「美味しいコーヒー」の基準は、飲む人のコーヒー消費経験によって変わると言われています。
コーヒーに馴染みの無い人が初めてブラックコーヒーを飲んで、「美味しい」と感じることは稀な出来事だと思います。
コーヒーの風味を楽しむ醍醐味は、ブラックコーヒーを飲むことで味わえる代物だと考えています。
そして、ブラックコーヒーを飲んでコーヒー風味の醍醐味を味わえるようになるには、ある程度の練習・訓練を積み重ねる必要があると考えています。
練習・訓練を繰り返えして、ブラックコーヒー経験を積んで行くことが必要だと考えているわけです。
ブラックコーヒー経験の豊富な人には風味抜群のコーヒーであっても、ブラックコーヒー経験の無い人や少ない人には、クリームや砂糖やミルクを混ぜ合わせていないブラックコーヒーは飲み難いコーヒーだと思います。
コーヒーに慣れていない人には、ブラックコーヒーは飲み難いコーヒーです。
しかし、ブラックコーヒーに抵抗を覚える人でも、クリームやミルク、それに砂糖を混ぜ合わせたコーヒーには、それほど抵抗を覚えないはずです。
特に、強く(深く)焙煎したコーヒー豆で淹れるコーヒーに、クリームやミルクや砂糖を混ぜ合わせると、独特のコーヒー風味を味わうことができます。
この独特のコーヒー風味ですが、 年老いた珈琲豆焙煎屋は、コーヒー豆が元々持っている香味成分(or品質)とは無関係で、焙煎によって新たに作られる風味だと考えています。
スターバックスコーヒーの主力商品はクリームやミルクや砂糖を使って作るコーヒー飲料ですから、エスプレッソコーヒー用に深く焙煎したコーヒー豆が使われているのだと想像しています。
一方、サードウェーブコーヒーが売り物の珈琲屋さんのコーヒーは、スペシャリティーコーヒーと呼ばれるコーヒー豆を軽く(浅く)焙煎したコーヒー豆を使って、コーヒーを淹れています。
軽く(浅く)焙煎したコーヒー豆を使って淹れたコーヒーに、クリームやミルクや砂糖を混ぜ合わせるとアッサリした味気ない風味のコーヒーが出来上がります。
軽く(浅く)焙煎したコーヒー豆を使って淹れるコーヒーには、ブラックコーヒーが似合っているような気がします。
そのような理由で、サードウェーブコーヒーが売り物の珈琲屋さんは、ブラックコーヒーに馴染みの無いお客さんに、ブラックコーヒーの楽しみ方を学習してもらうという売り方を採用しているのだと推測しています。
コーヒーには、私たちの五感を楽しませてくれる素晴らしい風味が豊富に存在しています。
クリームやミルクや砂糖は、コーヒーの嫌な風味を覆い隠してくれるわけですが、素晴らしい風味も覆い隠してしまいます。
年老いた珈琲豆焙煎屋はサードウェーブコーヒーとは無縁の昔ながらの珈琲屋ですが、そのように考えているので、ブラックコーヒーに馴染んでいる消費者に喜んでもらえる自家焙煎コーヒー豆中心の商売を営んでいるつもりです。
昭和の喫茶店・珈琲専門店ブームの頃にコーヒー経験を積んで、ブラックコーヒーに馴染んでいる中高年のコーヒー消費者が数多く存在しているので、年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦が営んでいる零細生業規模の自家焙煎コーヒー豆小売商売が成り立っているのだと思います。
でも、近年、ミルクやクリームを豊富に使ったアレンジコーヒーの人気が、ブラックコーヒーを圧倒しているようにも感じられます。
ブラックコーヒー愛飲家が少なくなれば、年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦の自家焙煎コーヒー豆小売商売にも悪い影響が出てきます。
ということで、一人でも多くブラックコーヒーファンが増えることに期待して、ブラックコーヒーを好きになるための練習方法を考えてみました。
ヒントになるかどうかわかりませんが、参考にして頂ければ幸いです。
- (1)様々なタイプの焙煎コーヒー豆を試してみる
- (2)コーヒーの淹れ方を変えてみる
- (3)まず一口、ブラックコーヒーを味わう
- (4)クリームと砂糖を徐々に減らす
- (5)ブラックコーヒーに馴染めないなら
(1)様々なタイプの焙煎コーヒー豆を試してみる
ブラックコーヒー用のコーヒーを淹れるのに適している焙煎コーヒー豆もあれば、ミルクやクリームや砂糖を使ったコーヒーを淹れるのに適している焙煎コーヒー豆もあります。
コーヒー豆焙煎工場の大型焙煎機で生産加工した焙煎コーヒー豆もあれば、珈琲豆自家焙煎店の小型生産用コーヒー豆焙煎機で煎った焙煎コーヒー豆もあります。
また、それぞれの珈琲豆自家焙煎店では、それぞれに特徴のある焙煎コーヒー豆を焙煎加工しています。
色々試してみれば、抵抗無く飲めるブラックコーヒーに出合えるかもしれません。
(2)コーヒーの淹れ方を変えてみる
コーヒーの淹れ方が変われば、コーヒーの風味も変わります。数多くあるコーヒーの淹れ方の中でブラックコーヒーに一番向いているのが、ハンドドリップだと考えています。
理由は、コーヒーを淹れる時間や焙煎コーヒー豆の粉砕具合や粉砕物の使用量、水の使用量や水の温度などを調整できるからです。
でも、コーヒーサイフォンやコーヒーメーカーでも、焙煎コーヒー豆粉砕物の使用量や水の量を調整して、飲み頃のブラックコーヒーを作ることができると思います。
(3)まず一口、ブラックコーヒーを味わう
昔ながらの練習方法です。
コーヒーカップの中のブラックコーヒーを、まず一口か二口飲んでみてください。
それから、クリームや砂糖を好みの量混ぜ合わせてホワイトコーヒーにして飲んでください。
実質的に、クリームと砂糖を添加したコーヒーを飲むわけですが、少しだけブラックコーヒーにも触れるわけですから、消費するコーヒーの風味が広がります。
(4)クリームと砂糖を徐々に減らす
コーヒーと混ぜ合わせるクリームと砂糖の量を、1週間単位or2週間単位で徐々に減らして行く方法です。
クリームや砂糖への依存度を、ゆっくりとゆっくりと減らして行くわけですから、それほど抵抗を覚えずにミルクやクリームや砂糖を添加したコーヒーからブラックコーヒーに移行できるかもしれません。
この練習方法は、ブラックコーヒー向けに煎った焙煎コーヒー豆を使用するのが前提です。
強い苦味を持つ焙煎コーヒー豆を使って淹れるコーヒーは、ミルクやクリームや砂糖を添加したコーヒーには向いているかもしれませんが、ブラックコーヒーには不向きだと考えています。
(5)ブラックコーヒーに馴染めないなら
そして、どのような練習・訓練を体験してもブラックコーヒーに馴染めないなら、ミルクやクリームや砂糖を添加したコーヒーを飲み続けるべきだと思います。
無理をすれば、コーヒーが嫌いになってしまいます。