年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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20世紀版、エカワ珈琲店の珈琲読本(第9章)コーヒー豆の焙煎と香り

コーヒーの品質で、最も重要なのが「香り」だと、筆者は思っています。

コーヒーの香りは、コーヒー生豆に含まれている成分を前駆物質(プレカーサー)として、焙煎による熱反応で生成すると考えられています。

酸、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、硫黄化合物、フェノール、窒素化合物などなど、無数の揮発性成分の複合したものがコーヒーの香りだと考えています。

 

【参考】

このブログ記事の2023年版は、年老いた珈琲豆焙煎屋がキンドルでセルフ出版している電子書籍『序説、コーヒー豆の自家焙煎』に収録しています。

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【目次】

 

【1】油脂成分の変化

コーヒー豆の細胞の中には、油脂分が油滴として細胞壁などに引っ付いています。

それが、焙煎の進行にしたがって、溶出してコーヒー豆の内部に分散していきます。

この油脂分の量ですが、コーヒー生豆に含まれている量も、焙煎コーヒー豆に含まれている量も、ほとんど変わりが無いと言われています。

 

【2】油脂成分とチャフ

コーヒー生豆のチャフ(渋皮)は、焙煎中に水蒸気がコーヒー豆から放出される時の圧力でコーヒー豆から引き離されると理解しています。

しかし、センターカット部分などの焙煎コーヒー豆の内部には、チャフが残っています。

このチャフには、香り成分を吸収している油脂成分がしみ込んでいると考えられます。

 

【3】焙煎と香り

コーヒーの香りは、コーヒー生豆の成分が、焙煎によって分解したり、分解して新たに出現した成分同士が反応したりして生成すると考えています。

コーヒーの香気成分として、1000種類近くの成分の存在が確認されていますが、コーヒーの香りを代表する香気成分の確定は、未だにできていません。

コーヒーの香りは、コーヒー生豆を焙煎することで生成します。

まだ知られていない香気成分も多いので、未だに、天然のコーヒーの香りに似た香りは作られていないと理解しています。

 

【4】フレーバープリカーサー

フレーバーのもとになる物質(前駆体)のことを、フレーバープリカーサーと呼んでいます。

ショ糖、クロロゲン酸、タンパク質、トリゴネリンなどの物質です。

 

【5】香気の生成

コーヒーの香りは、有機酸、アルコール、硫黄化合物、フラン化合物、マントール、カルボニル化合物、窒素化合物など、無数の揮発性香気成分が複合してコーヒーらしさを作っていると考えられます。

脂肪、タンパク質、遊離アミノ酸、ショ糖などの熱による反応で、コーヒーの香りが作られているのだと思います。

熱による主な反応として、熱分解、ストレッカー分解、メイラード反応(アミノカルボニル反応)などがあると理解しています。

 

【6】香気成分

焙煎コーヒー豆に特有な香りを形作る成分のことを、香気成分と呼んでいます。

コーヒーの香りは、コーヒー生豆を焙煎することで生成します。

焙煎コーヒー豆には、1000種類近くの香気成分の存在が確認されていますが、いまだに、コーヒーの香り(アロマ)を形成する香気成分を特定できていません。

 

【7】アロマとフレーバー

香を表現する際、『アロマ』と『フレーバー』という言葉をよく使用します。

鼻で感じる香り、食品から感じられる香りのことを『アロマ』と呼んでいます。

一方、『フレーバー』は、食べ物を口で味わった時に感じる香りです。

コーヒーの香りは、非常に数多くの香気成分が、複雑に絡み合って作られていると考えられます。

濃度の薄い時には、心地よいと感じる香りであっても、濃くなると、不快なニオイとなる香気成分もあると思います。

 

【8】コーヒーアロマ

コーヒーを口にしたときの感覚には、「味覚」と「口触り」の2つがあると思っています。

コーヒーの味覚は甘味・塩味・苦味・酸味で、コーヒーの口触りは温感・渋み・濃度だと思います。

コーヒーの香りは、味覚と口触り、その2つの感覚と混じりあって、複合的な風味を作り出していると思っています。

そして、バランスの取れた風味が存在していることで、はじめて、そのコーヒーを美味しいと感じることができると思っています。

ですから、スペシャルティーコーヒーにとって、一番重要な属性は「コーヒーの香り」なのかもしれません。

 

【9】ローストフレーバー

ライトローストの焙煎コーヒー豆には、そのコーヒー豆が本来持っているフレーバー(オリジナルフレーバー)が最も強く現れていると思っています。

そのコーヒー豆がもともと持っているオリジナルのフレーバーは、コーヒーノキの種、栽培地の土壌や標高、気象条件によって作られると理解しています。

ロースト(焙煎)が深くなって行くとともに、コーヒー豆のオリジナルフレーバーは、そのコーヒー豆を焙煎(ロースト)することで作られるフレーバーによって覆い隠されて行きます。

 

【10】香りの化学反応

コーヒー豆の香りを生成する化学反応として、カラメル化反応、ストレッカー分解、アミノカルボニル反応(メイラード反応)などの褐変反応が知られています。

コーヒー生豆が茶色やきつね色、褐色に変色することを『褐変反応』と呼んでいます。

『褐変反応』には、「酵素的反応」と「非酵素的反応」があります。

コーヒーの『褐変反応』は、主に、非酵素的褐変反応です。

この非酵素的褐変反応も、『カラメル化反応』と『アミノカルボニル反応(メイラード反応)』に分けられます。

 

【参考】

酵素的褐変反応と非酵素的褐変反応について、詳しい説明は、下のリンク先ページをご覧ください。

www.ekawacoffee.work