コーヒー生豆価格の上昇が続いていて、ニューヨークの商品市場で取引されるコーヒー生豆(アラビカ種)の価格が、瞬間的な出来事だったようですが、今年の11月27日に1977年以来47年ぶりの高値を付けたと報じられています。
同時に、コーヒー生豆(アラビカ種)の市場取引価格が、今年に入ってから約70%上昇しているとも報じられています。
ニューヨークの商品市場で取引されているコーヒー生豆は、業界用語で「コモディティコーヒー」と呼ばれているコーヒー生豆です。
エカワ珈琲店は、業界用語で「スペシャルティーコーヒー」と呼ばれているコーヒー生豆を自家焙煎コーヒー豆の原料に使っています。
「スペシャルティーコーヒー」生豆は、「コモディティーコーヒー」生豆よりも品質が良いとされているので、当然、購入価格も「コモディティーコーヒー」生豆よりも高く設定されています。
当然の事だと思うのですが、「コモディティーコーヒー」生豆の価格が上昇すれば、「スペシャルティーコーヒー」生豆の価格も、それに連動して上昇しています。
「コモディテイーコーヒー」生豆の仕入れ価格上昇が目立ってきたのは2020年代に入ってからだと思うのですが、「スペシャルコーヒー」生豆の仕入れ価格上昇は2010年代から続いています。
エカワ珈琲店(年老い珈琲豆焙煎屋)は、1976年と1977年(昭和52年)にコーヒー生豆価格が記録的な高騰をしたのを覚えています。
エカワ珈琲店が、喫茶店から自家焙煎コーヒー豆小売専門店に衣替えしたのは、1989年です。
それまでは、「純喫茶コロナ」という屋号の、小生(エカワ珈琲店の店主)の母親が一人だけで営んでいる小さな喫茶店でした。
1976年(昭和51年)と1977年(昭和52年)頃の小生(エカワ珈琲店の店主)は就職浪人中(短期間のアルバイトで小遣い稼ぎをしていましたが)でしたから、母親が一人で切り回している「純喫茶コロナ」の商売を、時々、手伝っていました。
ですから、焙煎コーヒー豆の業務卸価格が、瞬く間に数倍に跳ね上がったのを覚えています。
この頃から、ドリンク類だけを提供する昔ながらの喫茶店だった「純喫茶コロナ」は、食事メニューも提供する新興の『コーヒー専門店』にお客さんが流れて行くのを食い止めることが出来ず衰退の道をたどって行きました。
焙煎コーヒー豆業務卸価格がものすごい勢いで高騰していても、コーヒー専門店の繁盛は止まる事無く、コーヒー需要は順調に増え続けて行きました。
その後、記録的なコーヒー生豆価格高騰が静まって、コーヒー生豆価格が値下がりしたので焙煎コーヒー豆業務卸価格もある程度は値下がりしました。
しかし、コーヒー生豆価格が高騰前の価格に戻っても、焙煎コーヒー豆業務卸価格は元の価格に戻らなかったのを(高値で安定していたのを)記憶しています。
焙煎コーヒー豆の需要が増え続けていたわけですから、当然の出来事だったと思います。
その結果、1970年代後半から1980年代、喫茶店・飲食店に焙煎コーヒー豆を供給しているロースターと呼ばれるコーヒー豆焙煎事業者の黄金時代が到来しました。
1977年のコーヒー生豆価格高騰の原因となったのは、1975年にブラジルで発生した霜害です。
ブラジルの7月は真冬です。この時期に南極からの寒波とアンデス山脈からの寒気がブラジルのコーヒー生産地域を襲って急激に気温が下がりました。
アンデス山脈からの強風が収まった晴天の夜明け、今度は霜が農園を襲いました。
その結果、コーヒーノキの葉や枝は冷凍状態になってしまいました。
その翌日、強い日差しを受けて冷凍状態になっていた葉の水分が温められて、緑色の葉が茶褐色となって落葉して仕舞って、コーヒーノキも枯れてしまいました。
1975年の霜害で、ブラジルで栽培されていた20億本のコーヒーノキのうち、15億本が被害を受けたと言われています。
この経験から、ブラジルのコーヒー生産地域は、霜害の被害を受けにくい地域(ブラジル北部)に移動して行ったと言われています。
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