コーヒー豆は熱帯地域の国々だけが生産できて、コーヒー豆の焙煎加工と販売は消費地でという単純なルールで成り立っているのがコーヒービジネスだと理解しています。
コーヒー豆(orコーヒー生豆)は長期間の保存が可能ですが、焙煎コーヒー豆は短期間しか保存できません。
ですから、コーヒービジネスの付加価値の大半は、コーヒーの消費地で作り出されていました。(スペシャリティーコーヒーが登場するまでは)
熱帯地域から消費地にやって来たコーヒー豆(生豆)は、消費地の焙煎所で焙煎加工されて焙煎コーヒー豆となり、一杯のコーヒーの原料として消費されます。
コーヒー豆を生産する農家や集荷事業者も、消費地でコーヒー豆を焙煎加工する焙煎所も、消費地で一杯のコーヒーを売る喫茶店や焙煎コーヒー豆を販売する小売店も、基本的に、この単純なルールの下でビジネスを展開していると年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。
コーヒー豆を輸入して、消費地(or消費国)でコーヒー豆を焙煎して、できるだけ多くの消費者に焙煎コーヒー豆を売るという単純なビジネスで成功したのが、ファーストウェーブコーヒーと呼ばれているアメリカの珈琲会社だと考えています。
しかし、単純なルールのもとで単純なビジネスを展開できるのは需要が増え続けている間の話で、需要の伸びが緩慢になって供給体制が充実してくると、競争が激しくなって来て付加価値が小さくなって行きます。
従って、起業家たちが、単純なものを複雑にすることで付加価値を大きくする、という方向に向かうのは自然の流れだと思います。
コーヒービジネス基本ルールの中の「消費者に売る」という領域で、単純なものを複雑にして付加価値をつけたのが、スターバックスコーヒーに代表されるセカンドウェーブコーヒーの珈琲ビジネスだと考えています。
深く焙煎した(ダークローストの)コーヒー豆で淹れたコーヒーを使って、クリームや砂糖の使い方を工夫した新しいコーヒードリンクを考案して、一杯のコーヒーに付加価値を付けることに成功したわけです。
スターバックスコーヒーが成長街道を猛スピードで走っていた頃、コーヒービジネス基本ルールのコーヒー豆生産に着目して、コーヒー豆生産者との協力関係を構築することで、スペシャリティーコーヒーという付加価値の高いコーヒー豆を普及させたのがサードウェーブコーヒーの担い手たちだと思います。
サードウェーブコーヒーの担い手たちは、消費地での様々な催し物や競技会などを通じてスペシャリティーコーヒーの価値を構築して行きました。その努力が実って、コーヒー消費金額に占めるスペシャリティーコーヒーのシェアーは拡大を続けていて、スペシャリティーコーヒーの価格も高騰を続けています。
コーヒー豆生産という単純なものに色々と複雑な基準を設けて誕生したのが、 スペシャルティーコーヒーという大きな付加価値を持つ商品だと理解しています。
コーヒー豆の生産、消費地での焙煎、コーヒーの小売というコーヒービジネスの単純なルールの中で、コーヒー豆の生産とコーヒーの小売については複雑化の手法が効果を発揮したわけですが、消費地での焙煎の複雑化には手がつけられていません。
最近、コーヒー豆焙煎の競技会が開催されて、コーヒー豆焙煎の世界チャンピオンやナショナルチャンピオンが誕生している状況を観察していると、消費地での焙煎についても、複雑化して付加価値を高くする方向に進みつつある気配を感じている年老いた珈琲豆焙煎屋の今日このころです。
ちなみに、田舎町の小規模な珈琲豆焙煎屋のおやっさん(orおじいさん)ですが、コーヒー豆焙煎のコーヒービジネス部分を少しだけ複雑化して、少しだけ付加価値をつけた焙煎コーヒー豆を小売りしたいと考えています。もちろん、生業商売の範囲内で。
で、その複雑化の方法ですが、「煎りたて新鮮・香りの良い、賞味期限の短い焙煎コーヒー豆の提供」と「生産用小型コーヒー豆焙煎機(5kg容量)を駆使した手づくりの焙煎コーヒー豆の提供」という、比較的単純な2つの方法を採用するつもりです。
田舎町で零細生業の珈琲商売を営んでいる珈琲豆焙煎屋の自家焙煎珈琲豆で、コーヒーの価値を考えてみるのも一興だと思うのですが・・・。
その零細生業の珈琲商売を営んでいるコーヒー豆自家焙煎店の屋号は、エカワ珈琲店といいます。和歌山市の街中で、夫婦2人だけで細々と珈琲生業商売を営んでいるコーヒー豆自家焙煎店ですが、アマゾンマーケットプレイスに出店しています。