たんぱく質・炭水化物・脂質という3大栄養素以外で、コーヒーに含まれている成分について幾つか書き出してみました。何かの参考になれば幸いです。
参考書として、旦部幸博さんの「コーヒーの科学」と中林敏郎博士の「コーヒー焙煎の化学と技術」、友田五郎農学博士の「序説珈琲学」と工学博士広瀬幸雄さんの珈琲関係著作を活用させて頂きました。
カフェイン
コーヒーに含まれている成分で一番有名なのが、カフェインなのだと思います。
カフェインはプリン系のアルカロイドで、コーヒーの苦味成分の一つだとされています。
アラビカ種のコーヒー生豆には1.0%~1.4%くらい、ロブスタ種のコーヒー生豆には2.0%~3.0%くらい含まれていると報告されています。
カフェインは熱に大変強い物質ですから、焙煎中にほとんど減少することは無いとされています。(昇華によって、少しだけ減少するそうですが)
また、一杯のコーヒーに含まれているカフェインの量はというと、だいたい100mgくらいです。
ちなみに、アイスコーヒーをつくるときに、熱いコーヒー浸出液に氷を入れると冷えるにつれて白く濁ってくるのは、カフェインとクロロゲン酸の複合体が凝集・析出するためだと説明されています。
クロロゲン酸
コーヒー生豆の中にカフェインよりも多く含まれているのがクロロゲン酸で、コーヒー生豆に約10%含まれているとされています。
アラビカ種のコーヒー生豆よりもロブスタ種のコーヒー生豆のほうが、クロロゲン酸の含有量が多いようです。
クロロゲン酸は、キナ酸とコーヒー酸がくっついたポリフェノール化合物で、焙煎による化学反応や抽出によってキナ酸部分(緑色の部分)が加水分解されるとコーヒー酸になります。
クロロゲン酸には多くの仲間が存在していて、コーヒー生豆にも含まれています。そして、クロロゲン酸とそれらの仲間をまとめてクロロゲン酸類と表現しています。
ちなみに、コーヒーのタンニンと呼ばれている成分は、クロロゲン酸を主体とする同族体とその混合物(クロロゲン酸とその仲間)を指しているのだと思います。
お茶などに含まれるタンニンは高分子のポリフェノール化合物で、渋味を持つ成分です。しかし、コーヒーのタンニンと言われているクロロゲン酸類は低分子のため渋味がなくて、酸味と弱い苦味を呈する成分です。
コーヒー酸
コーヒーの香り成分で、もっとも量的に多いのがコーヒー酸由来の香り成分なのだと思います。
コーヒーの香り成分は数百種類あるとされていて、量が多いだけではコーヒーの香りの主役になることができません。
量の多い少ないにかかわらず、コーヒーらしい香りを醸し出す香り成分が上手く混合されて、あの素晴らしいコーヒーの香りが出来上がっているのだと思います。
トリゴネリンとニコチン酸
ピリジン系のアルカロイドであるトリゴネリンは、カフェインの4分の1の苦味を呈する成分で、熱に弱いので焙煎で熱分解して、コーヒー褐色色素やビタミンのナイアシン(ニコチン酸)に変化します。
コーヒー生豆に含まれているトリゴネリン含量は、アラビカ種で平均1.0、ロブスタ種で平均0.65と報告されています。
トリゴネリンは熱に不安定ですから、その分解は温度と時間に支配されています。
180度で加熱すると初めはゆっくりと、15分後には分解が促進され、45分後には65%が失われる。230度で加熱すれば、分解が急速で15%しか残らないと報告されています。
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