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20世紀版、エカワ珈琲店の珈琲読本、(第5章)コーヒー生豆の成分

コーヒー生豆は農産物ですから、それぞれのコーヒー豆に含まれている、それぞれの成分量は異なっていても、コーヒー生豆を構成している成分の種類については、ほぼ同じだと思っています。 

しかし、コーヒー豆の自家焙煎は、コーヒー生豆を自家焙煎コーヒー豆に品質変換処理するのが目的の加熱操作ですから、当然、コーヒー生豆と自家焙煎コーヒー豆とでは、その成分や成分量が大きく異なっていると思っています。(というよりも、異なっているはずです)

 

【参考】コーヒー豆の成分については、下のリンク先ページの記事も参考になるかもしれません。

www.ekawacoffee.work

 

目次です

 

【1】コーヒー生豆の成分

コーヒー豆を構成する成分の数は、1000種類近く存在するともいわれています。

コーヒー生豆は農産物ですから、収穫地・生産者・品種・収穫時期によって、成分の量は変化します。

コーヒー生豆を構成する成分のうち、最も多く含まれているのが炭水化物(セルロースや糖類)で、つぎにタンパク質、脂質、クロロゲン酸と続きます。

 

【2】コーヒー豆の一般成分

下の表は、㈶科学技術教育協会発行の『コーヒーの科学/1988年発行』より引用させて頂いた『コーヒー豆の一般成分』に関する表です。

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【3】コーヒー生豆の主な化学成分組成

コーヒーの香りや風味は、コーヒー生豆に焙煎という熱処理を加えることで、コーヒー生豆の化学成分が熱変化(化学反応)して作られます。

コーヒー生豆は農産物ですから、それぞれの生豆に含まれる化学成分の量は、それぞれに異なっています。

しかし、コーヒー生豆を構成している化学成分は同じ物質です。

 

【4】コーヒー生豆の水分

コーヒー生豆の水分は、収穫直後は50%を超えています。

乾燥・精製して、10%~12%の含水率(豆の乾燥度のこと)となります。

この含水率でコーヒー生豆を保存すれば、コーヒー生豆の保存性を良くなると言われています。

 

【5】コーヒー生豆の水分含量

コーヒー生豆に含有されている水の量(濃度)は、コーヒー生豆の全質量に対する水の分率(質量分率)によって表示されています。

このような表示方法を、「水分表示」と呼んでいて、その数値が100%を超えることがありません。

 

【6】自由水と結合水

コーヒー生豆に含まれている水は、全て同じような状態で存在しているわけではありません。

コーヒー生豆に含まれている水には、結合水と自由水という2通りの状態があります。

結合水はコーヒー豆の成分と何らかの相互作用をしている水で、自由水はコーヒー生豆の細胞と細胞の隙間に存在する水や付着水などです。

コーヒー生豆の保存においては自由水の多い少ないが、焙煎においては結合水と自由水の多い少ないが重要になると年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。

 

【7】コーヒー生豆の脂質

コーヒー生豆に含まれている脂質、ようするに油脂は、コーヒー生豆の中に油滴として存在しています。

コーヒー生豆に含まれている油脂の量も、焙煎コーヒー豆に含まれている油脂の量も、ほとんど、その量に変化がありません。

コーヒーの脂質は、コーヒーの香りを保つのに重要な役割を果たしていると考えられています。

 

【8】コーヒー生豆の脂質の中身

コーヒー生豆に含まれる粗脂質の組成は、次のとおりです

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【9】カフェイン

カフェインは、お茶の葉、コーヒー豆、カカオ豆など、嗜好飲料用の植物に含まれているアルカロイドです。

コーヒーに含まれているカフェインの量は、コーヒーの種類・産地・収穫した年の天候などによって違ってきます。

一般的に、アラビカ種で1.0~1.5%、ロブスタ種で1.5~2.5%、平均で1.0~2.0%のカフェインが含まれています。

 

【10】アルカロイド

含窒素化合物(窒素を含む化合物)で、塩基性(アルカリ性)を示す有機化合物のことをアルカロイドと呼んでいます。

普通の有機酸と塩を作って存在していて、生理活性が強くて、苦味の強い化合物が多くあります。

コーヒー生豆に含まれているカフェインやトリゴネリンもアルカロイドです。

 

【11】コーヒーのタンニン

緑茶や紅茶に含まれているタンニンとコーヒーに含まれているタンニンは、まったく異なった物質なのだと思います。

緑茶や紅茶などに含まれているタンニンは、高分子のポリフェノール化合物で渋みのある物質ですが、コーヒーのタンニンとされている成分は、クロロゲン酸類と呼ばれている物質なのだと思います。

 

【12】コーヒーのポリフェノール

ポリフェノールは、ほとんどの植物に含まれていて、光合成によって作られる植物の色素や苦味の成分です。

コーヒー生豆に含まれているポリフェノールのほとんどは、クロロゲン酸類です。

普通、ポリフェノール成分による褐変反応は、その食品の品質を劣化させるわけですが、コーヒー豆焙煎の褐変反応のように、ポリフェノール成分の褐変反応を利用することで、その品質を向上させる食品もあります。

コーヒー以外に、ココアや紅茶も、そういった部類の食品です。

 

【13】クロロゲン酸

5-カフェイルキナ酸(5-caffeoylquinic acid)とも呼ばれていて、コーヒー酸とキナ酸が結合したポリフェノール化合物です。

コーヒー生豆の成分のひとつで、カフェインよりも多く含まれています。

 

【14】クロロゲン酸類

クロロゲン酸類はカフェオイルキナ酸類とも呼ばれていて、コーヒーの渋味の原因と考えられている化合物です。

コーヒーの生豆には、少なくとも13種類くらいのクロロゲン酸類が存在していると言われています。

クロロゲン酸類は、熱によって加水分解します。

そして、さらに複雑な化学変化によって、より多くの化合物を作り出すことで、コーヒーの複雑な味・香り・色を生み出しています。

 

コーヒー生豆のクロロゲン酸類/%無水中 

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【コーヒー焙煎の化学と技術/弘学出版 18ページからの引用ですが、少しだけ年老いた珈琲豆焙煎屋流に変更しています】

 

【15】トリゴネリン

カフェインと同じアルカロイドの一種で、カフェインの4分の1の苦味を持っています。コーヒーの生豆に、約1%程度含まれています。

焙煎によって、50~80%が熱分解して減少するので、カフェインよりも含有量が著しく減少します。

熱分解したトリゴネリンの一部は、水溶性ビタミンのナイアシン(ニコチン酸)になります。

 

【16】炭水化物

コーヒー生豆乾物中に占める炭水化物の割合は約60%で、遊離糖(ショ糖)と多糖類に分けられます。

コーヒー生豆に含まれる炭水化物の約10%が遊離糖(ショ糖)で、焙煎によって約2%くらいまで減少します。

ショ糖は、焙煎コーヒー豆の香りや褐色の形成に寄与しています。

残りの約90%は、マンナン、アラビノガラクタン、セルロースなどの多糖類です。

 

【17】タンパク質

コーヒー生豆には、タンパク質が約13%(乾物中)含まれています。

1990年頃発行された『コーヒー焙煎の化学と技術』という本には、焙煎によってタンパク質は熱変性を受けて、一部は香気成分の形成に、また一部は苦味成分の形成に、またまた一部は多糖類と結合して褐色色素の形成に寄与していると書いてあります。

 

【18】灰分(無機成分)

ミネラル成分のことで、燃焼しても水と炭酸ガスにならずに灰として残る成分で、コーヒーの生豆には約4%含まれています。(焙煎後も残っています)

コーヒー生豆に最も多く含まれている無機成分は、カリウムで、続いてカルシウム、マグネシウムとなっていて、他の無機成分は、微量しか含まれていないようです。

 

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