日本のとある地方都市に、コーヒー豆を自家焙煎している家族経営の喫茶店があります。
コーヒー豆の小売販売プラス喫茶という営業形態で、それなりの収入を確保できていて、その家族は、中間所得層的な生活をエンジョイしていました。
その家族経営の喫茶店の近くに、大手コーヒー企業が全国規模で展開している喫茶店チェーンが進出してきました。
全国規模の喫茶店チェーン(大手コーヒー企業)は、腕力に頼った商売で、その家族経営の喫茶店のお客さんを無理やり奪ってしまおうとします。
出店前に徹底的に市場調査をしていて、その地域の市場規模を把握しているわけですから、当然のことなのかもしれません。
「コーヒーを無料で試飲できます」、「無料コーヒーで当店を体験してみてください」、「当分の間、午前中はコーヒー無料」などと、家族経営の喫茶店では不可能な販促活動を実施することで、その家族経営の喫茶店のお客さんを奪ってしまおうとします。
大手コーヒー企業の強力な腕力に、地方都市に立地する小規模な家族経営の喫茶店が、腕力で戦っても勝てるはずがありません。
地方都市に立地する家族経営の喫茶店ですが、当然のこと、日に日に経営が苦しくなっていきます。
収入の減少が始まって、それなりの生活をエンジョイするのにも、公租公課の支払いにも支障が出てきます。
そこで、自分たちの生活を立て直すためにも、その家族経営の喫茶店は、大手コーヒー企業が展開する喫茶店チェーンへの対抗手段を考えなければなりません。
その家族経営の喫茶店は、たまたまコーヒー豆を自家焙煎していたので、その特徴を強調することで、大手コーヒー企業が展開する喫茶店チェーンに対抗することにしました。
「煎りたて、新鮮、香りの良いコーヒー」、「生産者や加工者の顔が見えるコーヒー」、「コーヒー豆焙煎後1週間以内のコーヒー」というキャッチフレーズで、小規模なコーヒー豆自家焙煎店ならではの特徴をアピールして、大手コーヒー企業が展開する喫茶店チェーンとの差別化を図ることにしました。
お客さんへのアピールについては、インターネットWEBを積極的に利用しました。
地域の飲食店や食料品店向けに、自家焙煎した「煎りたて、新鮮、香りの良いコーヒー豆」の卸販売も開始しました。
それが、地産・地消的な自家焙煎コーヒー豆、素材にこだわっている自家焙煎コーヒー豆と評価されて、地域の飲食店や高級食料品店の支持を得ることができて、口コミで得意先が拡大していきました。
自家焙煎コーヒー豆の生産能力には、ある程度の余力を持っていたので、新たな投資は必要ありませんでした。
そのような努力の甲斐あって、大手コーヒーチェーンに流れていたお客さんが帰ってくるだけでなくて、大手コーヒー企業が展開する喫茶店チェーンのお客さんの中にも、こちらに流れて来てくれて常連さんになってくれるお客さんが現れて来ました。
以上、2010年代の前半、年老いた珈琲豆焙煎屋が空想していた『【珈琲商売夢物語】とある地方都市の小さな家族経営の喫茶店が大手コーヒー企業の喫茶店チェーンに対抗する方法』です。