「ハンドドリップやドリップ式コーヒーメーカーを使って淹れるコーヒーには、軟水(硬度50~100くらい)が似合っている。」と、和歌山市雑賀屋町39番地で自家焙煎したコーヒー豆を使って、水道水(和歌山市の水道水は硬度50~100くらいだと思います)でコーヒーを淹れているエカワ珈琲店は考えています。
「コーヒーを淹れるのに使う水は軟水に限る」というのは、エカワ珈琲店の経験談です。しかし、そのように断定してしまうのには、少し無理があるのかもしれません。
エカワ珈琲店の場合は
エカワ珈琲店がコーヒー豆自家焙煎を開始したのは、1989年(平成元年)の夏のことです。それ以来30年以上の間、自家焙煎コーヒー豆の試飲では、和歌山市の水道水(中程度の軟水/WHO基準)を使ってコーヒーを淹れています。
ハンドドリップかドリップ式コーヒーメーカーでコーヒーを淹れているのですが、十分に美味しいコーヒーが出来上がります。
日本の水は基本的に軟水で、水道の水も軟水(中程度の軟水が多い/WHO基準)ですから、コーヒーを淹れるのには軟水が似合っていると経験的に考えているわけです。
水と硬度(硬水と軟水)
水の中にはミネラル成分も含まれていますが、水に含まれているミネラル成分のうち、カルシウムとマグネシウムの量を数値化した指標が、水の「硬度」だと理解しています。水(1リットル/1000㏄)の中に含まれるミネラル類のうちカルシウムとマグネシウムの合計含有量を指標化したのが、水の「硬度」だと理解しているわけです。
世界保健機関(WHO)の基準によると、0~60の硬度の水は軟水、60~120の硬度の水は中程度の軟水、120~180の硬度の水は硬水とされています。
日本の水は軟水
水の中に溶けているカルシウムとマグネシウムの含有量が比較的に多い水を硬水、少ない水を軟水と呼んでいるのだと思います。
日本の水はほとんどが軟水ですが、ヨーロッパやアメリカなど大陸の国の水には硬水が多いようです。
天然水は、地中にしみ込んだ水が地層中でろ過されて、地層中のカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を溶け込まして湧き出してきます。
日本は島国ですから、山から海岸への傾斜が大きく水が地層に浸透する時間が短いので軟水が、ヨーロッパやアメリカなどの大陸では水が地層と接する時間が長くなるの硬水が多く湧き出してくると言われています。
ということで、日本の水のほとんどは軟水ですから、肌への刺激が弱くて、石鹸の泡立ちが良くて、和食や日本茶に最適な水だと評価されているようです。
水の硬度とコーヒーの香り・風味・色
平成20年8月刊行の光琳選書「食品と水」を読んでいると、コーヒーと水の関係について、次のように記述されています。勉強不足で、なかなか理解できないので引用という形で紹介ます。
酸味の強い"モカコーヒー豆"を硬度の異なる市販のミネラルウォーターを用いてサイフォン式でコーヒーを淹れた場合、硬度の低い水で抽出したものの方が酸度が高くなる。コーヒーの好みは人によって異なるが、酸味の強いものを好む場合は硬度の低い水で抽出すると良い。
市販のミネラルウォーターですが、南アルプスの天然水(硬度30)、六甲のおいしい水(硬度74)、それに硬度109や硬度174や硬度 316の外国製ミネラルウォーターを使って味覚検査を実施して、次のような結果を得たようです。
被験者20人で味覚検査を行った結果、香りは硬度100程度の水が美味しいと感じる人が多く、色は硬度の低い水を用いたものが濃く、透明度は硬度の高いものが澄んでいる。
苦味は硬度80~200程度の水で淹れると比較的強く、酸味は軟水の方が強く感じる。総合的なおいしさは硬度180程度のものが美味しく感じる人が多いという結果である。
コーヒーを淹れるのに最適な水
コーヒーを淹れるのに最適な水は?、という問いに答えるのは難しいというのが一般的な見解だと理解しています。
コーヒーを淹れるのに最適な水は軟水か硬水か?、という問いに答えるのも難しいと思いますが、光琳選書「食品と水」には、次のように記されています。
コーヒーは軟水・硬水のいずれが向いているのか一概にいえないが、一般的には軟水を使うと酸味や苦味が増す。
硬水を使ったコーヒーは水の味が影響してまろやかである。
ということで、コーヒーを淹れるのに最適な水については答えが出ないわけですが、人それぞれコーヒーの味について好みがあるわけですから、自分の好みに合わせてコーヒーを淹れる水を選択するのがベターだと考えられているようです。
ちなみに、エカワ珈琲店の立地している和歌山市の水道水の硬度は、50~75くらいだとされています。
エカワ珈琲店の焙煎コーヒー豆は、それくらいの硬度の水で淹れると美味しく召し上がって頂けると思います。(アマゾンでも購入して頂けます。)
水道水でコーヒーを淹れる時に注意すること
ペーパーフィルターや布フィルターを使用してコーヒーを淹れる場合、軟水で、カルキ臭やカビ臭などの異臭がしない水を使用するのが絶対的な条件だと考えています。
日本の水道水は軟水ですが、カルキを含んでいます。水道水に含まれているカルキは、1日くらい汲み置きしたり、沸騰させたり、浄水器を使ったりすれば、取り除くことができると考えています。
コーヒーの力が強いので、少しぐらいのカルキ臭は気にならないと思います。
それよりも、水には酸素や二酸化炭素などの水を美味しくする成分も含まれているので、これらを完全に取り除いてしまわないように、煮沸や浄水は1度だけにするのが賢明だと思います。
昭和の時代、水道管がさび付いて、赤みを帯びた鉄分を含む水道水が流れ出てくることもありました。鉄分が含まれていると、コーヒーを淹れる時にコーヒーのクロロゲン酸類と化学反応を起こして、コーヒーの香味や色に影響を及ぼします。
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