昔ながらの喫茶店から自家焙煎コーヒー豆小売専門店に衣替えしたのが、平成元年8月のことです。その頃、エカワ珈琲店が理想としていたのは、ロンドンやニューヨークの下町で長年に渡って焙煎珈琲豆小売店を営んでいる家族経営のお店でした。
当時、都会の古典的な珈琲豆小売店には、繁盛に関する黄金ルールが存在していました。都会のオフィスや住民の集積している立地に出店して、リーズナブルな価格で焙煎コーヒー豆と関連商品を小売販売して、テイクアウトコーヒーや立ち飲みコーヒーもリーズナブルな価格で提供するというルールです。
人口40万人に満たない地方都市(和歌山市)ですが、オフィス集積地に店舗を構えていたので、ロンドンやニューヨークの下町で営業している家族経営の焙煎珈琲豆小売店とよく似たビジネスを展開できるかもしれないと考えていました。
焙煎コーヒー豆をリーズナブルな価格で小売販売して、テイクアウトコーヒーもリーズナブルな価格で販売して、注文が入れば近くのオフィスに焙煎コーヒー豆を配達して、店舗ではコーヒーの立ち飲みもできるタイプの焙煎珈琲豆小売店を理想としていました。
しかし、大都会では成り立ったとしても、人口40万人(2018年の現在は35万人くらいになっています)に満たない和歌山市という地方都市で、都会の古典的な珈琲豆小売店タイプの商売が成り立つ環境は整っていなかったのだと思います。
1990年代、2000年代に、テイクアウトコーヒーや立ち飲みコーヒー的なビジネスに何度も挑戦したのですが、上手く事が運んだことは一度もありません。
焙煎コーヒー豆の小売販売も、2000年前後、一時的にある程度繁盛していたこともあるのですが、近くに珈琲豆小売店舗が幾つか出店して来ると、波が引くようにお客さんは去って行きました。
1990年代は、オフィスコーヒーサービスの導入期だったのだと思います。オフィスへの焙煎コーヒー豆配達は順調に伸びていたのですが、業務卸系の珈琲屋さんやオフィスコーヒー専門業者が本格参入して来ると、こちらも、波が引くように焙煎コーヒー豆の配達先が無くなって行きました。
というように、平成の30年間、色々と紆余曲折を経て来たわけですが、エカワ珈琲店は自家焙煎コーヒー豆小売店のまま生き残っています。それも、自家焙煎コーヒー豆小売販売店に衣替えした頃と同じ零細生業店のままで生き残っています。自慢できることでは無いかもしれませんが・・・。
最近のエカワ珈琲店ですが、自家焙煎珈琲豆インターネット通販中心のビジネスを営んでいます。
店舗販売の場合、夏場は自家焙煎コーヒー豆の販売量は激減します。しかし、インターネット通販は、1年を通して同じような調子で注文が入ります。
高齢ですから、以前のように朝から晩までガムシャラに働くのは無理になっていて、インターネット通販の荷造り・発送の合間を利用して店舗小売りを続けています。
巷のコーヒーブームの影響だと思うのですが、インターネット通販だけでも何とか人並には暮らせて行けるので、店舗小売を続ける必要が無いのかもしれません。しかし、店舗小売は、自家焙煎コーヒー豆小売販売の原点ですから、どのような形で営むにせよ止めるつもりはありません。
最近、流通小売業界では、スマートフォンを利用した注文販売(決済も同時にできる)が流行り始めています。
何れ、そのような手法を店舗販売で利用できるようになるかもしれません。(エカワ珈琲店の店舗小売りの大半は電話予約になっているわけですから・・)
インターネット通販やスマートフォンを利用するビジネスですが、高齢者が営む零細生業店には不向きだとする意見もありますが、それは違うと考えています。
インターネット通販やスマートフォンを利用するビジネスは、高齢者が営む零細生業店の救世主になるだろうと考えている今日この頃です。