岩波新書、石井淳蔵さんの「ブランド、価値の創造」を一口で紹介すれば、商品リンクの下の文章のようになります。
岩波新書、ブランド・価値の創造、石井淳蔵著より引用 です。
現代社会の富は「膨大な商品の集積(マルクスの資本論)」ではなく、「膨大なブランドの集積」として現れる。高級品から日用品まで、ブランドでない商品は見つけにくい。単なる商品名にすぎないブランドが、何故価値をもつのか。そして、究極のブランドとは何か。ブランドの誕生と成長のダイナミズムを解き明かす価値創造のマーケティング論。
【クイックナビゲーション 】
珈琲市場は最先端を走っている市場
マルクス経済学が語る、人間の労働が介在することで価値を生み出すことが出来る経済でもなくて、新古典派経済学が主張する消費欲望に直接依存している経済でもなくて、ブランドがブランドとして闊歩しているのが現在の珈琲市場だと、年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
珈琲市場は、スターバックスコーヒー、ネスレ、ブルーボトルコーヒーなどなど、数多の珈琲ブランドが闊歩している市場です。おそらく、珈琲市場は、時代の最先端を走っているブランド市場だと思います。
珈琲市場では、ブランドが闊歩している
年老いた珈琲豆焙煎屋は、大体30年間、珈琲の世界で生活の糧を得ています。ですから、2010年代の珈琲市場は、完全にブランドが闊歩している市場だと実感できます。年老いた珈琲豆焙煎屋の昔ながらの商売が、完全に通用しなくなっています。
どのように優秀な商品をつくっていたとしても、名前が知られていなければ市場に参加させてもらえない市場、それが珈琲の市場だと感じている今日この頃です。
珈琲社会の富は膨大なブランドの集積
2010年代の中頃から後半にかけて、ネスレが数百億円でブルーボトルコーヒー株式の半数以上を取得、数千億円を費やしてスターバックスコーヒー商品の販売権を獲得というニュースや、ドイツのJABによるスタンプタウンコーヒー、ピーツコーヒー、カリブーコーヒー、インテリジェンシアコーヒーの買収、数千億円かけてのコカコーラーによるコスタコーヒーの買収というニュースが、矢継ぎ早に報じられました。
現代社会の富は「膨大な商品の集積」ではなく、「膨大なブランドの集積」として現れる。を地で行く(ジデイク)出来事が続いています。
名前という実体の無い対象の買収に高額の投資をする理由は、珈琲社会の富は「膨大なブランドの集積」として現れるからなのかも知れません。
例えば、喫茶店の世界では
珈琲市場はブランドが闊歩している市場、その中でも喫茶店市場は、ブランドが闊歩する市場に様変わりしています。それが、個人経営の喫茶店に元気の無い最大の理由だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
個人経営の喫茶店が全盛だった1980年代前後、消費者は「そこに喫茶店があるから、その喫茶店でコーヒー」を飲んでいました。2019年の現在、「そこに喫茶店があるから、その喫茶店でコーヒー」を飲む消費者は完全な少数派です。
珈琲市場で生き残って行くには
例え零細生業パパママ経営の小さな珈琲屋であっても、石井淳蔵さんの「ブランドー価値の創造」を読んで、ブランドについて再学習する必要があると考えて、最近、読み返しました。
読み返してみて、珈琲市場で生き残って行くには、どうしても「ブランド」を無視することができないという確信を持つことができました。
年老いた珈琲豆焙煎屋は68歳ですが、年金だけでは食べて行くことができません。ですから、経営するほとんど無名の「エカワ珈琲店ブランド」を、もう少し多くの人に知ってもらう努力をしなければと考えています。それが、「ブランドー価値の創造」を読み返した最大の収穫です。
ということで、もう一度、石井淳蔵さんの「ブランドー価値の創造」を読んでみてはどうでしょうか。