「ハンドピック」とは、コーヒー豆の選別作業(生豆・焙煎豆ともに)を、手作業によって丹念に選別することだとエカワ珈琲店(店主は年老いた珈琲豆焙煎屋)は理解しています。
コーヒー生豆の段階で、欠点豆を手作業で取り除いたり、焙煎コーヒー豆の段階で、不良豆を手作業で取り除いたりする作業が、俗に言う「ハンドピック」だと思っています。
「珈琲を科学する/時事通信社、伊藤博、1997年刊行」は、ハンドピックについて以下のように解説してくれています。
豆の外見的特徴(色沢、匂い、クロップ、精製法、含水率など)が最終的にどのような味の傾向を示すかは、ある程度体験から予測できるものであるが、時としてその予測を覆すのが、欠点豆の混入である。
たとえば多分、「柔和な味のなじみやすいコーヒー」になるだろうという予測が外れ、数粒の発酵豆の混入によって不快な異臭が加わることがある。
したがって、欠点豆の除去には、生産国でも大掛かりな電子選別を行い、さらに手選別を加えてもいるが、必ずしも充分とは言い難い。
現状(2000年前後の頃)は、こだわり派にとってハンドピックは欠かせない作業になっている。
1997年頃、焙煎前、あるいは焙煎後に、ハンドピックの必要が無いコーヒー豆は少数派だったように記憶しています。
現在(2024年)は、スペシャリティーコーヒー生豆の時代です。
スペシャルティーコーヒー生豆については、焙煎する前にハンドピックをする必要は全くありません。
エカワ珈琲店は大雑把にですが、焙煎したコーヒー豆についてはハンドピックを実施しています。
しかし、ハンドピックで選別排除する必要のある欠点豆は、ほぼ存在していません。
スペシャルティーコーヒー生豆の場合、焙煎前も焙煎後も、ほとんどハンドピックの必要性を感じていません。
生産地でのハンドピック技術が向上していて、スペシャルティーコーヒー生豆に関しては、焙煎前や焙煎後のハンドピックが必要無いと思っています。
エカワ珈琲店が、焙煎したコーヒー豆を大雑把にハンドピックしているのは、昔ながらのコーヒー豆自家焙煎店のオヤジの習慣に過ぎません。
ハンドピックして選別排除する必要のある欠点豆として、黒豆、発酵豆、カビ豆、虫くい豆、ドライチェリー、未熟豆などがあります。
スペシャルティーコーヒー生豆を簡単に仕入れる事が出来なかった頃、コーヒー生豆に欠点豆が含まれているのは当たり前の出来事でした。
欠点豆を焙煎前に取り除いて置くのが常識だったわけですが、完全に取り除くとなると相当な手間が必要で、その手間に見合うだけの効果を期待できない場合もありました。
そこでエカワ珈琲店は、「ここまでは、絶対に・・・」というボーダーラインを作ってハンドピックを実施していました。
もちろん、その頃は、焙煎前に一度、焙煎後に一度と、合計二度のハンドピックを実施していました。今は昔、ふた昔くらい前の懐かしい出来事です。
ある程度の規模のコーヒー豆焙煎事業者なら、ハンドピックの自動化に資金を投資できるので、それほど手間暇をハンドピックに費やす必要がありません。
しかし、小さなコーヒー豆自家焙煎店は、手動で手間暇を費やしてハンドピックを実施していて、それに費やす労働力は半端ではありませんでした。
その頃の生産性の悪さを考えると、少しくらいスペシャルティーコーヒー生豆の仕入れ価格が割高でも、その仕入れ価格は決して高く無いと思っています。
エカワ珈琲店にとっては、スペシャルティーコーヒーさまさまです。
スペシャルティーコーヒー生豆を原料に使っているエカワ珈琲店の自家焙煎コーヒー豆は、和歌山市雑賀屋町の店舗と「エカワ珈琲店ショッピングサイト」で購入して頂けます。
エカワ珈琲店は、年老いた珈琲豆焙煎屋というペンネームで、電子書籍をキンドルでセルフ出版しています。