その昔、食事メニューを含めてバラエティーに富んだメニューを提供している普通の喫茶店とコーヒー豆を自家焙煎する珈琲専門店、消費者は、この2つの喫茶店業態にどのような違いを見極め使い分けているのだろうかと考えたことがあります。
1990年代前後、コーヒー豆を自家焙煎する珈琲専門店が地方都市にも現れ始めていた頃の話です。
- コーヒー豆自家焙煎店では、消費者はコーヒーの価格にそれほどこだわらない
- 普通の喫茶店とコーヒー豆自家焙煎店とでは店の雰囲気が違う
- 普通の喫茶店とコーヒー豆自家焙煎店とでは、消費者のコーヒー選択肢が異なっている
- まとめ
コーヒー豆自家焙煎店では、消費者はコーヒーの価格にそれほどこだわらない
豊富なメニューを用意している普通の喫茶店で飲むコーヒーについては、消費者は価格にシビアです。しかし、コーヒーしか提供していないコーヒー豆自家焙煎店でコーヒーを注文する消費者は、コーヒー1杯の価格にこだわっていないような気がします。
これは、焙煎コーヒー豆の小売販売でも同じような傾向があるようです。
食品スーパーや量販店など、仕入れた焙煎コーヒー豆を小売りしている店で購入する時の消費者は、価格にシビアです。
しかし、コーヒー豆自家焙煎店で焙煎コーヒー豆を購入する消費者は、価格にそれほどシビアでは無いようです。
普通の喫茶店とコーヒー豆自家焙煎店とでは店の雰囲気が違う
普通の喫茶店の場合、店舗立地や駐車場の有無は、来店客数や売上に影響を与えます。
また、店舗デザインやスタッフのサービスレベル、お客さんの上品さなどの要素も、来店客数や売上に影響を与えます。消費者の気分を気遣う必要があるわけです。
一般的に、コーヒーの香味を楽しむことだけを目的に、普通の喫茶店を利用する消費者は少数だと思います。ほとんどの消費者は、休憩や仲間との談話、くつろぎの時間を消費するために普通の喫茶店を利用しているような気がします。
コーヒー豆自家焙煎店の場合、消費者は、コーヒーの香味を楽しむことを目的に来店します。それ以外の消費者を拒否する雰囲気を、コーヒー豆自家焙煎店は持っているわけですから。
特別なコーヒーの香味を提供するのがコーヒー豆自家焙煎店のビジネスですから、消費者は、販売している焙煎コーヒー豆や提供する1杯のコーヒーの香味に神経を集中していて、加えてコーヒーに関するストーリーにも興味を持っているようです。
小規模な個人経営のコーヒー豆自家焙煎店には、店舗デザインや駐車場の有無は、それほどビジネスに影響しないのかもしれません。
普通の喫茶店とコーヒー豆自家焙煎店とでは、消費者のコーヒー選択肢が異なっている
普通の喫茶店のコーヒーメニューとコーヒー豆自家焙煎店のコーヒーメニューは、全く異なっています。コーヒーの選択肢が、全く異なっているわけです。
コーヒー豆自家焙煎店のコーヒーメニューは、基本的に、ブラックコーヒーの種類の多様性です。 (煎り具合でも、銘柄でも・・・)
普通の喫茶店のコーヒーメニューの選択肢は、ブラックコーヒーをベースに使ったアレンジコーヒー(orホワイトコーヒー)の多様性です。
また、コーヒー豆を自家焙煎する珈琲専門店は、焙煎コーヒー豆を積極的に小売しています。消費者は、焙煎コーヒー豆を購入して、コーヒーの淹れ方のレクチャーを受ければ、その店に来店しなくても、自分でコーヒー淹れて楽しむこともできます。
まとめ
零細生業パパママ規模の珈琲屋であっても、マーケティングはビジネスに必要不可欠の存在だと自覚しています。消費者の行動を理解すること無くして、上手く商売が回って行くはずが無いとも考えています。
消費者の行動を理解して、それに合わせて自分たちのレベルを向上させることができて、珈琲屋商売が順調に推移するようになると考えています。
これまで、何回も何回も、消費者行動を無視する商売を続けて来て、お客さんにそっぽを向かれて来た経験を持っているので、その事を嫌というほど知っています。
ということで、今年の秋で69歳になった高齢者の営む零細な珈琲屋であっても、消費者の行動を理解することで、もう少し繁盛することができるかもしれないと考えている今日この頃です。