日本の消費者が焙煎したコーヒー豆を使ってコーヒーを飲む方法ですが、時代時代によって違いが存在しています。
コーヒーを飲むのに使うお金の支出方法が、時代時代によって変化しているわけです。
1970年代の末頃までは、コーヒーといえば喫茶店で飲む飲み物でした。
1970年代の末頃、コーヒーを好んで飲む人たちは、喫茶店で1杯が200円前後のコーヒーを飲んでいました。
1980年代になると、電気式のコーヒー抽出機器(コーヒーメーカー)が普及して、職場や家庭で気楽にコーヒーを淹れて飲むようになりました。
職場や家庭で飲むコーヒーといえば、1980年頃までは、大半がインスタントコーヒーを淹れて飲んでいたわけです。
それが、この頃から、焙煎したコーヒー豆を小売店で購入して、職場や家庭でコーヒーを淹れて楽しむという風に変わってきました。
喫茶店でコーヒーを飲むのではなくて、職場や家庭でコーヒーを淹れてを飲むようになったわけです。
その結果、喫茶店の衰退が始まって、その喫茶店に焙煎したコーヒー豆を卸しているロースター(業務卸を得意とする焙煎会社)も、当然のことですが、売上が低迷し始めました。
新たに、職場に焙煎したコーヒー豆を納品するオフィスコーヒーサービス業や、家庭用に焙煎したコーヒー豆を小売販売する自家焙煎コーヒー豆小売業という業態が出現しました。
焙煎したコーヒー豆100gで12杯分のコーヒーを淹れることができるとすると、100g当り400円の焙煎したコーヒー豆を使えば、1杯で大体34円の勘定となります。
喫茶店・カフェでコーヒーを飲むのに比べると、1割以下の価格になるわけですが、その代わり、コーヒーを淹れる、後片付けをするという、お金と交換されることのない労働力の提供が必要となります。
お金と交換されることのない労働力の提供ですが、家庭での労働力の提供は、「ゆとり」のある生活ということになるのですが、職場での労働力の提供は、「無駄」以外のなにものでもありません。
ということで、最近、職場で飲むコーヒーについては、挽きたて淹れたてのドリップコーヒーを楽しめる自動販売機や、カップの上に直接セットしてコーヒーを淹れるドリップバッグ、コンビニの淹れたてコーヒーが人気を得ています。
都会では、コーヒースタンドで購入するテイクアウトコーヒーも売れているようです。
おそらく、職場に焙煎したコーヒー豆を納品するオフィスコーヒーサービス業に取って代わって行くだろうと推測しています。
消費者の焙煎したコーヒー豆を使って淹れたコーヒーへのお金の支出方法ですが、喫茶店・カフェでコーヒーを飲む、職場や家庭でコーヒーを飲むために焙煎コーヒー豆を購入する、淹れたてドリップコーヒー専用の自動販売機でコーヒーを購入する、ドリップバッグを購入して自分でコーヒーを淹れる、コンビニコーヒーやコーヒースタンドでテイクアウトコーヒーを買って飲むというように変化していっています。
商品やサービスの「最終的な提供様式」の変化を、社会的イノベーションと呼ぶと何かで読んだ記憶があります。
焙煎したコーヒー豆を使って淹れたコーヒー(1杯のコーヒー)という商品ですが、「最終的な提供様式」が時代時代によって変化しているわけで、『社会的イノベーション』が存在しているということになります。