乾燥させます。この作業を終えればGreen Beans となります。

天日乾燥の期間中、突然の降雨や、十分な乾燥が行われずに残存水分が多くある場合、二次的発酵が進んだり、またカビの発生の危険性があります。

このタイプのコーヒー豆精製処理方法は、コーヒー飲用の歴史と同じだけの歴史を持っています。

水に恵まれないブラジルやコーヒーノキ発祥の地であるエチオピア、それにイエメンや多くのロブスタ種(ベトナムのロブスタ豆)で使われているようです。

天日干しで精製処理したコーヒー豆は、水洗式で精製処理されるコーヒー豆と比べると、シロップのようなボディーを持っていて果実風味が強いとも言われています。ただし、カフェイン含有量は、水洗式よりも多くなるようです。

 

パルプドナチュラル | 半水洗式 | セミウォッシュト | 半洗浄式

パルパー(果肉除去機)を使ってコーヒー果実の外皮と果肉の部分を取り除ていて、果肉の粘り気(ミューシレージ)がついたままのコーヒー種子(パーチメントコーヒー豆)を乾燥させるコーヒー豆精製方法。

粘り気(ミューシレージ)にコーティングされたままのパーチメントコーヒー豆は不安定で、細菌やカビの影響を受けやすいと言われていますが、果肉と接触している時間が長いのでクリーミィーな口当たりと濃厚でフルーティーな風味を持つ傾向があると言われています。しかし、時には、少し土っぽい風味を感じることもあるようです。

20世紀に入ってパルパーの改良が進んだことで生まれた比較的新しい精製方法・・・

ムシラージをどこまで削るかで香味を調整できることから、コスタリカやパナマなどでは「ハニー精製」という名前で、スペシャリティーコーヒーという高級品作りに応用れています。

インドネシアのスマトラ島やスラウェシ島で行う「スマトラ式」という精製方法も、半水洗式の一種に分類されます。

コーヒーの科学 | 旦部幸博より引用

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