コーヒーを淹れて飲む光景は、日常生活で当たり前に存在するありふれた風景ですが、コーヒー抽出器具の進化の歴史はあまり知られていないような気がします。
コーヒーの飲用は、アラビア半島からトルコを経由してヨーロッパに拡がって行って、そのヨーロッパでコーヒー抽出器具が進化して行ったわけですが、17世紀の後半頃は、焙煎コーヒー豆粉砕物と水を一緒にして鍋で沸かしただけの濾過していないコーヒーを飲んでいたようです。
18世紀に入って、コーヒーを布で濾過するドリップ式の淹れ方が登場して、コーヒーが、飲みやすい飲み物となって行きます。
19世紀に入ると、パーレーター、コーヒービギン、サイフォン、エスプレッソ、コーヒーアーンと、様々なコーヒー抽出器具が登場して来ます。
20世紀に入ると、ドリップ式のコーヒーの淹れ方で、紙フィルターを使う淹れ方が登場してきます。
紙フィルターの登場によって、飲みやすいコーヒーを手軽に淹れられるようになったわけです。
というように、コーヒー果実の煮汁から始まったコーヒー飲用は、時代と人々の洗練を受けて、世界中の人々に一番愛されている嗜好飲料の地位を手に入れたと言われています。
この記事は、note にエントリーしている記事『コーヒー豆焙煎の簡単な歴史、コーヒー抽出の簡単な歴史』に収録している「コーヒー抽出器具の歴史」をネタ元にして書いています。
『コーヒー豆を熱して、それをすり潰して団子にして食べていたのが、紀元800年頃のエチオピアでの話で、それが、人類とコーヒーが付き合い始める最初だったと言われています。』ではじまるnote に投稿している記事『コーヒー豆焙煎の簡単な歴史、コーヒー抽出の簡単な歴史』には、以下の3つの記事を収録しています。
コーヒー豆焙煎の簡単な歴史
(1)コーヒー豆焙煎が始まった頃
(2)オスマントルコでのコーヒー豆焙煎技術の進歩
(3)ヨーロッパでのコーヒー豆焙煎技術の進歩
(4)アメリカ合衆国、珈琲産業の変遷、ファーストウェーブコーヒー
(5)アメリカ合衆国、珈琲産業の変遷、セカンドウェーブコーヒーとサードウェーブコーヒー
コーヒー抽出器具の歴史
(1)カフェに入り浸りの男たちに、ロンドンの女性たちは激怒
(2)コーヒー抽出器具の進化が始まったのは
(3)ドリップ式コーヒー以外の抽出器具登場
(4)20世紀になって紙フィルターが登場
コーヒー醸造(or抽出)の歴史
21世紀の現在、世界で一番飲まれている嗜好飲料はコーヒーで、コーヒーのある生活は当たり前になっています。しかし、コーヒー醸造器具(コーヒーを淹れる道具)の進化の歴史はあまり知られていません。
コーヒーの飲用ですが、アラビア半島からトルコを経由してヨーロッパに入って来て、瞬く間に、ヨーロッパの人たちに受け入れられました。
17世紀後半(1600年代後半)、ロンドンのカフェに男たちが入り浸りになって家庭を顧みないのに激怒した女性たちが、コーヒー飲用の禁止を求める社会運動をした話が、ロングセラーを続けている臼井隆一郎さんの著作「コーヒーが廻り世界史が廻る/中公新書」に収録されています。
コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)
- 作者: 臼井隆一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1992/10/01
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 26回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
コーヒーが、ロンドンだけでなくて、ヨーロッパの主要都市で人気を博し始めていた17世紀後半頃は、まだ焙煎コーヒー豆を粉砕して、その焙煎コーヒー豆粉砕物と水を鍋に入れて一緒に沸かして、ろ過しないでそのままで飲んでいたようです。
18世紀(1700年代)に入ると、コーヒー醸造器具の進化が始まります。
1710年代のフランスで麻の布を使ってろ過する方法が登場して来て、1763年にはドンマルタンのポット、1800年にはド・ベロイのドリップポツトが登場して来ます。
1800年代になると、パーコレーター、コーヒービギン、サイフォン、エスプレッソ、コーヒーアーンと、それぞれの時代や国に応じたコーヒー抽出器具が登場して来て、コーヒーは誰にでも淹れやすい飲み物となって行きました。
コーヒー果実の煮汁から始まったコーヒー飲用は、時の流れの洗練を受けて、色々なコーヒー醸造器具を使った淹れ方が登場して来て、その結果として、世界中の人々に一番愛される嗜好飲料の地位を手に入れたと言われています。
ちなみに、21世紀の家庭では、ドリッパーを使って手作業でコーヒーを淹れるか、コーヒーメーカーを使って自動でコーヒーを淹れるか、どちらかの淹れ方が採用されているのだと思います。
どちらの淹れ方も、ドリップ式と呼ばれているコーヒーの淹れ方(醸造方法)です。
ドリップ式で使われるコーヒーをろ過するための材料(フィルター)は、布か紙です。
ドリップ式の淹れ方が登場して以来、長い間、フイルターには布が使われて来ました。
現在、ドリップ式の淹れ方で使われているフィルターの主流は紙フィルターです。そして、紙フィルターが登場して来たのは20世紀に入ってからだと考えられています。