年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ | エカワ珈琲店

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アラビノガラクタン

アラビノガラクタンは、コーヒーの細胞壁を構成している成分の一つで、便のとおりをよくする作用を持つ植物繊維だと理解しています。

単糖のアラビノースとガラクトースが結合している多糖類で、良質な水溶性の植物繊維で、細胞壁を構成している成分だと言われていて、起泡や泡を安定させる作用を持っているようです。 

 

【※】多糖類については、『炭水化物(糖質)』の記事が参考になるかもしれません。

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wikipedia/アラビアガムより引用

【目次】

 

(1)コーヒー生豆に含まれている多糖類

コーヒー生豆の40~60%が、多糖類だと考えられています。

1995年2月に出版された「コーヒー焙煎の化学と技術/中林敏郎ほか」に、コーヒー生豆に含まれる多糖類についての記述が掲載されています。

その部分を引用させて頂くと・・・

コーヒー生豆の多糖類は、主にマンナン、アラビノガラクタン及びセルロースからなり、主成分のマンナンがコーヒー生豆の強靭さの主因となっていると思われる。

これらの多糖類は相互に、あるいはタンパク質やリグニン、ポリフェール類と固く結合していると考えられている。

 

(2)コーヒー豆の焙煎と多糖類 

コーヒー生豆を焙煎すると、多糖類の性質も変化するとされています。

その多糖類ですが、焙煎中にある程度減少します。

これについても、「コーヒー焙煎の化学と技術/中林敏郎ほか」の記述を引用させて頂きました。

多糖類減少の詳細は不明であるが、一部は単糖類に分解し、一部はグルカン→グルコサンのような脱水物を経て、相互に、あるいはタンパク質・アミノ酸・ポリフェノール類などと反応して褐色色素や香気成分を形成し、さらに一部は二酸化炭素と水に分解すると考えられている。

 

(3)コーヒー豆の焙煎と アラビノガラクタン

コーヒー抽出液(コーヒー浸出液)に含まれているアラビノガラクタンのガラクトース対アラビノースの質量比(モル比)ですが、コーヒー生豆で3:1、焙煎したコーヒー豆で2.5:1だとする報告もあります。

コーヒー豆を焙煎すると、焙煎の熱によってアラビノガラクタンが分解されて、香気成分や色素成分を生み出すとも言われています。

また、コーヒーの香りや風味を、アラビノガラクタンの中に閉じ込めことができるとも言われています。

インスタントコーヒーに、コーヒーの香りや風味を添加する手段として、コーヒー豆に含まれている炭水化物(多糖類)のそのような性質を利用する方法が研究されているようです。

 

(4)コーヒー浸出液とアラビノガラクタン 

コーヒー浸出液(コーヒー抽出液)の口あたりには、その粘度が関係しているのだと思います。

コーヒー浸出液(コーヒー抽出液)の粘度は、コーヒー浸出液に含まれるアラビノガラクタンなど、親水コロイドの炭水化物(多糖類)の影響を受けているのだと思います。

ただし、アラビノガラタンは粘度の低い多糖類ですから、それほどコーヒーの粘度に影響を与えていないと考えられます。

コーヒー浸出液(コーヒー抽出液)の口あたりは、コーヒー浸出液(コーヒー抽出液)に含まれる高分子量成分に左右されると、年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。

 

(5) 年老いた珈琲豆焙煎屋の思い込み

コーヒー由来のアラビノガラクタンですが、珍しい流動学的性質を持っているとする報告もあるようです。

年老いた珈琲豆焙煎屋の思い込みかもしれませんが、焙煎コーヒー豆に含まれる多糖類のアラビノガラクタンは、やや深煎りの煎り具合の焙煎コーヒー豆を使って淹れたコーヒーで経験する甘味に、何らかの形で関係している可能性があるかもしれないと、何も根拠がありませんが密かに考えています。

 

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