年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦は、パパママ零細生業商売ですが、和歌山市のお城の近くでエカワ珈琲店という屋号の自家焙煎コーヒー豆小売専門店を営んでいます。
もともとは昭和30年(1955年)秋に開業したビジネス街の小さな喫茶店でしたが、じり貧状態になってしまって、30年前に思い切って自家焙煎コーヒー豆小売専門店に商売替えしました。
喫茶店の全盛時代を知っているので、一杯のコーヒーを売るという商売に未練たらたらで、自家焙煎コーヒー豆小売商売を営みながら一杯のコーヒーを売る商売を模索してきました。しかし、未だに一杯のコーヒーを売る商売に本格的に手を出せていません。
理由は、個人経営の喫茶店は、儲からない生業商売だからです。
ということで、喫茶店商売に未練を持っているのですが、今のところ(2021年4月時点)、どうしても喫茶店商売に手を出す気持ちになれません。
そこで、「もし年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦が喫茶店商売をするのなら」という仮定で、喫茶店のコーヒー提供方法について考えてみました。
もちろん、アウトストアショッピングでは無くて、喫茶店やレストランなどが、インストアショッピングで1杯のコーヒーを売る場合についてです。
エカワ珈琲店は、コーヒーのテイクアウト商売なら、新型コロナウィルス感染症パンデミックが終了すれば、いつでも営業可能の状態になっているわけですから。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、その名が示しているように長年コーヒーで生活の糧を得て来た昔ながらの珈琲人ですから、1杯のコーヒーを淹れる方法としてコーヒーマシンを使うのには抵抗を持っています。
やはり、お客さんに提供する1杯のコーヒーは、ハンドドリップかサイフォンで丁寧に淹れるべきだと考えています。
コーヒーマシンを使ってコーヒーを淹れるか、ハンドドリップやサイフォンでコーヒーを淹れるかは、マシン対人間の戦いだと思います。
そして、現時点(2021年4月現在)では、後者の方が勝っていると感じています。
何故、ハンドドリップやサイフォンで淹れたコーヒーの方が、コーヒーマシンで淹れたコーヒーよりも美味しさで勝っていると感じるのか、喫茶店のハンドドリップコーヒー限定で説明します。
コーヒーを主力商品としている喫茶店があるとします。その喫茶店は、幾種類かの銘柄のスペシャリティーコーヒーをメニューに載せています。(それが今の流行です)
ハンドドリップでコーヒーを淹れるなら、それなりの抽出技術を身に着けていれば、特定のスペシャリティーコーヒーの特徴を強調するコーヒーを淹れることも可能です。
コーヒーブルーム(蒸らし)の状態を観察しながら、お湯の比率や淹れる時間を調整したりしてコーヒーの味をコントロールすることも可能です。
コーヒーマシーンでも、その都度、コーヒー抽出のプロファイルを変更すれば対応が可能だと思いますが、ハンドドリップでコーヒーを淹れる方が対応が簡単です。
喫茶店で一杯のコーヒーを売るというビジネスは、コミュニケーションビジネスで、そのプロセスにおいて、お客さんに喫茶店体験を提供しています。
喫茶店商売は、人と人との関わり合いが重要な要素を持つサービス業だと思います。
ハンドドリップで淹れるコーヒーは、高速コーヒーマシーンで淹れるコーヒーよりも、その部分で優れていると思います。
コーヒーを淹れるプロセスで、臨機応変にコーヒーの味を調整・カスタマイズできるわけですから。
一方、次から次へとお客さんが来店して、喫茶店が込み合っている場合、ハンドドリップでコーヒーを淹れていては間に合いません。お客さんをイライラさせたりします。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、ハンドドリップで淹れるコーヒーの方が、業務用高速コーヒーマシーンで淹れるコーヒーよりも美味しくなると考えていますが、そして、淹れたてコーヒーの方が作り置きしたコーヒーよりも美味しいと考えていますが、お客さんは、その違いにそれほどこだわっていないかもしれません。
それよりも、素早くコーヒーが提供される方が満足感が高くなるかもしれません。
現在、バリスタコンテストなどが開催されていて、手作業で丁寧に淹れるコーヒーも注目されるようになっていますが、コンビニコーヒーのように、セルフサービスの高速コーヒーマシーンで淹れるコーヒーを望んでいる人もたくさんいます。
また、1杯のコーヒーを高速で淹れるコーヒーマシーンは、焙煎コーヒー豆の煎り具合や粉砕度合、焙煎コーヒー豆粉砕物と水の比率を比較するのに最適な機器だと言われています。同じ条件、同じスピードでテクニックに関係無くコーヒーを淹れることができるわけですから。
抽出プロファイルを設定して、スイッチを押すと、同じ品質のコーヒーが迅速簡単に誰でもコーヒーを淹れることのできるのが、コーヒーマシーンです。
誰が淹れても、ほぼ同じ品質のコーヒーが出来上がるわけですから、コーヒーの味の一貫性は保証されます。
しかし、ハンドドリップでコーヒーを淹れる場合と比べると、業務用高速コーヒーマシーンの購入設置には相当な資金が必要になります。
コーヒーを淹れて提供する側とすれば、お客さんとの対応で、コーヒーに対する思い入れが低くなる可能性があります。
また、業務用高速コーヒーマシーンではなくて、一般的な業務用コーヒーマシーンでコーヒーを作り置きしていると、売れ残れば廃棄処分しなければなりません。
また、作り置きしたコーヒーは、時間の経過とともに劣化して行きます。長くて1時間くらいの保蔵が限度だと思います。