昭和の時代、関西地方の喫茶店では、「冷たいコーヒー(アイスコーヒー)」を冷こお(レイコー)と呼んでいました。
現在(2024年)、喫茶店・カフェが提供している「冷たいコーヒー(アイスコーヒー)」は淹れたてのコーヒーを氷で冷やすタイプがほとんどですが、昭和の時代の冷こお(レイコー)は、事前に作り置きしておくタイプがほとんどでした。
【参考】喫茶店のアイスコーヒーの作り方ですが、1970年代の終わり頃までは作り置きする方法が主流でた。
1980年代に入ると、急冷する方法が主流となって行きました。
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昭和の喫茶店とアイスコーヒーの作り置き
昭和の時代、夏場になると、小規模な喫茶店でも、1日に数十杯の冷こお(レイコー)が売れていたので、事前に大量に作り置きしておかなければ対応出来なかったわけです。
淹れたコーヒー抽出液を保存して置くわけですから、当然、時間の経過とともにコーヒー抽出液が劣化(主に酸化/酸度上昇)して行きます。
そのコーヒー抽出液の劣化(主に酸化/酸度上昇)をできるだけ遅くする必要から、酸化防止が目的の添加物として、コーヒー抽出液に砂糖を溶け込ませて保存して置きました。(砂糖は天然の添加物ですから)
その方法です。ポットに大量に抽出したコーヒーを入れて、そこに適量の砂糖を放り込んでガスコンロで煮炊きしていました。
冷こお(アイスコーヒー)用の焙煎コーヒー豆
昭和の時代、冷こお(レイコー)用に焙煎加工したコーヒー豆は、ロブスター種のコーヒー生豆の混合割合が高い苦味重視の焙煎コーヒー豆でした。
ロブスター種のコーヒーをベースとするブレンドですから、コーヒー抽出液に含まれているコーヒー成分の関係から、砂糖を溶け込ませていても酸の生成量が多くなります。そして、コーヒー抽出液保存中に生成する酸の大半は、渋みの原因となるタイプの酸です。
昭和の喫茶店は売る努力をしていた
「渋み=コーヒー抽出液の劣化」となるのですが、冷こお(レイコー)にクリームを添加して混ぜ合わせると、コーヒーの渋みを覆い隠して柔らかくてコクを感じるまろやかなコーヒーになります。(酸とクリームが反応するので)
昭和の時代の喫茶店の経営者ですが、何も考えずに(見た目だけの)商品を売っていたわけではなくて、売る商品についても、常に努力と工夫を繰り返していたような気がします。
その結果として、昭和50年代(1970年代後半~1980年代前半にかけて)の喫茶店・珈琲専門店全盛時代が訪れたと考えています。
その後、喫茶店経営者の焙煎卸事業者への経営依存度が高くなって行って、当然の事として、喫茶店の淘汰が始まったと考えてている今日この頃です。
喫茶店の食事ニュー
1980年代前半頃までの喫茶店の軽食(食事メニュー)は、コーヒーを売るための軽食メニューを提供していたような気がします。
例えば、カレーライスやハヤシライスは、コーヒーと相性の良くて、コーヒーの風味をより良く感じさせてくれます。
1980年代中頃から、喫茶店が本格的な食事メニューを提供するようになって、コーヒーは、食事メニューのおまけ的な存在になって行ったような気がします。
考えてみれば、保健所の営業許可は、「喫茶店の営業許可」では無くて、「飲食店の営業許可」を取得しているわけですから。
【注目】
エカワ珈琲店の前身は、アイスコーヒーを「レイコー」と呼んでいた和歌山市雑賀屋町(エカワ珈琲店の店舗所在地)で営業していた喫茶店です。
年老いた珈琲豆焙煎屋の母親が営んでいて、喫茶店の屋号は「純喫茶コロナ」です。
その「純喫茶コロナ」の物語を電子書籍にして、キンドルでセルフ出版しています。