「コーヒーを喫茶店で楽しむ文化」の最盛期は、1980年代の中頃だったと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
喫茶店の最盛期であって、焙煎したコーヒー豆を喫茶店に供給する業務卸を専門とする焙煎会社(地域ロースター)の最盛期だったと考えています。
その後「コーヒーを喫茶店で楽しむ文化」は下降線を描いていたのですが、近年、若い人たちの間でコーヒーがブームとなっていて、「コーヒーを喫茶店で楽しむ文化」にも再び注目が集まっています。
しかし、近年の「コーヒーを喫茶店で楽しむ文化」ブームの恩恵を受けているのは、チェーン系の喫茶店やコーヒー豆を自家焙煎している喫茶店です。
独立系の喫茶店やカフェは、何も恩恵を受けていないように感じられます。
チェーン系の喫茶店やコーヒー豆を自家焙煎している喫茶店の方が、マーケティング的に優れているのかもしれません。
街中で営業している独立系の喫茶店やカフェは、焙煎したコーヒー豆の業務卸を専門とする焙煎会社(ローースター)の収益源です。
そして、誰も後を継ぎたいと思わないわけですから、昔ながらの喫茶店は、その店舗数を減らし続けています。
新しく開店するカフェ型喫茶店は、その町のコーヒー豆自家焙煎店や全国的に名前の知られているコーヒー豆焙煎屋さんと取引する割合が高くなっています。
ということで、チェーン系の喫茶店やコーヒー豆を自家焙煎する喫茶店の増加=焙煎したコーヒー豆の業務卸を専門とする焙煎会社(ロースター)の体力低下を意味しているのだと思います。
喫茶店・飲食店、ホテルや旅館、オフィスコーヒーなどの業務用コーヒー市場ですが、1980年代の中頃と比べると、その市場規模は相当に拡大しています。
しかし、大手コーヒー企業や大手オフィスコーヒー専門企業への寡占化も進行しています。
喫茶店チェーン、飲食店チェーン、ホテルチェーン、コンビニチェーンなど、大口需要家との取引については、強靭な企業体力を求められる時代になっていて、従来型属人営業が通用しなくなって来ているようです。
コーヒー業界の片隅で「吹けば飛ぶようにな存在」だったコーヒー豆自家焙煎店ですが、この数年(2010年頃~2016年頃)で、コーヒー豆自家焙煎店を取り巻く状況が大幅に良い方向へと変化しています。
近年のスペシャリティーコーヒーブームが、コーヒー豆自家焙煎店ビジネスの追い風になっているのだと思います。
どのタイプのコーヒー需要家であったとしても、焙煎したスペシャリティーコーヒー豆や煎りたて・新鮮・香りの良い焙煎コーヒー豆の供給については、現在(2016年)のところ、焙煎方法の問題(手作り少量焙煎が必要)もあってコーヒー豆自家焙煎店に依存する必要があります。
特に、「煎りたて、新鮮な焙煎コーヒー豆」となると、なおさらです。
業務卸専門の中堅コーヒー会社やそれに次ぐ規模の業務卸専門のコーヒー会社は、これまでのようにコーヒー豆自家焙煎店を馬鹿にするのは止めにして、真剣にコーヒー豆自家焙煎店ビジネスの有様を研究する必要があると思っています。
それを怠れば、気が付くと、コーヒー豆自家焙煎店ビジネスのはるか後方を走っているということも有り得えます。(おそらく、そうなると思っています)