珈琲フリーランスの研究 | 個人事業の研究

10何年か前、2006年か2007年頃の事だったと思います。

当時、ホームページビルダーを使ってJCOMのサーバーにアップしていた「エカワ珈琲店のホームページ」内に、筆者である年老いた珈琲豆焙煎屋の母親が営んでいた昭和の喫茶店の物語を記事にして掲載していました。

その記事を、その頃、はてなダイアリーの人気ブログだった『福耳コラム』で、好意的に取り上げてもらったことがあります。

それに気分良くして、有頂天になった年老いた珈琲豆焙煎屋(そこ頃は50代前半でした)が、その頃運営管理していたエカワ珈琲店の出来事(はてなダイアリー)に、「個人事業の研究」という記事をエントリーしました。

福耳コラム

2000年代の中頃、福耳コラムは、「新しい市場の作りかた」の著者三宅秀道さんがはてなダイアリーで運営しているブログで、多数の読者を持つ人気ブログでした。

2006年か2007年か覚えていませんが、エカワ珈琲店のホームページに掲載していた昭和の喫茶店盛衰記的な記事を、人気ブログである「福耳コラム」に好意的に取り上げられました。

ファミリービジネス、コミュニティービジネス研究の参考になったと紹介してくれたわけです。 

当時(2006年~2007年頃だったと思います)、「福耳コラム」は、多数の愛読者を持っているブログで、三宅秀道さんの大学での講義を録音して、文字おこしした記事が人気を博していました。

新しい市場のつくりかた

新しい市場のつくりかた

  • 作者:三宅 秀道
  • 発売日: 2012/10/12
  • メディア: 単行本
 

 

労働に価値のあった時代

筆者である年老いた珈琲豆焙煎屋は、1990年代のはじめ頃に脱サラして、母親の営んでいた自家焙煎コーヒー豆小売専門店を引き継ぎました。

1990年代の初めころの珈琲の世界ですが、労働に価値があった時代で、小さな珈琲屋でも人の倍働けば食べて行くのに不自由しない時代でした。

40歳前後の頃に脱サラして珈琲商売に身を投じたわけですから、お医者さん通いと縁がありません。体力も気力も、それなりに充実しています。

ということで、煎りたて新鮮な自家焙煎コーヒー豆を、できるだけ低価格で小売販売して、できるだけ数多くのお客さんに買ってもらうという労働価値に依存する商売を選択していました。

少量・低価格でも、店主自ら配達料無しの商品価格で家庭や宿場に自家焙煎コーヒー豆を配達していたわけですから。

 

生産性に価値を求めていた時代

2000年代の日本は、生産性の向上に価値を見出す時代だったような気がします。新自由主義経済的な生産性を競う経済が幅を利かせるようになって来ていました。

珈琲の世界でも熾烈な競争社会が出現して来て、大手珈琲事業者に抗う術を持たない小規模零細な珈琲事業者は珈琲市場から排除されて行きました。

珈琲以外の市場でも、珈琲の世界で発生しているのと同じような現象が起こっていて、小規模な自営業者・個人事業主たちは排除または淘汰されていったわけです。

2000年代の中頃、年老いた珈琲豆焙煎屋も、その排除と淘汰の強風にさらされていて、小さな自営業者の商売についてアレコレと考えていました。そのアレコレを記事にしたのが、個人事業の研究です。

 

個人事業の研究 | 2006年か2007年版(1)

個人事業の研究と言う分野ですが、コンサルタントとしてではなくて、学者の立場で研究されている方は、それほど多くないのだと思います。

商店街の商店をはじめ自営業者は、商売の勉強を怠っているわけではありません。ほとんどの自営業者は、商店経営関係の書籍を何冊か読んだ経験を持っています。

それが証拠に、10年くらい前(1990年代の中頃)までは、書店の本棚に数多く商店経営関係の本が並んでいました。

現在(2016年)は、商店が減少してしまったので、書店の本棚から商店経営関係の本が消えています。

商店街の二代目・三代目は、10代・20代の頃、裕福だったわけですから、大学で勉強した経験や海外留学の経験を持っている方も大勢います。

役所の産業担当課や商工会が開催する講習会や勉強会に、積極的に参加したりもしています。

しかし、商店街は衰退してしまって、街中から自営業者(個人事業主)の商店が消えてしまって、商店街再活性化を目的に公的資金が投下されるのですが、商店街や商店が再活性化したという事例はほとんどありません。

高齢だから店を畳むのではなくて、極端な売上げ減少が店を畳む理由ですから、新たに自営業に参入する方も少なくて、自営業者の数が減り続けているわけです。

自営業者の衰退を、努力不足という意見もありますが、努力をしているつもりでも衰退して行ったわけです。

商店街や自営業者の商店が孤立無援だったわけでもなくて、役所の産業担当課や商工会(or商工会議所)の協力なバックアップを受けていたわけですが、それでも、衰退して行ったわけです。

そこで、考えるわけです。その努力の仕方が、時代と合わなくなっていたのだと。

 

個人事業の研究 | 2006年か2007年版(2)  

書店に並んでいた商店経営の書籍、コンサルタントの指導、役所の産業担当課や商工会(or商工会議所)のバックアップ、それらが時代に適合しなくなっていたのだと考えるわけです。

考えてみれば、本を何冊も書いている著名な経営コンサルタントの方がいて、末端の経営コンサルタントは、その方の理論に基づいて自営業者を指導していて、役所の産業担当課や商工会(or商工会議所)は、著名な経営コンサルタントに指導を仰いでいるわけですから、頭の部分が時代とズレていれば、末端までズレてくるわけです。

役所の産業担当課が開催する講習会に参加して、そこで経営コンサルタントの話を聞くと、自分が以前に読んだことのある商店経営の書籍と似たような内容の話だったとします。

そうすると、自分の頭の中にあるイメージと一致するわけですから、気持ち良く話しを聞くことができて、自分自身の経営手法を肯定してしまいます。そして、努力が不足しているから仕事が上手く運ばないのだと思い込むことになって、頭の切り替えができなくなってしまいます。

どうも、私たち自営業者は、そのようなジレンマに落ち込んでいるのだと思います。

それもこれも、個人事業を対象とした学術的な研究が少ないからだと、責任転嫁かもしれませんが考えるわけです。

 

個人事業の研究 | 2006年か2007年版(3)  

筆者である年老いた珈琲豆焙煎屋が「福耳コラム」に魅せられたのは、個人事業者向けの新しい考え方を求めてです。

検索の上手下手もあるかもしれませんが、膨大なインターネットの情報量をもってしても、ヒットするものが少なかったわけです。

個人事業というものは起業の初期形態ですから、個人事業主の減少は、日本経済全体にも悪い影響を与えているはずです。

起業イコール冒険ということになれば、職業選択の幅が少なくなってしまいます。ですから、個人事業に関する研究は絶対に必要だと思います。

余談ですが、21世紀の先進国経済をけん引するのがマイクロビジネス、スモールビジネスだとする考え方もあるわけで、google検索でmicro businessやsmall businessを検索すると、ものすごい量の種々雑多な情報が登場して来ます。

21世紀に入ってからの日本経済の停滞・衰退ですが、もしかしたら、日本のマイクロビジネス、スモールビジネスに元気が無いからなのかもしれません。

 

ブランドが価値を持つ時代 | ブランド経済の時代

2020年の珈琲の世界ですが、ほぼブランド経済の時代に突入していると感じています。 

日本は、小子高齢化・人口減少の時代に突入しているわけですから、珈琲事業で成長するには、付加価値を大きくする必要があります。

人の倍働いて薄利多売で収入を確保する、あるいは、生産性の高い工場で大量生産した珈琲商品を効率的な流通ルートに乗せて売り捌くという商売の手法では、珈琲事業を成長させるのが難しい時代になって来ているのだと思います。

ということで、個人事業・自営業も、ブランド価値を追求するという方向で商売を営んで行く必要があると考えている今日この頃です。

www.ekawacoffee.work

 

珈琲フリーランス

2020年、人手不足ですが、高報酬の50代以上社員のリストラが目立っています。そして、フリーランスを選択して柔軟な働き方をすることが推奨されています。

年老いた珈琲豆焙煎屋は、小規模零細パパママ経営の自家焙煎コーヒー豆小売専門店を夫婦2人だけで営んでいて、店舗兼工房は自宅と兼用になっています。

営業時間は午前9時~午後4時半ですが、午前9時前に起床して、営業時間中に朝食を食べて、店舗の後ろ側に休憩室を作っているので、お客さんが来店しなければ、寝ころびながら、テレビやビデオを鑑賞しながら営業することができます。

というように、ものすごく柔軟な働き方を選択している珈琲フリーランスですが、労働に価値のあった時代、生産性競争の時代を生き抜いて、ブランド価値を追求する時代を生きています。

ちなみに、3つの時代の経済の中で、どの時代の経済が自営業者・個人事業主に向いているのかと考えると、答えは明白です。

珈琲フリーランスとブランド経済ですが、おそらく、相当に相性が良いようです。