年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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ブレンドの基礎知識、焙煎コーヒー豆のブレンドとは?

それぞれのコーヒー豆銘柄は、それぞれのコーヒー豆銘柄特有の風味を持っています。そして、酸味に富んでいるコーヒー豆、苦味に富んでいるコーヒー豆、味に偏りのない中庸のコーヒー豆、香りの高いコーヒー豆などと経験的に評価されています。

ブレンドとは、単品銘柄では不足している風味を、性質・性格の異なっているコーヒー豆銘柄を混ぜ合わせて、より完成度が高いバランスを持つ風味を創造したり、ある一つの特徴を強調した印象的な風味を作り出すことだと言われています。

 

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焙煎コーヒー豆の原料となるコーヒー豆(コーヒー生豆)は農産物ですから、同じ年の同じ銘柄であっても、工場で生産される工業製品と違って、その品質にデコボコが生じるのは当然だと思います。

同じ品種、同じ等級、同じ産地のコーヒー豆(コーヒー生豆)でも、厳密には、その品質は一定では無くて差が存在しています。

 

天候・作付け状態・コーヒー豆の精製工程・コーヒー豆の保存状態によっても、コーヒー豆の品質に差が生じる可能性があります。コーヒー豆(コーヒー生豆)の品質は、自然の偶然に左右される要素が大きいわけです。

コーヒー豆自家焙煎店が、幾つかの焙煎コーヒー豆銘柄を混ぜ合わせてブレンド焙煎コーヒー豆を作る目的の一つとして、自然の偶然に左右される要素を可能な限り制御(コントロール)して、自店で販売する自家焙煎コーヒー豆の香味水準を一定に保つという事があります。

 

香り・酸味・苦味・コクなど香味のバランスがとれているコーヒー豆もありますが、一般的には、個性的な香り・味覚を持っているコーヒー豆が多いような気がします。

コーヒーの楽しみ方として、そのコーヒー豆の個性的な香り・味を堪能するというのも楽しいかもしれませんが、個性豊かな幾つかのコーヒー豆銘柄を組み合わせて、より素晴らしいコーヒーの香味を作り出して味わうという楽しみ方も有りだと思います。

 

ブレンドの効果として、次の3つの効果が期待できます。

(1)配合するコーヒー豆の優れた性質を増す相乗効果

(2)優れた性質を互いに打ち消しあう相殺効果

(3)単一では隠されていた優れた性質を引き出す効果

 

焙煎コーヒー豆をブレンドするには、コーヒー豆銘柄の品質の全てを熟知している必要があると思います。もちろん、コーヒー豆銘柄を組み合わせた時の効果についてもそれなりの知識を持つことが要求されます。

 

例えば、ハワイコナとモカ・マタリのように酸味の強いコーヒー豆同士を組み合わせると、お互いの個性が相殺されてしまって別の味になってしまうことがあります。

また、グァテマラやコスタリカなどの味を助長させるは、配合率を少なくしないと逆効果になってしまうことがあります。

ということで、焙煎コーヒー豆のブレンドは、人間の官能と経験が深く関係した知識と技術が要求されす。

様々な個性を持つ自然のたまものを組み合わせるのが、ブレンドの妙なのですから。

 

焙煎屋が幾つかの焙煎コーヒー豆を組み合わせてブレンドするもう一つの理由として、経済的な側面があります。

選りすぐられた最良のスペャリティーコーヒー豆を丁寧に焙煎加工して、その香味を堪能するのは、コーヒー好きの人たちにとっての最高の贅沢かもしれません。

しかし、最良の品質を持つスペシャリティーコーヒー豆の生産量は限られていて、購入価格も相当に高くなります。

 

そこで、経済的に手頃な価格のコーヒー豆をベースとして、価格の相当に高いコーヒー豆を混ぜ合わせて、優れた性質を持つ焙煎コーヒー豆を作り出すとともに、その価格を妥当なものにする目的を持っているのが焙煎コーヒー豆のブレンドだと考えます。

 

焙煎コーヒー豆のブレンドは、最良品質の高価なスペシャリティーコーヒー豆だけを混ぜ合わせたからといって、素晴らしい焙煎コーヒー豆ブレンドが出来上がるとは限りません。

ブレンドの効果の一つとして、優れた性質を互いに打ち消しあう相殺効果というものがあって、互いに品質の良い部分を打ち消し合ってしまいます。

年老いた珈琲豆焙煎屋は、これまでの経験から、ブレンドのベースには、癖が無くてそれほど価格の高くないコーヒー豆を選択するのがベターだと考えています。

 

昭和の頃の日本では、ブラジル、コロンビア、モカなどが一般にベースとして使われていました。

ちなみに、年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦の営むエカワ珈琲店は、現在(2020年)、主としてブラジル・ダテーラ農園のコーヒー豆をブレンドのベースとして使用しています。

ベースとなるコーヒー豆を単一もしくは複数で使用して、そこに酸味や苦味に特徴のあるもの、独特な性格を持つコーヒー銘柄などをブレンドして行くのが一般的なブレンド方法だと思います。

 

その昔、年老いた珈琲豆焙煎屋が脱サラして、自家焙煎コーヒー豆小売ビジネス(今も昔も零細生業個人ビジネスです)に従事した頃、ある珈琲書籍に掲載されていた代表的なブレンド例をそのまま組み合わせたブレンド焙煎コーヒー豆を販売していました。

それが、以下の4つの組み合わせです。

(1)酸味のあるブレンド

コロンビア30%、ブラジル30%、グァテマラ20%、エチオピア・モカ20% 

(2)苦味のあるブレンド

コロンビア30%、ブラジル30%、キリマンジャロ20%、ロブスタ20%

(3)コクのあるブレンド

コロンビア40%、グァテマラ20%、マンデリン20%、ブラジル20%

(4)ポピュラーなブレンド

コロンビア40%、ブラジル30%、エチオピア・モカ20%、ロブスタ10%

 

ブレンドの作り方ですが、コーヒー生豆の段階でブレンドしてから焙煎する方法と、コーヒー生豆単品銘柄をそれぞれに適した手法で焙煎して、それらの焙煎したコーヒー豆をブレンドる方法(焙煎してからブレンドする方法)が知られています。

コーヒー豆自家焙煎店多くは、後者の焙煎してからブレンドする方法を採用しているようです。