コーヒー豆焙煎中に、コーヒー豆の温度がどのように変化しているかを記述する道具(ツール)には、ローストカーブ図と上昇率(RoR、Rate of Rise) の2つがあると思っています。
ローストカーブ図も上昇率(RoR、Rate of Rise) も、2010年代になって目立つようになって来た焙煎用語です。
時代遅れの珈琲屋である年老いた珈琲豆焙煎屋は、この2つの用語に出会った最初の頃はチカプンカンプンで、全く理解出来なかった事を覚えています。
今(2023年1月)は、ローストカーブ図についてはも、上昇率(RoR、Rate of Rise) についても、ある程度は理解できているつもりです。
★一番簡単な焙煎プロファイルは、焙煎時間と焙煎温度で作成しています。
ローストカーブ図については、縦軸にコーヒー豆焙煎温度、横軸にコーヒー豆焙煎時間というように、2つの因子に注目してコーヒー豆焙煎プロセスの進行速度をトータルで表しているS字型曲線図だと理解しています。
コーヒー豆焙煎反応の微小時間における微小変化のトータルを見える化(記述)している代物で、縦軸にコーヒー豆焙煎温度、横軸にコーヒー豆焙煎時間をプロットして線でつないでいる曲線図がローストカーブ図だと理解しています。
コーヒー豆は植物の種子ですから、ローストカーブ図は、必ずS字型曲線図になります。
上昇率(RoR、Rate of Rise) は、コーヒー豆焙煎温度の1分間当たりの上昇スピードで、焙煎プロセスにおける任意の時点で1分間にどれだけコーヒー豆焙煎温度が上昇するかの数値(無次元数)だと理解しています。
上昇率(RoR、Rate of Rise)は、焙煎中のコーヒー豆温度の上昇具合を表していると解釈しています。
インターネット内には、上昇率(RoR、Rate of Rise) とコーヒー豆焙煎の関係について、様々な意見が公開されています。
その大半は、上昇率(RoR、Rate of Rise) の大きい小さい、あるいは高い低いによって、コーヒーの風味が違って来るという類(たぐい)の意見です。
上昇率(RoR、Rate of Rise) は、焙煎中のコーヒー豆内部でどのような物理的・化学的な反応が発生しているのかを説明する便利なツール(道具)になっているようです。
コーヒー豆焙煎プロセスで発生する物理的・化学的な反応を予測・制御して、最良の風味を持つ焙煎コーヒー豆を作り出すのに大変役立つツール(道具)、それが上昇率(RoR) だと年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。
上昇率(RoR、Rate of Rise)は、焙煎プロファイルの作成・運用に必要不可欠な道具(ツール)だと思っています。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、コーヒー豆焙煎プロセスで本格的な焙煎が始まるのはコーヒー豆焙煎温度90度くらいからだと考えています。
例えば、コーヒー豆焙煎温度200度で焙煎を終了する場合、年老いた珈琲豆焙煎屋はどのように焙煎操作をしているのかについて大雑把に説明します。
コーヒー豆焙煎温度90度~200度までを、「蒸らし」・「乾燥」・「色と香り」・「香味の完成」の4つのステップに分けます。
焙煎中のコーヒー豆は、ゆっくりと熱量を蓄えながらコーヒー豆の焙煎温度が上昇して行きます。
コーヒー豆焙煎中に発生する物理的・化学的な反応ですが、どれだけの熱量を蓄積すれば、どのような物理的・化学的な反応が起こるかが大体決まっていると考えています。
メイラード反応の活発化はコーヒー豆焙煎温度が160度くらいから、ショ糖のカラメル化は185度くらいから、1ハゼは180度から185度くらいの間で始まるというような具合にです。
もちろん、これらの温度数値は、コーヒー豆焙煎機や焙煎環境によって変わってくると思っています。
ちなみに、コーヒー豆の焙煎で使われる時の『温度』という因子は、コーヒー豆がどれくらいの熱量を蓄積しているかの1つの目安だと考えています。
焙煎プロファイルの作成では、「蒸らし」段階のコーヒー豆焙煎温度は何度から何度で通過時間はどれくらい、「乾燥」段階のコーヒー豆焙煎温度は何度から何度で通過時間はどれくらい、「色と香り」段階のコーヒー豆焙煎温度は何度から何度で通過時間はどれくらい、「香味の完成」段階のコーヒー豆焙煎温度は何度から何度で通過時間はどれくらいと、あらかじめ想定しています。
例えば、「蒸らし」段階はコーヒー豆焙煎温度が90度から120度で、その通過時間は5分と想定しているとすると、平均上昇率は、(120-90)÷5=6となります。
平均上昇率を高く(大きく)すると、90度から120度の温度帯(「蒸らし」段階)の通過時間が短くなって、反対に低く(小さく)すると通過時間が長くなります。
そのようにして、コーヒー豆焙煎プロセスをコントロールしているつもりです。
小型ドラム式コーヒー豆焙煎機を使ってのコーヒー豆焙煎では、作られる風味は焙煎時間に依存する割合が高くなっていると年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
ですから、各ステップ温度帯の通過時間の長い・短いで風味が変わって来ると思っています。
そして、各ステップ温度帯の通過時間を長くしたり短くしたりするのに、上昇率(RoR) は便利な道具(ツール)だと思っています。
ちなみに、コーヒー豆焙煎プロセスの再現性・一貫性は、平均上昇率を計測するステップ(焙煎ステップ)を細かく区切れば区切るほど精度が高くなって行くと思っています。
この記事『コーヒー豆の焙煎とROR(上昇率、Rate of Rise)』は、キンドルでセルフ出版している電子書籍『コーヒー豆自家焙煎談義』シリーズの【第3集】の第1章に収録している記事のダイジェスト版です。
『コーヒー豆自家焙煎談義【第3集】』は、2023年10月17日に出版しています。
なお、『コーヒー豆自家焙煎談義【第1集】』と『コーヒー豆自家焙煎談義【第2集】』は、すでに出版しています。