年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ | エカワ珈琲店

コーヒー情報記事を専門にエントリーしているブログです。エカワ珈琲店が運営管理しているブログの中で一番ページビューを稼いでいるブログです。

年老いた珈琲ま焙煎屋版、コーヒーの基礎知識、【第1章】コーヒーノキ

焙煎したコーヒー豆や、その焙煎コーヒー豆をコーヒーミルで挽いた焙煎コーヒー粉は、誰でも知っていると思います。

しかし、焙煎する前のコーヒー生豆を見たことのある人は、それほど多く無いと思います。

コーヒー生豆は、熱帯地域で栽培されているコーヒーノキに成る果実のタネだと知っている人は、さらに少ないと思います。

コーヒー豆(生豆)は、アカネ科に属するコーヒーノキという植物の種子のことで、原産地はエチオピアのアビシニア高原だと考えられています。

古くから薬用として用いられていたようですが、14世から15世紀頃から、嗜好飲料として位置付けられるようになって、21世紀の現在では、世界中の人々に一番愛されている嗜好飲料となっています。

 

 

【目次】

 

【1】コーヒーノキ

コーヒーノキは、主に、熱帯、亜熱帯地域に属する70カ国以上の国々で栽培されています。

コーヒーノキは、アカネ科の植物で常緑の熱帯性低木です。

コーヒーノキの中で商業的に重要なのは、アラビカ種とカネフォラ種(通称ロブスタ種)です。

栽培種の75~80%を占めていて、品質評価も高いのがアラビカ種です。

アラビカ種は自家受粉、ロブスタ種は他家授粉です。

アラビカ種の原産地は、エチオピアの南西高地(アビシニア高原)、スーダン南東部のボマ高地、ケニア北部のマーサビット地区あたりだと考えられています。

ロブスタ種の原産地は、サブサハラアフリカ(サハラ砂漠より南のアフリカ)、アフリカの西部と中心部、ギニア、ウガンダ、南スーダンあたりだと考えられています。

f:id:ekawa:20160601111813j:plain

 

【2】栽培種

コーヒーノキには、数十種類以上の「種」が確認されています。

そのうち、商業的に栽培されているのが、アラビカ種とロブスタ種のコーヒーノキです。

栽培に占める割合は、アラビカ種が約8割、残りの約2割がロブスタ種で、その他に、ほんの少しだけリベリカ種が栽培されているようです。

20世紀に発行された珈琲本には、ほんの少しだけ栽培されているリベリカ種も加えて、アラビカ種、ロブスタ種(カネフォラ種)を三大原種と書いてありました。

21世紀に発行された珈琲本には、アラビカ種とロブスタ種が二大栽培種だと書いてあります。

 

【3】アラビカ種

アラビカ種は、アビシニア(エチオピア)が原産地で、古くから対岸のアラビア半島南部で栽培されていたコーヒーノキが、世界各地に移植されて、栽培地域が広がって行ったと考えられています。

アラビカ種は、他の品種と比較して、香味が最も優れています。

しかし、高温に弱くて、病虫害にも弱いという欠点があります。

 

アラビカ種の主な品種

アラビカ種の代表的な品種は、以下の品種です。

(1)ティピカ種

1700年頃、オランダが、インド産のコーヒーノキをインドネシアのジャワ島に移植して、栽培に成功しました。そのコーヒーノキを先祖とする品種群。

(2)ブルボン種

ブルボン島(現在はレユニオン島)のコーヒーノキが、ブラジルに移植されてできた品種群。ブラジル・サントスの名前で有名。

(3)アマレーロ

果実が黄色に熟する品種です。

(4)カトゥラ

ブルボン種の突然変異種。

標高700メートル以上の高地での栽培に適し、直射日光やさび病に強い品種です。

(5)ムンドノーボ

ブルボンとスマトラを交配させて改良した品種で、プラジルを代表する多収穫の品種ですが、樹高が伸びすぎるという欠点があります

(6)カトゥアイ

ムンド・ノーボの樹高を抑えるために、カトゥラと交配させて品種改良した品種です。

(7)マラコジペ

ブラジルのバイア州マラコジペで1870年に発見された、アラビカ種の突然変異種。

樹高、葉、果実ともに大きく、種子の大きさは、アラビカ種の中で最大。

(8)カティモール

耐病性のあるティモール(アラビカ)とカトゥラを、人工的に交配させたさび病耐性の強いハイブリット(混血)。

 

ロブスタ種

19世紀の末、ペルギー人科学者エミール・ローランが、アフリカのコンゴ盆地で発見したと伝えられています。

ロブスタ種は、学名「カネフォラ種ロブスタ」と命名されている品種で、コーヒーに最大の被害を及ぼす「葉さび病菌(ヘミレア)」に対する強い抵抗力を持っていると言われています。

 

栽培適地

コーヒーノキの栽培には、肥沃な水はけの良い土壌が必要だと言われています。

また、年間を通じて平均した気温と降雨量、適度な日陰や冷気などの様々な条件が必要になるようです。

その条件を満たすのが、南北回帰線の間の熱帯地方で、コーヒーノキの栽培適地だと考えられています。

世界各地のコーヒー産地は、赤道を挟んで南・北緯25度の地帯(熱帯地域)にあります。

この地域を、コーヒーゾーンまたはコーヒーベルトと呼んでいます。

 

コーヒーノキの病気と霜害

コーヒーの病気は、知られているだけで300数十種類を超えていると思われます。

その中でも、最も大きな被害を及ぼしている最悪の病気は、さび病菌「ヘミレア(Hemileia vastarix)」による葉さび病(Coffee Leaf Rust)だと言われています。 

1861年、アフリカのビクトリア湖周辺で発見されたコーヒー葉さび病は、アジア、アフリカで栽培されていたアラビカ種のコーヒーノキに多大な被害をもたらしました。

 

f:id:ekawa:20150917173819j:plain 

 

コーヒーノキの天敵は、コーヒーノキの病気だけではありません。

高地で栽培されるコーヒーにとって一番恐ろしいのは、霜による被害です。

僅か一晩の霜のために、栽培地域全域が壊滅的な被害を受けます。

1975年、ブラジルでは、この霜害で20億本の木のうち、15億本が被害を受けて、生産が半減してしまいました。

 

 

 

コーヒーは、世界の70か国以上の国々で生産されています。

世界の国々の3分の1の国が、第1次産品であるコーヒーを生産しているということで、それだけの需要が存在しているのだと思います。

アルコール飲料を除く世界の三大嗜好飲料であるコーヒー、茶、ココアですが、コーヒーはアカネ科、茶はツバキ科、ココアはアオギリ科の植物です。

それぞれが、人類との長い歴史的経緯を持っているのですが、特に、コーヒーについては、三者の中でも普及が目覚ましくて、地球全土にくまなく浸透しています。

 

 

コーヒーノキ

コーヒーという飲み物は、コーヒーノキと呼んでいるコフィア属の潅木(低木)に成る果実から始まっています。 

コフィア属には幾つもの種がありますが、そのうち商業的に重要なのはアラビカ種とカネフォラ種(通称ロブスタ)です。

 

コーヒーノキは、主に熱帯・亜熱帯地域に属する70カ国以上の国々で栽培されています。

コーヒーノキは、アカネ科の植物で常緑の熱帯性低木です。

学名はコフィア・アラビカ(Coffea arabica)、和名はアラビカ・コーヒーノキと命名されています。

 

コフィア属には幾つもの種(50種or60種)がありますが、そのうち商業的に重要なのは、アラビカ種とカネフォラ種(通称ロブスタ種)です。

栽培種の75~80%を占めていて、品質評価も高いのがアラビカ種です。

あまり人気が無いのですが、アラビカ種とロブスタ種以外の有用品種として、リベリカ種、エクセルソ種、モーリティアナ種、ラセモサ種などが知られています。

 

アラビカ種の原産地は、エチオピアの南西高地(アビシニア高原)、スーダン南東部のボマ高地、ケニア北部のマーサビット地区だと考えられているようです。

カネフォーラ種(ロブスタ)は、サブサハラアフリカ(サハラ砂漠より南のアフリカ)、アフリカの西部と中心部、ギニア、ウガンダ、南スーダンが原産地だと考えられています。

 

樹高は6~8メートルで、自生ではもっと伸びるということですが、栽培種は管理が簡単になるように2~3メートルに剪定されているそうです。

コーヒーノキは、種をまいてから、3~5年で実をつけます。

コーヒーノキには、長さ1cm程度の可憐な白い花が咲きます。

そして、ジャスミンに似たあまく爽やかな香りを放つと言われています。

 

アラビカ種は、自家受粉です。

同じ遺伝子を持つ種子による繁殖ですから、発芽した苗木は、大体において均一です。

そして、先祖となるコーヒーノキと、ほぼ同じ性格を持つコーヒーノキが誕生します。

 

カネフォラ種、エクセルソ種、リベリカ種は、他家受粉です。

同種の異なる遺伝子で受粉するわけですから、ハイブリッド(異なったものを混ぜ合わせること)によって、環境の変化に強い植物を増やすことも可能です。

雑種性の強いハイブリットのコーヒーノキは、カッティング(挿し木)、接ぎ木、出芽という、通常の栄養繁殖による方法で繁殖させます。

また、人工的に、優秀なハイブリッドを作り出す努力も続けられています。

 

枝につく果実は、はじめ緑色で、それから数ヶ月くらいで黄色く色づき、成熟するにしたがって赤みを増していきます。

果実の収穫可能年数は、大体、20年~20数年だと言われています。

葉は、通常、長さが10~15cm、幅は6cmくらいで、光沢のある濃い緑色をしています。

花は腋生(エキセイ)で、葉の付け根から、香りの良い白い花がいっせいに群がり咲きます。

 

続いて、約1.5cmの楕円形の果実がコーヒーノキの枝に多数着生します。

果実は初め緑色で、それから黄色く色づき、完熟すると真っ赤になります。

果実の成熟には、7~9ヶ月が必要です。 そして、乾燥すると黒くなります。

 

コーヒーの果実の種子が、コーヒー豆です。

コーヒーノキの果実は、サクランボに似ているので「コーヒーチェリー」と呼ばれています。

コーヒーの果実は直径1cmほどの球状で、甘味のある果肉の中に、普通、2個の半円形の種が向き合って入っています。

これを、フラットビーンと呼んでいます。

 

しかし、全体の10%ほどですが、丸い種子が1個だけの果実もできます。

この果実に1個だけ入っている丸い種子を、ピーベリーと呼んでいます。

コーヒー豆は、果実の外皮、果肉(パルプ)、内果皮(パーチメント/繊維質の中皮)、さらにシルバースキンという銀色の薄皮に包まれています。

 

栽培種

コーヒーノキには、数十種類以上の「種」が確認されています。

そのうち、現在、商業的に栽培されているのが、アラビカ種とロブスタ種です。

栽培に占める割合は、アラビカ種が約8割、残りの約2割がロブスタ種(カネフォラ種)で、その他に、ほんの少しだけリベリカ種が栽培されているようです。

 

20世紀の時代、ほんの少しだけ栽培されているリベリカ種も加えて、アラビカ種、ロブスタ(カネフォラ)種、リベリカ種を三大原種と呼んでいましたが、現在(21世紀)では、アラビカ種とロブスタ(カネフォラ)種を二大栽培種と呼んでいます。

単位面積当たりの収穫量は、1ヘクタールについて、アラビカ種は約330kg、リベリカ種は約450kg、ロブスタ種は約810kgだと報告されています。

 

アラビカ種は、エチオピア原産で、古くからアラビア半島で栽培されていたコーヒーノキが、世界各地に移植されて栽培地域が広がって行ったと言われています。

現在、世界で最もたくさん栽培されているのがアラビカ種で、コーヒー豆総生産量の約80%を占めています。

 

アラビカ種は品質価値が高くて風味にすぐれているのですが、強烈な日照や高温に弱く、病虫害にも弱いという欠点があります。

平均気温15~25度、標高500m以上の高地の傾斜地での栽培が適しています。

高地栽培のため、多くの労働力を必要とします。

アラビカ種には70種類以上の品種があって、代表的なものとして、ティピカ、ブルボン、カトゥラ、ムンドノーボ、カトゥアイ、マラゴジベ、アマレーロ、カティモールなどがあります。

 

ロブスタ種は、カネフォーラ種の代表的な一変種ですが、現在では、カネフォーラ種=ロブスタ種ということで、カネフォーラ種のことをロブスタ種と呼んでいます。

19世紀末、ペルギー人科学者エミールローランが、アフリカのコンゴ盆地で発見した品種です。

世界総生産量の約20%を占め、低地での栽培が可能で、成長が早く栽培管理に手間がかからないという特徴があって、病虫害に強く収量も多いのですが、風味・品質がアラビカ種よりも劣っているようです。

淡白な香味のコーヒーだと思いますが、水溶性成分の量やカフェインの抽出量が他の品種に比べて多いので、アラビカ種とのブレンド用やインスタントコーヒーの原料として重宝されているようです。

 

リベリカ種は、コンゴでロブスタ種が発見されたのと同じころ、アフリカ西海岸のリベリア共和国で発見された、樹の高さが約10mにも達する頑健なコーヒーノキです。

低地でも育ち、病虫害におかされにくく、高温・多雨・少雨・干害に強い繁殖力の旺盛なコーヒーノキだと言われています。

しかし、味・香りといった品質が劣るということで、現在では、ほとんど栽培されていないようです。

 

アラビカ種

植物学者リンネが命名したアラビカ種は、アビシニア(エチオピア)が原産地で、古くから対岸のアラビア半島南部で栽培されていたコーヒーノキが、世界各地に移植されて、栽培地域が広がって行ったと考えられています。

アラビカ種は、コーヒー豆世界総生産量の約80%を占めている品種です。

 

樹の高さは、5~6メートル、葉は10~15cmぐらいで、葉の表面は濃緑色です。

栽培には、気温15度~25度、標高500~2000mの傾斜地が適しています。

また、強い日差しを嫌うので、日よけとしてバナナやとうもろこしなどをコーヒーの樹と一緒に植えたりしています。

 

アラビカ種は、他の品種と比較して、香味が最も優れていて品質価値が高いのですが、低温、高温、多雨、少雨に不適で、病虫害に弱くて耐病性が低いという欠点を持っています。

果実は楕円形で、熟した果実は落下しやすくて、植え付け距離はロブスタ種の1.5倍、リベリカ種の2倍を必要とします。

発芽までに6週間、約3年で開花しますが、経済的に収穫できるようになるまで5年必要です。そして、収穫できる期間は、長くて30年ぐらいです。

収穫できるようになるまでの期間は、ロブスタ種の3年に比べると、2年遅くなります。また高地栽培のため、どうしても多くの労力が必要になります。

 

アラビカ種の代表的な栽培種として、ティピカ、ブルボン、カトゥラ、ムンド・ノーボ、マラコジペ、アマレーロ、カトゥアイ、カティモールなどがあります。

生産地域が世界各国に拡散しているので、各地の栽培形態、栽培事情を反映してコーヒー品質が多様化しています。

 

アラビカ種の主な品種

アラビカ種の代表的な品種として、ティピカ(Tipica)、コムン(Comum)、アマレーロ(Amarelo)、ブルボン(Bourbon)、カトゥラ(Caturra)、ムンド・ノーボ(Mundo novo)、カトゥアイ(Catuay)、マラコジーペ(Maragogiepe)、カティモール(Catimor)などが知られています。

伊藤博さんの「珈琲を科学する/時事通信社」には、ティピカ(Tipica)とブルボン(Bourbon)が形態上の二大変種と考えられている伝統的品種で、この何れかまたは両方の交雑種、突然変異種が多くの品種の元であると記述されています。

 

(1)ティピカ種

1700年頃、オランダが、インド産のコーヒーノキをインドネシア・ジャワ島に移植して、栽培に成功しました。

そして、1706年、このジャワ島の苗木が、オランダ本国の植物園に送られて、たった1本だけ生育しました。

そのコーヒーノキの2代目がフランスに贈られて、その後、カリブ海の島に移植されました。

そのコーヒーノキを先祖とする品種群のことを、ティピカ種と呼んでいるのだと思います。

アラビカの原種に近い品種で、中南米で広く栽培されている長形の豆で風味良好ですが、さび病に弱くて生産性に劣る品種だとも言われています。

 

(2)ブルボン種

マダガスカル島とモーリシャス島の間にあるインド洋の島、ブルボン島(現在はレユニオン島)に、18世紀のはじめ頃、フランス人の手によってコーヒーノキが移植されました。

このブルボン島のコーヒーノキが、ブラジルに移植されてできた品種群です。

ブラジル・サントスの名前で有名です。

伊藤博さんの「珈琲を科学する/時事通信社」には、ブルボン島原産、ティピカの突然変異で出来た小粒丸みの豆で長S字形のセンターカットを持つ、香りが良くて収穫率もかなり高い品種だと記述されています。

 

(3)アマレーロ

通常、コーヒーの果実は、成熟すると赤色になります。

しかしアマレーロは、果実が黄色に熟する変った品種です。

カトゥラ・アマレーロだけでなくて、カトゥアイ種にも、果実が黄色くなるものがあるそうです。

伊藤博さんの「珈琲を科学する/時事通信社」は、カトゥラ・アマレーロがブルボンの優性突然変異種でブルボンに似ていて、ブラジル、コロンビアなどで栽培されている黄色の果実をつける品種だと記述しています。

 

(4)カトゥラ

ブルボン種の突然変異種、1915年、ブラジルのミナス・ジェライス州で発見されました。

標高700m以上の高地での栽培に適し、直射日光やさび病に強い品種です。

豆は小粒で、多産で隔年結実になりやすいということです。

 

(5)ムンドノーボ

1943年、サンパウロで発見され、その後、改良が施されて、1950年頃から、ブラジルで栽培されるようになった品種です。

ブルボンとスマトラを交配させて改良を施した品種で、ブラジルを代表する多収穫の品種ですが、樹高が伸びすぎるという欠点があります。

霜に強くて、環境適応性、耐病性が大きくて、果実も大きい品種だと言うことです。

 

(6)カトゥアイ

ムンド・ノーボの樹高を抑えるために、カトゥラと交配させて品種改良した品種です。

樹高が低く病虫害にも強い、成長の早い生産性の高い品種です。

中南米各国で、広範囲に栽培されています。

 

(7)マラコジペ

ブラジルのバイア州マラゴジベで1870年に発見された、アラビカ種の突然変異種。

樹高・葉・果実ともに大きく、種子の大きさは、アラビカ種の中で最大ですが、風味がやや劣るとも言われていて生産性の低い品種です。

ティピカの優性突然変異とも考えられているようです。

 

(8)カティモール

耐病性のあるティモール(アラビカ)とカトゥラを、人工的に交配させたサビ病耐性の強いハイブリット(混血)。

病気に強くて、高収量のコフィア・アラビカの新品種。アラビカ種のコーヒーノキ。

ポルトガルで1959年に作られた、サビ病に抵抗力を持つティモールコーヒーとカトゥラコーヒーの雑種。

成熟するのが早くて、商業用として栽培されている他の品種のコーヒーと同等か、それ以上の生産性を持っているとされています。

他の品種のコーヒーノキと比べて、低い高度の地域でもよく成長するのですが、標高1500メートル以上の高い高度の地域での栽培には不向きだとも言われています。

 

ロブスタ種

19世紀の末、ペルギー人科学者エミール・ローランが、アフリカのコンゴ盆地で発見したと伝えられています。

ロブスタ種は、学名「カネフォラ種ロブスタ」と命名されている品種で、コーヒーに最大の被害を及ぼす「葉さび病菌(ヘミレア)に対する強い抵抗力を持っていると言われています。

その後、野生のロブスタ種のコーヒーノキが、ウガンダやルワンダでも発見されているようです。

 

ロブスタは、コンゴ盆地で発見されたので、コンゴコーヒーと呼ばれることもあったようです。

アンゴラ、ガーナ、マダガスカルなどのアフリカ諸国を始め、ベトナム、インドネシア、フィリッピン、グァテマラといった国々で栽培されていて、コーヒー豆世界生産量の約20%を占めていると言われています。

 

低地でも栽培が可能で、成長が速くて、栽培管理に手間がかからず収量も多くて、病気に対する抵抗力も強くて、他家受粉ですからハイブリット(混血種)も出来やすいというメリットが知られているのですが、風味、品質がアラビカ種よりも劣っていると考えられています。

カフェインを始め、コーヒー有効成分の抽出量が多くて価格も安いので、アラビカ種とのブレンド用やインスタントコーヒーの原料として重宝されているようです。

 

栽培適地

アラビカ種やロブスタ種といったコーヒーの樹の栽培原種(品種)は、世界各地の栽培適地に移植されて、それぞれの土地の気候風土に適するように栽培方法の改良・工夫がなされています。

コーヒーノキの栽培には、肥沃な水はけが良い土壌が必要だと言われています。

また、年間を通じて平均した気温と降雨量、適度な日陰や冷気などの様々な条件が必要になるようです。

 

その条件を満たすのが、南北回帰線の間の熱帯地方で、コーヒーノキの栽培適地だと考えれています。

世界各地のコーヒー産地は、赤道を挟んで南・北緯25度の地帯(熱帯地域)にあります。

この地域を、コーヒーゾーンまたはコーヒーベルトと呼んでいます。

 

アラビカ種の場合、赤道付近では海抜700m~2500mの高地や山岳地帯が、南・北緯25度付近では300m~400mの地域まで栽培適地となります。

赤道から遠ざかるに従って、栽培適地の標高が低くなっていきます。

良質のコーヒーを栽培する条件として、標高が1500m以上、年平均気温が20度くらい、年間雨量が1500ミリで、有機質・各種無機成分を適量に含んでいる火山性の土壌があげられています。

コーヒーは熱帯作物ですが、アラビカ種のコーヒーノキは、日光の炎熱に弱いので、霧や雲が発生する高地での生産が向いていると言われています。

 

ロブスタ種の場合は、赤道付近であっても、低地での栽培が可能のようです。

日本の気候では、コーヒーの樹の栽培は不可能です。

ですから、国内で消費されるコーヒー豆は、ほぼすべてが輸入品です。

 

コーヒーノキの病気と霜害

コーヒーの病気は、知られているだけで300数十種類を超えていると考えられています。

その中でも、最も大きな被害を及ぼしている最悪の病気は、さび病菌「ヘミレア(Hemileia vastarix)」による葉さび病(Coffee Leaf Rust)だと言われています。

 

葉の裏側にさび病菌が付着すると、オレンジ色の斑点が出てきます。

その斑点の色が次第に濃くなって、光合成機能が失われて、葉が枯れて、収穫量も著しく少なくなって、2~3年後には、木全部が枯れてしまいます。

 

19世紀の中頃、アフリカとアジアで、この病気が猛威をふるいました。

1861年、アフリカのビクトリア湖周辺で発見されたコーヒー葉さび病は、アジア、アフリカで栽培されていたアラビカ種のコーヒーノキに多大な被害をもたらしました。

とくに、スリランカ(セイロン島)のアラビカ種のコーヒーノキは、1860年代の末までに全滅してしまって、それ以後、コーヒーノキの栽培から、紅茶の栽培に切り替わったという話は有名です。

アラビカ種は、このさび病に弱いので、インドネシアでは、葉さび病に対して抵抗力が認められるロブスタ種の栽培を増やしたという話も有名です。 

f:id:ekawa:20150917173819j:plain

(葉さび病の世界分布状況/フリー地図を利用してエカワ珈琲店が作成しました)

 

葉さび病菌は、風や雨によって運ばれて、葉の裏側の気孔から葉肉内へと菌糸を伸ばして、養分を奪って、植物を枯死させてしまうと言われています。

初めは直径1~2ミリくらいの淡黄色に見える小さな斑点(病班)が、次第に黄褐色に変化しながら大きくなって行くと言われています。

1~2ミリくらいの小さな斑点(病班)には、およそ100万個の胞子が巣くっていて、最適の温度(温度条件)のもとでは、猛烈なスピードで増殖して行くと言われています。

 

斑点(病班)の色が濃くなって行くのと並行して、葉本来の美しい緑色が色あせて光合成機能が失われて行くそうです。

濃褐色(さび色)に変わる頃には、葉本来の美しい緑色が全く見られなくなってしまって、萎縮して落葉すると言われています。

そして、大農園であっても、2年~3年で壊滅的な打撃を被ると言われています。

コーヒー葉さび病は、雨季に4~6週間のインターバルで、1ヘクタールにつき、3~5kgの銅系殺菌剤を散布することで予防できるとする研究報告が存在しているようです。

 

コーヒーノキの天敵は、コーヒーノキの病気だけではありません。

高地で栽培されるコーヒーにとって一番恐ろしいのは、霜による災害です。

わずか一晩の霜のために、栽培地域全域が壊滅的な被害を受けます。

1975年、ブラジルでは、この霜害で20億本の木のうち、15億本が被害を受けて、生産が半減してしまいました。

 

南半球のブラジルは、7月が真冬です。

この時期に、南極からの寒波とアンデス山脈からの寒気が、ブラジルのコーヒー生産地帯を襲いました。

強風が収まって、急激に気温が下がった晴天の日の夜明けに、霜がコーヒー農園を襲って、コーヒーノキを冷凍状態にしてしまいました。

 

そして、その翌日、今度は強い日差しを受けて、冷凍状態の葉の水分が温められたので、緑の葉が茶褐色となって落葉して、コーヒーノキが枯死してしまったと「コーヒーの科学」という本に記載されています。

 

note.com