現在の珈琲市場です。ファーストウェーブコーヒー市場、セカンドウェーブコーヒー市場、サードウェーブコーヒー市場が存在していて、今後、一番成長が期待できる珈琲市場は、サードウェーブコーヒーの市場だと考えられます。
海の向こうの国アメリカからは、そのサードウェーブコーヒーのプレイヤーのもとにベンチャーキャピタルの資金が集まっているという話が聞こえてきます。その資金の集まり方が、21世紀初頭のハイテクバブルによく似ているという意見もあるようです。
【目次】
- 3つのコーヒーの波
- スターバックスコーヒーの驚異的な成長スピード
- サードウェーブコーヒーの広がり
- コーヒーブランドの統合
- クラフトコーヒー市場には参入余地がある
- アメリカのクラフトコーヒー市場
- クラフトコーヒーの世界は変化している
- 日本のクラフトコーヒー市場(自家焙煎コーヒー豆市場)
- 年老いた珈琲豆焙煎屋の今日この頃
3つのコーヒーの波
20世紀、大量生産・大量消費の手軽な価格のコーヒーが登場して来て、家庭や職場や街でコーヒーを気軽に飲めるようになって、コーヒー消費が拡大・普及して行きました。焙煎コーヒー豆を大量生産して手頃な価格で供給したのが、ファーストウェーブコーヒーに分類される大手・中堅珈琲企業です。
1990年代、スターバックスコーヒーやピーツコーヒーなどの喫茶店チェーンは、1杯400円~500円のコーヒーを売って成功を収めます。ファーストウェーブコーヒーよりも高い価格でコーヒーを売って成功を収めたのが、セカンドウェーブコーヒーに分類されている喫茶店チェーンです。
そして、消費者にコーヒーうんちくを語ることで、アメリカ合衆国にて、高級コーヒーを売ることに成功したのがサードウェーブコーヒーだと年老いた珈琲豆焙煎屋は解釈しています。
スターバックスコーヒーの驚異的な成長スピード
1990年、スターバックスコーヒーの店舗数は80数店舗でした。その後、スターバックスコーヒーは驚異的なペースで事業規模を拡大して行きます。
2019年現在、約3万店舗の喫茶店を全世界で展開する珈琲の巨大ブランドに成長しています。
スターバックスコーヒーは、珈琲業界を代表する珈琲ブランドに急スピードで成長して来ました。そして、今も成長を続けています。
現在のスターバックスコーヒーに、多額の資金を用意して真正面ら戦いを挑んでも勝負は見えていると思います。
セカンドウェーブコーヒー市場は、スターバックスコーヒーが揺るぎのないトップブランドとして君臨している成熟した珈琲市場だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
サードウェーブコーヒーの広がり
スタンプタウンコーヒー、インテリジェンシアコーヒー、ブルーボトルコーヒー、リチュアルコーヒーロースターズなど、少量生産・少量消費型ニッチ珈琲ブランドの登場は、スターバックスコーヒーが作り出したコーヒー文化の基盤の上に成り立っているような気がします。
スターバックスコーヒーを支持した消費者の先端に位置する人たちが、少量生産・少量消費型ニッチ珈琲ブランドを支持するようになったのがサードウェーブコーヒーの始まりだと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えます。
2000年代の後半、サードウェーブコーヒーは、アメリカ都市部の先端的なコーヒー消費者だけに支持されていました。それが、2019年の現在、アメリカの農村地帯の小さな町にまでその波が広がっています。
コーヒーブランドの統合
2010年代の中頃から、ファーストウェーブコーヒー系珈琲企業が主導するコーヒーブランドの集中統合が始まっています。
ドイツ資本のJABホールディングは、スタンプタウンコーヒー、ピーツコーヒー、インテリジェンシアコーヒーを傘下に収めています。
世界最大の珈琲企業ネスレは、ブルーボトルコーヒーを傘下に収めていて、スターバックスコーヒー商品を販売する権利を大金を投じて購入しています。
コカコーラーは、イギリスのコスタコーヒーを傘下に収めています。
クラフトコーヒー市場には参入余地がある
サードウェーブコーヒー市場=クラフトコーヒー市場だと考えると、この市場は、まだまだ成熟していない参入余地が大きい珈琲市場だと思いす。
ファーストウェーブコーヒー市場やセカンドウェーブコーヒー市場は成熟している市場ですから、参入するには相当な資金力が必要です。しかし、クラフトコーヒー市場(サードウェーブコーヒー市場)は、まだまだ未成熟で成長途上の市場ですから、それほど莫大な資金を投入しなくても参入が可能です。
実際に、クラフトコーヒー市場では、次から次へと新しい珈琲ブランドが登場しているようです。 そして、ベンチャーキャピタルが、次から次へと登場して来る新しい珈琲ブランドの幾つかに資金を供給しているという話も聞こえてきます。
しかし、資金調達が容易だという事は、クラフトコーヒー市場(サードウェーブコーヒー市場)のプレーヤーたちの成長スピードを加速させると思いますが、プレーヤー同士の競争も厳しくなって来るのは確実だと考えます。
アメリカのクラフトコーヒー市場
アメリカのクラフトコーヒー(サードウェーブコーヒー) 市場は、4兆円市場(2019年現在)だと言われていますが、5年後には2倍の8兆円市場に成長するという意見もあります。
その背景にあるのが、クラフトコーヒー(サードウェーブコーヒー) 業界に流入するベンチャーキャピタルの資金です。豊富な資金が、クラフトコーヒー(サードウェーブコーヒー) 成長の原動力になると考えられているようです。
ということは、コーヒー消費が飽和状態にある経済先進国で、数年で市場規模(金額ベース)が2倍になるわけですから、商品・サービスの高価格化は避けられないような気がします。
何はともあれ、珈琲市場は巨大な消費市場です。そして、ファーストウェーブコーヒーとセカンドウェーブコーヒーの市場は、ほぼ成熟しています。
サードウェーブコーヒー(クラフトコーヒー)の市場は、まだまだ未成熟の市場で、ファーストウェーブコーヒーやセカンドウェーブコーヒーの市場から消費者が流入してくる可能性の高い市場です。それが、サードウェーブコーヒー(クラフトコーヒー)のプレーヤーたちの事業に、ベンチャーキャピタルから資金が集まって来る理由なのかもしれません。
クラフトコーヒーの世界は変化している
コーヒーは毎日消費するものですが、歯磨き粉のような性能が重視される商品ではなくて文化という鎧を纏った商品なのかもしれません。
非常に珍しい希少なコーヒー豆(コーヒー生豆)が、高価格で取引されています。そして、高価格のコーヒー豆(コーヒー生豆)を原料にした焙煎コーヒー豆も高価格で小売されていて、その希少で高価格な焙煎コーヒー豆を使って淹れたコーヒーも高価格で売られています。
クラフトコーヒー市場は、自家焙煎コーヒー豆とそれを使って1杯のコーヒー売っている喫茶店だけの市場では無くなって来ています。
ハイテク産業的な投資を行って、コーヒーを飲む体験そのものを再設計する方向に向かっているようにも感じられます。
Trade Coffee のような、数多あるクラフトコーヒー市場のプレーヤーを紹介するプラットフォームサイトも、クラフトコーヒーの世界で活動している事業者だと思います。
カルフォルニア州と日本で喫茶店を数店舗展開しているVERVE COFFEE ROASTERS | ヴァーヴ コーヒー ロースターズ は、淹れたてコーヒーを急冷して缶詰するフレッシュブリューコーヒーや高品質インスタントコーヒーなど、クラフトコーヒーの新しい事業に投資しています。
日本のクラフトコーヒー市場(自家焙煎コーヒー豆市場)
日本のクラフトコーヒー市場(少量生産・少量消費の手作り自家焙煎コーヒー市場)を担っているのは、年老いた珈琲豆焙煎屋などが営むコーヒー豆自家焙煎店だと自負しています。
日本のクラフトコーヒー市場(自家焙煎コーヒー豆市場)は、2つのタイプの市場に分類できると考えています。
一つは、都会の若い人たちに支持されている自家焙煎コーヒー豆店の市場です。この珈琲市場は、今後成長が期待できる有望な市場だと思います。
もう一つは、昔ながらの自家焙煎コーヒー豆店の市場で、こちらの市場は、21世紀に入ってから縮小を続けていて、これからも縮小して行く市場だと思います。
今後、都会の若い人たちに支持されている自家焙煎コーヒー豆店の市場が地方にも広がって行くのは確かですから、昔ながらの自家焙煎コーヒー豆店を利用しているコーヒー消費者も、そちらの方に移動して行くはずです。
年老いた珈琲豆焙煎屋の今日この頃
年老いた珈琲豆焙煎屋は、自家焙煎コーヒー豆の市場で生活の糧を得ています。しかし、成長が期待できる有望な市場の方では無くて、縮小を続けている市場の方で棲息しているので、このままではジリ貧になるのが目に見えています。
ですから、昔ながらのコーヒー豆自家焙煎店のスタイルを維持しながら、少しずつ新しい 自家焙煎コーヒー豆店のスタイルも取り入れて行こうと考えている今日この頃です。