その昔、もう何年も何年も前のことです。
コーヒー関係の雑誌で、コーヒー豆を焙煎するのにも才能が必要だと解釈できるような記事を読んだことがあります。
現在(2024年7月)の年老いた珈琲豆焙煎屋(エカワ珈琲店の店主)なら、それは面白おかしい記事を書くための一種の技術的な表現、あるいはマーケティング的な表現だと理解することができますから、そういう表現は無視できます。
でも、コーヒー豆自家焙煎店商売の仕事に就いたばかりで、コーヒー豆の焙煎について何も知らなかった頃の出来事ですから、純粋に疑う事無くコーヒー関係の雑誌の内容を100%信用していたので、「コーヒー豆の焙煎に才能が必要」だと解釈できるような記事を読むと、自分に焙煎の才能があるのだろうか、もしかしたら、「才能がないのではなかろうか」と真剣に悩み考えたものです。
今から思えば、バカバカしい話です。
コーヒー豆の焙煎も含めて、食品加工の技術や加工時の食品の反応(変化)は、物理的にも、化学的にも、ある程度まで解明されています。
コーヒー豆焙煎の世界は、その基礎知識さえ身につければ、あとは経験の積み重ねが物をいう世界だと、これまでの30数年の経験から断言することができます。
自分が頭に描いている、焙煎コーヒー豆があるとします。
どのように焙煎すれば、そのような状態になるのかを理論的にわかっていたとしても、ある程度の経験がなければ、思うようにコーヒー豆の焙煎を制御することができません。
だから、昔からコーヒー豆の焙煎は、「奥が深い」といわれているのだと思います。
コーヒー豆の焙煎加工技術に必要なのは、才能で無いはなくて、経験の積み重ねだ年老いた珈琲豆焙煎屋は確信しています。
考えてみれば、食品加工・調理の世界は、すべてそうなのだと思います。
年老いた珈琲豆焙煎屋(エカワ珈琲店の店主)は、これまでの30数年間に渡るコーヒー豆焙煎経験から、コーヒー豆焙煎という作業は、それほど難しく無いと思っています。
エカワ珈琲店は、小型の業務用コーヒー豆焙煎機(コーヒー豆バッチ容量5kg)を使ってのコーヒー豆焙煎については、30数年の経験を持っています。
月間数十回(バッチ)から100数十回(バッチ)、コーヒー豆を焙煎して来ているので、これまでに、少なくとも3万回(バッチ)以上、コーヒー豆を焙煎して来た経験を持っています。
その経験から、コーヒー豆の焙煎は、それほど難しくない食品加工の作業だと認識しています。
コーヒー豆の焙煎をマニアックに突き詰めれば、相当に奥が深いのかもしれません。
それは、どのような食品の加工・調理についても同じことが言えるわけで、何も、コーヒー豆焙煎の作業だけが奥深いわけでは無いと思っています。
業務用小型コーヒー豆焙煎機を使ってのコーヒー豆の焙煎作業で把握しなければならないパラメーターは、大雑把に、(1)コーヒー豆の温度、(2)焙煎機のシリンダー(回転ドラム)内の雰囲気(環境)温度、(3)焙煎時間、(4)コーヒー豆のハゼ音、(5)コーヒー豆の色の変化、(6)コーヒー豆焙煎中の香り、(7)焙煎機周囲の空気の状態、(8)焙煎機ドラム内の羽根の回転速度などだと考えています。
インターネット内に存在するローストプロファイルの図表のほとんどは、縦軸が温度、横軸が時間(焙煎時間)のグラフになっていて、「コーヒー豆の温度」と「雰囲気温度」の2つのパラメーターをプロットしたグラフ図で、焙煎の始まりから終了までの時間の経過と温度との関係を図表化している代物です。
この図表をローストカーブ図と呼んでいて、そこには、1回目のハゼ音が聞こえ始めた時間や、深く焙煎する場合には、2回目のハゼ音が聞こえ始めた時間を特定できるチェックがしてあったりもします。
小型業務用コーヒー豆焙煎機については、自分専用のローストプロファイルの図表(マスタープロファイルの図表)を作成しておけば、それほどブレずにコーヒー豆を焙煎することができるはずだと考えています。
焙煎中のコーヒー豆の色の変化や焙煎終了時のコーヒー豆の色も、重要なパラメーターだと思っています。
コーヒー豆の色の変化は図表化が難しいので、エカワ珈琲店(店主は年老いた珈琲豆焙煎屋)では、1回目のハゼ音の開始時、中煎りのやや浅め、中煎りの真ん中くらい、中煎りのやや深め、2回目のハゼ音が始まったくらいのやや深煎り、そして、深煎り(エカワ珈琲店のアイスコーヒー)の写真を撮影しておいて、その写真を「コーヒー豆の色の変化」というパラメーターの目安として使っています。(経験を積めば、写真を使わなくても識別できると思います。年老いた珈琲豆焙煎屋は識別できます。)
インターネット内にアップされているコーヒー豆焙煎作業の動画を見ていると、焙煎中に何回も何回もスプーンでコーヒー豆の色を確認しています。
おそらく、エカワ珈琲店と同じような「コーヒー豆の色の変化」を確認する目安を持っているのだと思います。
焙煎中のコーヒー豆の香りの変化も重要ですが、これについては、パラメーターの目安として「経験」だけしか思い浮かびません。
空気の組成は、季節によっても、気象環境によっても、標高によっても変化しているはずです。
そして、焙煎機周囲の空気の組成によっても、焙煎操作を微妙に変化させることが必要なのかもしれませんが、エカワ珈琲店は、それほど気にしていません。
しかし、雨や風の勢いの強いときや湿度の多いときには、焙煎作業をしないことにしています。
気温の高い夏場は、できるだけ早朝に焙煎作業を始めて、午前中に焙煎を終了するようにしています。
年老いた珈琲豆焙煎屋(エカワ珈琲店の店主)世代の焙煎人(コーヒー豆自家焙煎店の店主)たちは、「コーヒー豆の焙煎は午前中」が常識になっていると思っています。
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年老いた珈琲豆焙煎屋は、これまで(30数年間)の「コーヒー豆焙煎」経験を電子書籍にして、キンドルでセルフ出版しています。
「コーヒー豆自家焙煎談義シリーズ」は、2024年6月末で第1集から第5集まで5冊発行しています。
「コーヒー豆自家焙煎談義」第1集から第5集まで、5冊の目次は、次のリンク先ページで確認して頂けます。