コーヒーの抽出では、焙煎コーヒー豆をミルなどの器械で粉砕して(挽き裂いて)小さな粒子に変えるという前処理を必ずしています。
理由は、焙煎コーヒー豆の姿のままだと大きすぎて、コーヒー成分抽出に向いていないからです。
ただし、焙煎コーヒー豆を粉砕するとコーヒー成分が抽出されやすくなりますが、香り成分の喪失スピードやコーヒー成分の酸化スピードが早くなるので、焙煎コーヒー豆の姿のままの時よりも5~10倍くらい香味の劣化スピードが早くなるとも言われています。
焙煎コーヒー豆の粉砕(挽き裂き)に際しては、焙煎コーヒー豆の味と香りを最大限に活用できる挽き方(粉砕方法)を採用する必要があると言われています。
粉砕した焙煎コーヒー豆粉砕物の粒子が小さすぎると、焙煎コーヒー豆粉砕物粒子とお湯との接触面積が大きくなるので、焙煎コーヒー豆粉砕物粒子内に含まれているコーヒー成分のお湯の中への溶解度が増加します。
溶解度が増えると、コーヒーの香味・風味に最適な成分だけでなくて、コーヒーの香味・風味に悪影響を与える雑味成分の混合量も多くなって、重たい感じのコーヒーが出来上がる確率が高くなります。
反対に、焙煎コーヒー豆粉砕物の粒子が大きすぎると、抽出不足の香りやコクの不十分な水ぽくて淡白なコーヒーが出来上がる確率が高くなります。
コーヒーの香味・風味が最適な状態のおいしいコーヒーを淹れるには、それぞれのコーヒーの淹れ方(抽出器具)に応じた焙煎コーヒー豆の挽き方(粉砕具合)が求められます。
焙煎コーヒー豆の挽き方として、大雑把に、粗挽き、中挽き、細挽きの三種類の挽き方が知られています。
粗挽き(18~20メッシュ)は、パーコレーターやボイリングで使用する挽き具合とされています。
中挽き(24~28メッシュ)は、サイフォン・ドリップ・コーヒーマシン(コーヒーメーカー)で使用する挽き具合とされています。
細挽き(30~32)は、エスプレッソなどで使用する挽き具合とされています。
コーヒーミルには、手動式と電動式があります。家庭などでよく使われている臼歯式のグラインドミル(手動式)は、焙煎コーヒー豆をすりつぶすようにして挽きます(粉砕します)。
家庭でよく使われている電動式のミルとして、臼歯で砕く方式のバーグラインダーとフードプロセッサータイプのミル(ミキサーミル)が知られています。後者は挽いた(砕いた)粉の大きさのバラツキが大きいので、どちらかと言えば前者のバーグラインダー方式のミルの方がお勧めかもしれません。
また、微粉の割合が多くなるとお湯との接触面積が大きくなるので、不味いコーヒー成分が抽出される確率が高くなったり、微粉が沪過されずに一杯のコーヒーに紛れ込んだりして舌ざわりの悪い(雑味)のあるコーヒーが出来上がったりします。
これを防ぐために、珈琲専門店では、挽いた焙煎コーヒー豆粉砕物粒子を茶こしやフルイにかけて微粉を取り除いています。
焙煎コーヒー豆には、時間(or日数)の経過とともに香りを失って行く、ステーリング(Staling)という現象が必ず発生します。
ステーリングとは、焙煎したコーヒー豆から香り成分などコーヒーの揮発性成分が空気中に飛散して行く現象で、香りの退化現象だとされています。
このステーリング現象ですが、焙煎コーヒー豆の姿のままよりも、焙煎コーヒー豆を挽いて粉砕した方が速く進行すると言われています。