ドリッパーにセットしている焙煎コーヒー粉の真ん中部分に、静かに少量のお湯をゆっくりと注ぎます(1回目の注湯)。すると、お湯が焙煎コーヒー粉全体を潤して、焙煎コーヒー粉が花が咲くように膨れてきます。
この状態を「蒸らし(コーヒーブルーム)」と呼んでいます。焙煎コーヒー粉を充分に膨張させて組織を広げて、コーヒーの成分を抽出し易くする作業(or段階)だと理解しています。
下のサーバーに数滴落ち始めたら、お湯を注ぐのを中止します。それが、「蒸らし」段階の注湯の目安だと考えています。
「蒸らし(コーヒーブルーム)」に必要な時間は、焙煎コーヒー粉の挽き方や粉の量、焙煎の仕方(or焙煎度合)で異なりますが、「蒸らし」をしている間は注湯を中止したままにして置きます。(大体、30秒~1分くらいが目安です)
「蒸らし」によって膨張した焙煎コーヒー粉の層は、しばらくその状態を保っていますが、やがて収縮を開始します。
2回目の注湯は、焙煎コーヒー粉の層が膨張したあと、収縮を始める前に行う必要があるのだと思います。
その目安は、下のサーバーにコーヒーの液滴が落ちてこなくなった時点、あるいは、焙煎コーヒー粉の層の上部表面にひび割れが現れ始めた時点だとエカワ珈琲店は考えています。
現在のエカワ珈琲店(店主は年老いた珈琲豆焙煎屋)はペーパーフィルターを使ってコーヒーを淹れていますが、その昔、エカワ珈琲店の喫茶店時代(純喫茶コロナの時代)には、布フィルターを使ってコーヒーを淹れていました。
布フィルターを使ってコーヒーを淹れていた喫茶店時代(昭和の頃)は、焙煎コーヒー粉の層の上部表面にひび割れが現れ始めた時点で「蒸らし」を終了していました。
ちなみに、1970年代の焙煎コーヒー粉砕物は「蒸らし」をすると膨れてきましたが、1980年代になると、「蒸らし」で焙煎コーヒー豆粉砕物が膨れて来ることは稀になっていました。
1970年代に喫茶店に納入される焙煎コーヒー豆は、煎りたて新鮮な焙煎コーヒー豆でしたが、1980年代に喫茶店に納入される焙煎コーヒー豆は、焙煎してから日にちが経過していたのだと思います。
1980年代は、コーヒー豆焙煎会社(ロースター)が急成長していた時代で、「煎りたて、新鮮」よりも生産性が重視されていました。(2022年の今も、そうなのですが)
ちなみに、1980年代はサイフォンコーヒー全盛の時代になっていて、「蒸らし」で焙煎コーヒー豆粉砕物が膨れる必要が無くなっていたわけですが。