キットカットはイギリス生まれの伝統あるチョコレート菓子で、世界最大の珈琲企業ネスレが製造販売しています。
グローバル企業ネスレの製品ですから、世界中で売られています。しかし、それぞれの国・地域の消費者の嗜好に応えるため、味やパッケージデザインはそれぞれの国・地域ごとで異なっているそうです。
安さだけからの脱出
で、日本で売られているキットカットです。 今でこそ、受験シーズンになると、受験生がゲンがいいから買って帰る、お母さんが受験生の子供のために買って帰ることで知られている付加価値の備わったチョコレート菓子ですが、2000年代の初め頃は、安さだけが強調されていて大きい袋詰めパッケージで売っているチョコレート菓子だったそうです。
安さしか取り柄の無い商品は、何れその市場から消えて無くなると考えるのがマーケティングの常識です。危機感を抱いたネスレ日本のマーケティング担当者が、キットカットに付加価値をつける努力を開始したのが2000年代中頃の事だったようです。
そして、たどり着いた新しいコンセプトが、「ストレスリリース(ストレスからの解放)」でした。
きっと勝とうのマーケティング
当時、九州地域では、1月・2月の受験シーズンになるとキットカットがよく売れるという現象が続いていました。九州地域では、「きっと勝つ」ということを「きっと勝とう」と言い、そんな語呂合わせを根拠にゲンがいいということでキットカットを買う人が多かったようです。
ネスレの当時のマーケティングチームは、この現象を、キットカットの新しいコンセプト展開に利用することを考え付きました。
受験生やその家族をターゲットにしたマーケティング戦略が功を奏して、2000年代後半には、「ストレスリリース(ストレスからの解放)」という付加価値をキットカットに作り出すことに成功していました。
ビジネスインサイトに書いてある
以上、キットカットのマーケティングの軌跡については、石井淳蔵さんの著作「ビジネスインサイト/岩波新書」の77ページ~91ページの記述を参考にさせて頂いています。詳しくは、「ビジネスインサイト/石井淳蔵、岩波新書」を読んでください。
現在のキットカット
毎年、この時期(1月~3月の受験シーズン)になると、食品スーパーの一番目立つ場所にキットカットが並べられています。
現在(2020年)のキットカットからは、2000年代初め頃の安さだけが取り柄だったというイメージ は完全に払拭されています。
付加価値を獲得したキットカットは、ネスレ通販サイトで1つの独立した商品カテゴリーを構成して売られています。20年前のキットカットの安さの物語は、今は昔の物語になってしまっていて、知る人はほとんどいないようです。
ネスレのマーケティング
キットカットのマーケティングに限らず、大量生産・大量消費のファーストウェーブコーヒーの市場でのネスレ日本のマーケティングは、一歩も二歩も先を走っているような気がします。そして、そのマーケティング戦略の成果は、ファーストウェーブコーヒー市場での市場占有率に現れていると考えます。
ちなみに、年老いた珈琲豆焙煎屋は珈琲アフリエイトでお金を稼ぎたいと考えているので、ネスレ日本のアフリエイトプログラムに参加したことがあって、使いやすいアフリエイトプログラムだったのを覚えています。
しかし、さすがにネスレ日本のアフリエイトプログラム、それもオフィスコーヒーサービスのアフリエイトプログラムに参加しているのは「ちょっと・・」と考えて、参加を取りやめることにしました。