菊盛英夫さん曰く、「カフェの歴史を振り返ってみるとき、われわれは、時の権力が弱まり衰退した時期にカフェが栄えているのに気付く・・・」。
1980年に出版された中公新書「文学カフェ」に書いてある文章ということですが、年老いた珈琲豆焙煎屋は読んだことがありません。
1980年頃の日本ですが、経済の高度成長がほぼ終了して経済的繁栄を謳歌していた頃です。
喫茶店の店舗数は約16万店舗で頂上を迎えていたのですが、喫茶店が絶好調だった時代は1960年代から1970年代のことで、日本経済は高度成長の真っ最中でしたがまだひ弱だった時代のことです。
1980年代に入って、日本が経済的に安定した時期に入ると、喫茶店の衰退が始まりました。
1980年代中頃のアメリカですが、経済的にものすごく不安定な状態に陥っていました。
その1980年代の中頃から、アメリカ西海岸にて、スターバックスに代表されるシアトル系喫茶店チェーンの大躍進が始まりました。
1990年代の中頃からは、独立系の喫茶店業者やコーヒー焙煎業者が脚光を浴び始めました。そして21世紀の現在、アメリカの経済力は、間違いなく日本の経済力を凌駕しています。
社会構造が変化しようとしている時期に、喫茶店・カフェが繁盛するのかもしれません。もしかしたら、喫茶店・カフェの繁盛度は、その社会が活性化しているかどうかのパラメーターなのかもしれません。
21世紀に入ってからの日本ですが、どのように考えても経済が活性化しているとは思えません。そして、喫茶店やカフェもそれほど繁盛しているとは思えません。
少しぐらい経済的に衰退しているのだとしても、まだまだ、日本の国は経済的にゆとりがあるのかもしれません。だから、社会構造を変化させて自分たちの社会を活性化させる必要性が少ないのかもしれません。
日本の喫茶店・カフェが繁盛を始めるのは、もう少し先のことになるのかもしれません。