年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ | エカワ珈琲店

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サードウェーブ現象とは、コーヒーの売り方の革新なのかもしれません

焙煎コーヒー豆には、生産財的側面と消費財的側面があるのだと思います。

喫茶店や飲食店、オフィスコーヒーとして使われる焙煎コーヒー豆は生産財で、百貨店・量販店・コーヒー豆専門店で小売販売される焙煎コーヒー豆は消費財だと考えます。

 

そして、生産財と消費財とでは、同じ焙煎コーヒー豆であっても、売り込み方法が違ってくるのだと思います。

日本には、大・中・小・零細と、数多くのコーヒー豆焙煎加工事業者が存在していて、その事業者の大半は、生産財として焙煎コーヒー豆を商っています。

生産財として焙煎コーヒー豆を商う場合、その対象は喫茶店・飲食店などの事業者ということになります。

 

一方、消費財として焙煎コーヒー豆を取り扱う場合、一般の消費者を対象に商売をする必要があります。

この分野を手がけているのは、大手中堅の事業者と個人経営の零細事業者ということになります。

 

消費財として焙煎コーヒー豆が取り扱かわれる場合でも、百貨店・量販店・生協などの流通小売業者で再販売される場合と、大手事業者の直営店で小売販売される場合と、エカワ珈琲店のような零細な珈琲屋の店舗で小売販売される場合があります。 

焙煎コーヒー豆の消費財市場の大半は、百貨店・量販店・生協などの流通小売事業者で占められていて、大手のコーヒー豆焙煎加工事業者と限定された中規模コーヒー豆焙煎加工事業者が焙煎コーヒー豆を供給しています。

そして、焙煎コーヒー豆を供給している事業者は、流通小売事業者の店舗での自社商品のシェアを高めるための営業活動をしています。

 

エカワ珈琲店のような零細個人事業者は、通称『コーヒー豆の自家焙煎店』と呼ばれていて、営業力も流通小売事業者へのコネも無いわけで、だから自ら焙煎加工したコーヒー豆を、自らの店舗で消費者に直接小売販売しています。

焙煎コーヒー豆の消費財市場で『コーヒー豆の自家焙煎店』の占める割合は僅かなのですが、最終顧客である一般の消費者と直接対応しているわけですから、お客さんの動向を逸早く把握することができます。

 

消費財商品の売れる売れないは、財布のひもを握っている最終顧客(一般の消費者)の動向によって決まってしまいます。

焙煎コーヒー豆について一般の消費者の動向を把握するのに、一番適しているのが『コーヒー豆の自家焙煎店』だと思います。

 

2010年7月30日(金曜日)の日経MJに、日経ニューヨーク支社の清水石珠実さん(現地採用の日経記者)が寄稿した「スタバに次ぐ第2世代台頭」という特集記事が掲載されています。

スターバックスに次ぐ「第2世代のコーヒー専門チェーン」の台頭を紹介しているこの記事で、、インスタントコーヒーの浸透、スターバックスの躍進に次ぐアメリカコーヒー業界の新潮流を、アメリカのマスコミは「サードウェーブ」と呼んでいると解説しています。

 

2010年7月30日(金曜日)の日経MJの記事「スタバに次ぐ第2世代台頭」で、新潮流(サードウェーブ)の代表としてスタンプタウンとインテリゲンチアが紹介されています。

 

スタンプタウンが、喫茶店舗7店、焙煎所3箇所、コーヒーの卸先200店、1999年創業。

インテリゲンチアが、喫茶店舗6店、焙煎所3箇所、コーヒーの卸先1100~1200店、創業1995年。

両社とも、特定の農園から仕入れたコーヒー豆を自社の焙煎職人が手作業で焙煎して、焙煎後1週間以内の焙煎コーヒー豆を使用してコーヒーを淹れることを売り物としていると紹介されています。

 

日本の田舎町でコーヒー豆の自家焙煎店を営むエカワ珈琲店の目には、アメリカのサードウェーブコーヒー現象は、生産財であるコーヒー豆と消費財であるコーヒー豆の売り方の革新で、アメリカコーヒー業界のイノベーション現象だと写っています。

 

サードウェーブ系のアメリカのコーヒー企業ですが、基本的に、拠点としての喫茶店・焙煎所を活用して、近隣の飲食店や高級食品店にコーヒー豆を卸販売するコーヒー企業なのだと、エカワ珈琲店は考えています。

アメリカで十数店舗の喫茶店を展開しているだけの「ブルーボトルコーヒー」が、日本に進出してきて、スターバックスを小規模にしたような喫茶店チェーンを展開するだけなら、日本進出の意味が無いと考えています。

 

「特定農園のコーヒー豆」、「手作業での焙煎」、『煎りたて、新鮮、香りの良いコーヒー豆の提供」、どれも日本の零細なコーヒー豆自家焙煎店が、以前から実行しているマーケティングです。

 

今、日本のマスコミやコーヒー業界・飲食喫茶業界の注目を浴びている「ブルーボトルコーヒー」が、日本でどのような事業展開をするのか、エカワ珈琲店は注目しています。

「ブルーボトルコーヒー」の日本での事業展開次第で、飲食喫茶店や高級食品店への卸販売という付加価値の高い生産財としてのコーヒー豆を商っている市場の地形図に、急激な変化が訪れるかもしれません。

そうすると、日本の零細なコーヒー豆自家焙煎店も、相当に面白い商売を営むことができるかもしれません。

 

人口の減少と高齢化の進行している日本ですから、経済の領域で新陳代謝が起こらなければ、日本経済の成長は難しいと考えています。

コーヒー業界に新陳代謝が起これば、日本経済に少しは貢献するはずだと考えています。