年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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20世紀版、エカワ珈琲店の珈琲読本、(第8章)コーヒー豆焙煎中の組織変化と焙煎度

コーヒー豆の焙煎工程でのコーヒー豆組織は、ほとんど秒単位で変化していると言われています。

ですから、コーヒー生豆の種類や特徴、また焙煎したコーヒー豆の使用方法の違いによって、適切な焙煎度合(煎り具合)を設定する必要があると思っています。

その方法として、大まかに三段階に設定する方法から、五段階、あるいは六段階、さらに詳細に八段階に設定する方法などが知られています。

ちなみに、エカワ珈琲店(店主は年老いた珈琲豆焙煎屋)は、焙煎度の色だけを目安にしてコーヒー豆を焙煎しているのではなくて、同じ「中深煎り」でも、コーヒー生豆の銘柄や状態の違いによって、1ハゼまでの時間を短くしたり長くしたり、化学反応が活発化する1ハゼ以後の時間を長くしたり短くしたりと、様々に煎り分けているつもりです。

 

【参考】このブログ記事の2023年版は、年老いた珈琲豆焙煎屋がキンドルでセルフ出版している電子書籍『序説、コーヒー豆の自家焙煎』に収録しています。記事内容に使ってる字数は、このブログ記事の4倍くらいですから、ある程度は濃厚な記事になっていると自負しています。

 


【目次】

 

【1】焙煎度(ローストのグレード)

コーヒー豆の焙煎中、苦味・酸味・香りなどの成分が、ほとんど秒単位で変化しています。

コーヒー豆は、焙煎の進行にともなって、うっすらとした黄色から、黄色、茶色、茶褐色、褐色と色が濃くなって行って、最終的には黒くなって灰化します。

もちろん、灰化したコーヒー豆は、実用に耐えることはできません。

エカワ珈琲店がコーヒー豆の自家焙煎を開始した1990年頃には、焙煎度を大きく、「浅煎」・「中煎」・「深煎」の3段階に分ける方法と、ライトからイタリアンまで、8段階に分ける方法が知られていました。

現在(2023年)でも、その頃の焙煎度の分類方法が、基本的には有効だと考えています。

 

【2】焙煎度(三段階)

焙煎の過程を、「浅煎」・「中煎」・「深煎」の3段階に分ける方法。

「浅煎り」は、一般的に焙煎時間が短いので、色はライトブラウン、酸味を感じさせるコーヒーになります。

この浅煎以前の段階は、コーヒー豆の色も薄くて香りも無い、とても飲用に耐えられません。

一般的にコーヒー豆の焙煎が進行して行って、コーヒー豆の色がダークブラウンで、焙煎コーヒー豆のカラメル化が進行して苦味の強くなった段階が、『深煎』の焙煎コーヒー豆です。

極端な深煎の焙煎コーヒー豆は、こげ臭がするただ苦いだけの、香りのない焙煎コーヒー豆です。

『中煎』は、色も味覚も焙煎時間も、浅煎と深煎の真ん中ということになります。

 

【3】焙煎度(八段階)

焙煎の過程を8段階に分ける方法。フレンチローストとイタリアンローストについては、年老いた珈琲豆焙煎屋は未経験の焙煎度です。

(1)ライトロースト

最も浅煎り。テスト用ロースト。

(2)シナモンロースト

浅煎り。挽いた時の粉の色がシナモンパウダーに似ていて、少しだけ香りがあります。

テスト用ロースト。

(3)ミディアムロースト

普通の煎り具合。香りと酸味が感じられます。アメリカンロースト。

(4)ハイロースト

中煎。もっともオーソゾックスな煎り方。

(5)シティーロースト

中深煎り。酸味よりも苦味が少しだけ強くなります。

(6)フルシティーロースト

エカワ珈琲店の基準では深煎り。アイスコーヒー用、エスプレッソ用。酸味が少なくなって、苦味が強くなります。

(7)フレンチロースト

深煎り。フランス式、ヨーロピアンロースト。豆の色は、タークブラウンで、ウインナコーヒーやカフェオレ、アイスコーヒー、エスプレッソ用。

(8)イタリアンロースト

最も深く煎ったコーヒー。黒い油が豆の表面に浮いてきます。イタリアン式ロースト。

 

【4】焙煎度とPH

アメリカで1959年に発表されたある論文によると、焙煎の進行にともなって遊離酸が増加するので、コーヒーのPHは低下して、メディアムローストあたりで、そのPHは最低になるということです。

その後、焙煎が深くなるに従って、遊離酸の量が減少して、PHは再び上昇すると書いてあります。

 

【5】シュリンケージ(モイスチャーロス)

コーヒーの生豆を焙煎するとコーヒー豆のかさは大きくなりますが、重量は、水分の減少などで12~18%くらい減少します。

この重量の目減り率を、コーヒー豆のシュリンケージと呼んでいます。

コーヒー豆の焙煎度をできるだけ客観的に判断するための補助的な手段として、シュリンケージ(目減り率)が使用されていると思っています。

 

【6】パフィング

コーヒー生豆に含まれている水分の含有量は、10~13%くらいです。

また、焙煎工程での加熱にともなって、コーヒー豆は膨張します。

固かったコーヒーの生豆は、焙煎によって、指で強くおさえればつぶせるほどにもろくなります。

このような焙煎によって発生するコーヒー豆の物理的な状態変化をパフィングと呼んでいます。

 

【7】物理的変化

コーヒーの生豆は、固くて重いのですが、焙煎コーヒー豆は、膨れてもろくて軽くなっています。

焙煎コーヒー豆の容積も、ライトロースト(浅煎り)あたりから急に増加し始め、比重も急速に低下していきます。

また、コーヒー豆の固さも、焙煎が進むにつれて急速にもろくなっていきます。

 

【8】焙煎コーヒー豆の色

焙煎が進むにしたがって、コーヒー豆の褐色が濃くなっていきます。

この焙煎コーヒー豆の褐色のもとになる物質を、コーヒーメラノイジンと呼んでいます。

焙煎コーヒー豆の約80%が、このコーヒーメラノイジン(コーヒー豆の褐色物質)と呼ばれている物質だと考えられます。