年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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スターバックスコーヒーに対するサードウェーブコーヒーの差別化マーケティング

オランダ出身のビジネスマンで起業家の Alfred Peet (アルフレッドピート)は、ダークロースト(相当な深煎りorフレンチロースト)の焙煎コーヒー豆が好きだったので、アメリカの西海岸(カルフォルニア州バークレー)でダークローストの焙煎コーヒー豆だけを売る珈琲豆焙煎屋を開業しました。

それが、「ピーツ・コーヒー&ティー」の始まりで、1966年のことです。ダークローストの焙煎コーヒー豆だけを売るアルフレッドピートのビジネスは繁盛して、行列のできる焙煎コーヒー豆小売店になったと言うのは有名な話です。

スターバックスコーヒー創業者の中の一人が「ピーツ・コーヒー&ティー」で働いていた関係から、アルフレッドピートの指導を受けて、シアトルにスターバックスコーヒーを開業したと言う話も知られています。

 

スターバックス成功物語

スターバックス成功物語

  • 作者: ハワードシュルツ,ドリー・ジョーンズヤング,Howard Schultz,Dori Jones Yang,小幡照雄,大川修二
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ですから、スターバックスコーヒーで扱う焙煎コーヒー豆も、相当に深く焙煎したダークローストの焙煎コーヒー豆が主になっていると、「スターバックス成功物語」で読んだ記憶があります。  

 

「ピーツ・コーヒー&ティー」が開業した1960年代後半や、「スターバックスコーヒー」が創業した1970年代前半は、アメリカンロースト(浅煎り)の焙煎コーヒー豆全盛の時代だったようです。(アメリカでの話)

ダークロースト(深煎り)の焙煎コーヒー豆が、アメリカンロースト(浅煎り)の焙煎コーヒー豆に飽きていた先端的な消費者に歓迎された結果として、1970年代後半以後のスターバックスコーヒーの快進撃があると推測しています。

 

極端に深く焙煎したダークロースト(フレンチロースト)の焙煎コーヒー豆は、独特の風味(or味)を持つコーヒーを作り出します。

この独特の風味(or味)は、 コーヒー豆が元々持っている香味成分(or品質)とは無関係で、焙煎によって新たに作られる風味(or味)です。

ですから、極端に深く焙煎したダークロースト(フレンチロースト)に使うコーヒー豆は、品質を考慮する必要が無いとする意見もあります。

極端に深く焙煎したダークロースト(フレンチロースト)の焙煎コーヒー豆を使ってコーヒーを淹れると、クリームや砂糖をトッピングして飲むタイプのコーヒーが出来上がります。

クリームや砂糖をトッピングして飲むと本当に美味しいのですが、ブラックコーヒーで味わうとなると、相当に飲み難いコーヒーと言うことになります。

 

ダークロースト(深煎り)の焙煎ーヒー豆と対照的なのが、 ライトロースト(浅煎り)の焙煎コーヒー豆です。

そして、ダークローストとライトローストの真ん中が、ミディアムロースト(中煎り)です。

極端に浅煎り(ライトロースト)の焙煎コーヒー豆を使ってコーヒーを淹れると、幾つかの種類の酸がはっきりと感じられる、酸っぱいお茶のような味わいのコーヒーが出来上がります。

花を使ったフレーバーティーのような風味(or味)は、ライトローストの焙煎コーヒー豆を使って淹れたコーヒーの特徴だと思います。

 

ライトローストの焙煎コーヒー豆の中には、栽培地の環境やコーヒー豆の生産プロセスなど、原料に使ったコーヒー生豆に関する色々な情報が詰まっていると言われています。(香味は、原料に使うコーヒー生豆の品質に左右されています。)

ミディアムロースト(中煎り)の焙煎コーヒー豆は、いい塩梅にバランスの取れた香味・風味を作り出せるとされています。

ミディアムローストの焙煎コーヒー豆は、ライトローストの焙煎コーヒー豆よりも、焙煎中に発生する化学反応をより多く経験しています。ですから、酸味や甘味と、焙煎中の化学反応によって生成するほろ苦さなどとのバランスが取れたコーヒーを淹れることができます。

 

このライトローストとミディアムローストに注目したのが、サードウェーブコーヒー現象を牽引した起業家たちだと思います。

栽培農園の環境やコーヒー豆生産プロセスの丁寧さによって作られる香味の品質を評価して、スペシャリティーコーヒーという付加価値を創造したわけです。

それによって、サードウェーブコーヒーの商品とセカンドウェーブコーヒーと呼ばれるスターバックスコーヒーなどの商品との棲み分けが出来て行ったと解釈しています。

 

「ピーツ・コーヒー&ティー」や「スターバックスコーヒー」の主力商品である、極端な深煎り焙煎コーヒー豆で淹れるコーヒーの場合、コーヒー豆の栽培地や生産プロセスはほとんど関係がありません。

それと対照的なのが、サードウェーブコーヒーの担い手たちが創造したスペシャリティーコーヒーだったわけです。

しかし、現在(2021年)、その棲み分けも崩れつつあります。コーヒー産業界全体が、スペシャリティーコーヒーの付加価値に注目しているわけですから。

 

The New Rules of Coffee: A Modern Guide for Everyone

The New Rules of Coffee: A Modern Guide for Everyone

 

今回の記事は、珈琲専門サイトSPRUDGEの編集者と創設者であるザカリー・カールセン とジョーダン・ミッチェルマンの著作「The New Rules of Coffee」の63ページ、RULE16 Roast Profiles matter を参考にして書いています。

 

ちなみに、エカワ珈琲店は、ダークローストとライトローストの真ん中よりも、もう少し深く焙煎したコーヒー豆、「中煎りのやや深め」か「やや深煎り」の焙煎コーヒー豆で淹れたコーヒーをブラックコーヒーで味わうのが大好きです。

ですから、ブラックコーヒーで味わって頂く事を前提とした自家焙煎コーヒー豆のみを販売しています。

もしよろしければ、エカワ珈琲店の自家焙煎コーヒー豆を一度お試し下さい。アマゾンで購入して頂けます。(もちろん、店頭でも購入して頂けます。)