現在の若い人たちには、石坂洋二郎の小説「青い山脈」は古典の領域に入る小説だと思いますが、67歳の珈琲豆焙煎屋の親父には未だ青春小説のままです。
小説「青い山脈」を読んだのは、昭和40年代前半で10代の中頃、もう半世紀以上昔の話です。実家は喫茶店でしたが、砂糖をたくさんと動物性のフレッシュミルクを添加しなければコーヒーを飲めなくて、あまりコーヒーに馴染んでいなかった時期の話です。
100万人の作家石坂洋次郎
「青い山脈」の作者は、昭和40年代の前半頃、100万人の作家と呼ばれていた売れっ子作家石坂洋次郎で、数多くの青春をテーマとするベストセラー小説を世に送り出しています。
アメリカとの無謀な戦争に敗れて占領軍の支配下にあった昭和20年代前半、戦後初めてのベストセラー小説となったのが、石坂洋次郎の作品「青い山脈」だったと聞いています。
戦後初のベストセラー小説と映画化
昭和20年代と昭和30年代、庶民の最高の娯楽は繁華街の映画館で楽しむ映画鑑賞でした。
戦後初のベストセラー小説「青い山脈」は、何度も映画化されています。
西條八十作詞、服部良一作曲の主題歌は、小生が小説「青い山脈」を文庫本で読んだ昭和40年代前半には、老若男女の誰もが知っていて口ずさむ歌になっていました。
石坂洋次郎作品の映画化・テレビドラマ化
その頃、100万人の作家石坂洋次郎の作品は、いくつも映画化・テレビドラマ化されていました。
吉永小百合主演で映画化された「寒い朝」、星由里子主演で映画化された「颱風とざくろ 」、テレビでドラマ化されてブルーコメッツが主題歌を歌った「何処へ」などを読んだ記憶がありますが、ストーリーは覚えていません。
しかし、青い山脈のストーリーは、ある程度覚えています。小説を読み込んでいて、映画も何回か見ている(テレビでですが・・・)からだと思います。
青い山脈と民主主義
戦争が終わって、同時に国の政治体制も新しくなって、日本に民主主義がやって来た頃の、北国に位置する田舎町の若者たちの青春群像を描いた作品だったと記憶しています。
小説「青い山脈」については、若い人たちが、民主主義について学習するための教養小説的な性格を持つ青春小説という評価もあるようです。
青い山脈と新刊本
何年か前、還暦を迎えた頃、何となく読み返してみたいと思ってアマゾンで探したのですが、中古本ばかりで新刊本は皆無でした。
おそらく、絶版になっていたのだと思います。でも、青い山脈のような古典的な名作が絶版になって、誰も読むことができない何て「ちょっと・・・」と思ったものです。
それが、最近になってアマゾンで探していると、再び新刊本が売られていました。
小学館のP+DBOOKS(ピープラスディーブックス)で売られていて、ペーパーブック版とキンドル版が揃っています。
ちなみに、P+DBOOKS(ピープラスディーブックス)とは何だということで、調べてみると、「後世に受け継がれるべき、我が国が誇る名作でありながら、現在入手困難となっている昭和の名作の数々を、B6判のペーパーバック書籍と電子書籍を同時に、同価格で発売・発信する、まったく新しいブック・・・」という説明を見つけました。