アメリカ合衆国のコーヒー業界事情を象徴している「サードウェーブコーヒー」という言葉が、今(2015年)、日本でも話題になっています。
アメリカの焙煎コーヒー豆消費市場では、ホールセール(業務卸)市場の消費パターンが変化してしまって、その結果として、数多くの活気がある小規模なコーヒー豆焙煎屋さんが活躍している社会現象、それが、アメリカで発生しているサードウェーブ現象だと年老いた珈琲豆焙煎屋(エカワ珈琲店の店主)は理解しています。
アメリカ合衆国の経済は、腕力に勝る企業が消費市場の限られた商品棚の大部分を占有して、その業界をリードして行くという「不足の経済」の時代に「さようなら」しつつあるのかもしれません。
商品棚が無限に存在できる時代となって、その無限に存在する商品棚の中から、消費者が満足感を覚える商品を選択する「満足の経済」の時代に突入しつつあるのかもしれません。
日本の経済は、未だに腕力に勝る企業が消費市場の限られた商品棚の大部分を奪い合う競争をしていて、その競争に勝利した企業が、その業界をリードする経済(不足の経済)にどっぷりと浸かっているのかもしれません。
21世紀になっても、20世紀型の経済から脱皮できていないので、20数年の長期間に渡って経済の停滞が続いているのかもしれません。
限られた商品棚を奪い合う競争ではなくて、無限に存在する商品棚の中で、その商品価値・品質を競い合う経済の一つの形として、アメリカのサードウェーブコーヒー現象が存在していると年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
アメリカのサードウェーブコーヒー現象は、無数に存在しているマイクロロースターと呼ばれるコーヒー豆自家焙煎店が活性化することで発生している現象で、活性化したマイクロロースターの中で、少しだけ規模が大きくなったのがスタンプタウンやブルーボトルコーヒーだと理解しています。
日本にも、数千から1万といわれる数のコーヒー豆自家焙煎店(マイクロロースター、ナノロースター)が存在していて、アメリカのマイクロロースターと同じで、「煎りたて、新鮮、香りの良いコーヒー豆」、「生産者の顔が見えるコーヒー豆、品質重視のコーヒー豆」、「コーヒー豆焙煎後1週間or2週間」をキャッチフレーズとして商売を営んでいます。
アメリカのコーヒー業界第2の波(セカンドウェーブコーヒー)を象徴するスターバックスは、ここ日本でも確固たる地位を築いています。
コンビニエンスストアーのセルフコーヒーは、すごい勢いで売れているようです。
アメリカでコーヒー業界第3の波(サードウェーブコーヒー)現象が発生した頃の状況と、現在の日本のコーヒー事情ですが、相当に良く似た状況になって来ていてるように感じています。
エカワ珈琲店(店主は年老いた珈琲豆焙煎屋)は、喫茶店から自家焙煎コーヒー豆の小売店に転換して、20数年の年月が経過しています。
その間に、色々な経験・体験を積んで来たわけですが、その経験・体験から、日本のコーヒー業界の20世紀的な(限られた商品棚を奪い合う)商売については、その土台が相当に脆くなっているのを感じることができます。
腕力を駆使して限られた商品棚を奪ってしまうという商売ですが、日本でも、インターネットを通じて焙煎コーヒー豆が売れる時代になっているわけですから、そろそろ通用しなくなって来ている可能性もあります。
エカワ珈琲店は、アメリカコーヒー業界で発生しているサードウェーブコーヒー現象と同じような社会現象が、ここ日本でも発生する可能性が高いはずだと考えています。
というよりも、日本経済が活性化するためにも、サードウエーブコーヒー現象的なものが発生する必要があると考えています。
日本のコーヒー業界で高い市場占有率を誇っている大手のコーヒー企業の経済活動と、数千から1万店のコーヒー豆自家焙煎店の経済活動の活性化と、どちらが日本経済に与えるインパクトが強いかというと、もちろん後者だと思います。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、日本経済活性化のためにも、日本のコーヒー豆自家焙煎店は、アメリカのサードウェーブコーヒー現象と同じような現象を、ここ日本で発生させるための努力をする必要があると考えています。
年老いた珈琲豆焙煎屋が、サードウェーブコーヒー現象という文化に期待しているのは、数千から1万店存在していると考えられるコーヒー豆自家焙煎店の活性化です。
日本のコーヒー業界の限られた商品棚を奪い合う競争に終止符を打てるのは、数千から1万店存在していると考えられるコーヒー豆自家焙煎店の頑張りだと思っています。
数千から1万店のコーヒー豆自家焙煎店が一斉に活気づけば、腕力に勝るコーヒー企業が主導する限られた商品棚を奪い合う競争など、何の意味も持たなくなるはずだと考えています。