1992年に脱サラして、それから10年が経過していました。
毎月、自家焙煎コーヒー豆を300kgから400kgくらい売っていましたが、薄利多売商売をしていたので、資金繰りに窮する自転車操業の日々が続いていました。
2000年代前半頃のエカワ珈琲店は、インフレの時代にした投資を(借金を)、デフレの時代に回収している(借金を返済する)真っ最中で、お金に追いかけられる日々を送っていました。
1990年代は、UCCからコーヒー生豆を仕入れていたので、1次問屋さん(コーヒー生豆商社)からの調達価格と同じくらいでコーヒー生豆を仕入れていました。
それが、調達代金の遅延を度々発生させるようになって、UCCから取引を断られてしまいます。
2000年代に入ると、コーヒー生豆の仕入先は、2次問屋さんやロースター(焙煎コーヒー豆の業務卸会社)さんからに変わっていました。
そうすると、コーヒー生豆調達価格は、UCCで仕入れていた頃よりも、1.5倍から2倍くらいに膨れ上がっていました。
UCCからの調達価格で採算に合うように計算して薄利多売商売をしていたので、コーヒー生豆の調達価格が上昇すれば、赤字すれすれの商売になってしまいます。
そんなこんなで、新しいコーヒー生豆調達先にも、掛け払いの代金支払いを遅延するようになります。
支払い遅延は約束違反ですから、新しい仕入先からも相手にされなくなりました。
コーヒー生豆を調達できなければ、コーヒー豆自家焙煎店商売を続けられません。
一時期、ものすごく割高なコーヒー生豆を現金先払いで購入して凌いでいたこともあります。
その頃、「珈琲と文化」というコーヒー情報を発信している季刊雑誌で、総合商社の兼松(株)が運営している「コーヒーネットワーク(coffee network)」の存在を知りました。
この「コーヒーネットワーク(coffee network)」が、エカワ珈琲店の救世主になります。
2004年か2005年か忘れてしまったのですが、「コーヒーネットワーク(coffee network)」で、初めてコーヒー生豆を購入しました。
その時、購入したコーヒー生豆は、ブラジル・ダテーラ農園のコーヒー生豆です。
素晴らしい味わいのブラジルコーヒーでしたが、調達価格は、それまで調達していたブラジルコーヒーの半額でした。
それが端緒となって、ブラジル・ダテーラ農園のコーヒー生豆購入から3か月も経過しないうちに、エカワ珈琲店のコーヒー生豆仕入先は、兼松(株)の「コーヒーネットワーク(coffee network)」オンリーになっていました。
その頃、『スペシャルティーコーヒー』という用語は、まだ一般化しておらず、エカワ珈琲店も、その意味を知らなかったのですが、兼松(株)の「コーヒーネットワーク(coffee network)」で取り扱っているコーヒー生豆は、全て『スペシャルティーコーヒー』だったわけです。
兼松(株)の「コーヒーネットワーク(coffee network)」で販売しているコーヒー生豆は、ブラジル・ダテーラ農園のコーヒー生豆も含めて、UCCから仕入れていた頃の調達価格と同じくらいでした。
原料のコーヒー生豆調達価格が30%~50%減少して、コーヒー豆の品質は数段良くなったわけです。
「コーヒーネットワーク(coffee network)」からスペシャルティーコーヒー生豆を仕入れるようになって、エカワ珈琲店の財政状況は好転して行きました。
黒字が出るようになって、その黒字幅が大きくなって行って、お金に追いかけられる度合いが減少して行きました。
2000年代の後半、兼松(株)のコーヒー担当部門の方が、「エカワ珈琲店のコーヒー生豆仕入れ量が、1年間で一番多い」という事で、3年連続で一人ずつ交代で3人のコーヒー担当者が、エカワ珈琲店を訪問してくれた思い出があります。
その後、スペシャルティーコーヒーが注目されるようになって、「コーヒーネットワーク(coffee network)」は急成長して行きます。
リーマンショックの頃の兼松(株)の株価は、額面すれすれの50円くらいで、2000株を10万円くらいで購入できました。
今(2024年)は、1株が2500円くらいになっていて、2000株購入するのに500万円以上が必要です。
ちなみに、リーマンショックの頃、エカワ珈琲店は、ブラジル・ダテーラ農園中心でブレンドした自家焙煎コーヒー豆を100g・300円で売っていました。
今(2024年)は、600円で売っています。
ブラジル・ダテーラ農園のコーヒー生豆とエカワ珈琲店が付き合い初めて、20年くらいの年月が経過しています。
ブラジル・ダテーラ農園は、ブラジルの大手コーヒー農園です。
コーヒーノキの栽培からコーヒー果実の収穫、コーヒー果実から種(コーヒー豆)を取り出す精製作業、精製したコーヒー生豆を輸出するというコーヒー生豆生産の全工程を農園内で完結する規模を持っている大農園です。
農園は、自然保護団体レインフォレストアライアンス(熱帯雨林同盟、略称はRA)の認証を受けています。
スペシャルティーコーヒー協会(SCA)の評価基準でスコアー80を達成しているかどうかに関わらず、エカワ珈琲店は、間違いなくスペシャルティーコーヒー生豆だと認識しています。
2024年4月現在、エカワ珈琲店が使っているブラジル・ダテーラ農園のコーヒー豆は、「サンライズ」銘柄です。
「サンライズ」銘柄のコーヒー豆は20年前から使っていて、手に入らない時は、「スイートイエロー」銘柄などのコーヒー豆を使っています。
エカワ珈琲店が自家焙煎しているブラジル・ダテーラ農園を原料に使った自家焙煎コーヒー豆(クラフトコーヒー)は、通信販売でも購入して頂けます。
「エカワ珈琲店ショッピングサイト」か「アマゾン」から注文してもらえます。